確率論的リスク評価(Probabilistic Risk Assessment: PRA)を実施したときの評価モデルの妥当性は,その計算結果に相当する最小カットセット(カットセット)の妥当性を確認することによって担保される。従来はPRAの評価モデルが現在ほど複雑ではなく,リスク上有意な事故シナリオのバリエーションも多くなかったため,リスクへの寄与が大きい事故シナリオの妥当性を重点的に確認してきたが,現在,原子力プラントのPRAを実施した際に得られるカットセットの数は10万個以上になることもあり,それらをつぶさに確認するためには,膨大な時間を要することが課題であった。
本研究では,自然言語処理技術の一つであるWord2 Vecによってカットセットをベクトルに変換し,ベクトル間の近接性に基づいてクラスタリングすることにより,同種の事故シナリオを意味するカットセット同士を一つのクラスタにできることに着目し,効率的かつ網羅的にカットセットの妥当性確認が可能な手法を開発した。
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