Wilsonのエントロピー最大化モデル以降,さまざまな空間的相互作用モデルが開発されてきた(石川, 1988). 従来,これらモデルの類似性については部分的に指摘されてきたが,それらを技術論的に統合しようと試みたものはみられない.本研究は,これらの新しい空間的相互作用モデルを,最尤法に依拠する一般線形モデルの枠組みによって統合した.そして,一般線形モデルの代表的な汎用ソフトであるGLIMを用いて, 1) 対数正規型重力モデル, 2) ポアソン重力モデル, 3) エントロピー最大化モデル, 4) 競合着地モデル, 5) 対数線形モデル,のキャリブレーションを,簡単な数値例を用いて示した.このような一般化の結果,近年展開されているさまざまな空間的相互作用モデルのキャリブレーションに関する技術論的な問題は,あまり重要でないことがわかった.むしろ,対象とする空間的相互作用システムのモデル化に対して,発地区,着地区あるいは当該地区間の関係を示す変数として,,どのような変数を採用し,モデルを特定するかといった概念化が,今後の空間的相互作用モデル研究の重要な課題となることを指摘した.
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