日本臨床外科学会雑誌
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59 巻, 5 号
選択された号の論文の54件中51~54を表示しています
  • 倉橋 伸吾, 神谷 厚, 沢井 博純, 山中 雄二, 伊藤 斉, 真辺 忠夫
    1998 年 59 巻 5 号 p. 1428-1432
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は54歳男性,他院にて肛門痛のため2度切開,ドレナージ術を受けたが病状が改善しないため,当院転院となった.仙骨部から肛門,陰嚢,右大腿に及ぶ発赤を認め,握雪音を伴った.単純X線写真, CT検査にてガス像を認め, Fournier's gangreneと診断し,直ちに広範に切開,ドレナージ,人工肛門造設術を施行した.術後, DIC, ARDSを合併したが,徐々に改善し,切開,ドレナージ部の皮膚欠損部は皮膚移植を施行し,創が乾燥した後,人工肛門閉鎖術を施行し,退院した. Fournier's gangreneは欧米では400例を越す報告例があるが,本邦では比較的稀な疾患である.また,本症例の如く広範囲に拡大した報告は少なく,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 甲谷 孝史, 高橋 広, 堀内 淳, 河内 寛治
    1998 年 59 巻 5 号 p. 1433-1436
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    私達は腸重積症再発で発症したアレルギー性紫斑病(以下本症)の1例を経験し比較的稀な臨床経過と思われたので報告する.症例は4歳女児で腹痛を主訴とし,腸重積症と診断し空気注腸整復術で容易に軽快した. 1カ月後,腸重積症を再発し整復可能であったが,年長児であるため下部消化管の精査を行った.精査の間に下腿の紫斑,関節痛が出現し,腸重積症再発で発症した本症と診断した.保存的療法で腹部症状,紫斑は軽快し,腎炎は発症せず順調に経過した.本症に合併した腸重積症再発が1カ月間以上におよぶ症例と考えると極めて稀で,年長児の腸重積症では,消化管の器質的疾患以外にも本症の初発症状として出現する場合があることを念頭におく必要があると考えられた.
  • 船越 真人, 山本 篤志, 河野 博光, 大城 久司
    1998 年 59 巻 5 号 p. 1437-1440
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    当院にて平成1年~平成8年に経験したマムシ咬傷患者18例について検討した.対象症例の重症度はGrade I 3例, Grade II 3例, Grade III 1例, Grade IV 8例, Grade V 3例であり, Grade IV, Vの重症例が11例(66%)を占めた.手指,足趾を咬まれても,また,自分で処置を行っていても重症例は認められた.治療は,全例来院時に局所の切開と吸引が施行され,治療薬はセファランチンのみが投与されていたものは10例,セファランチンとマムシ抗毒素が投与されていたものは8例であった.マムシ毒素に対して抗毒素しか有効性が認められていない現在,重症化が予想される例に対しては躊躇なく抗毒素の投与が必要である.また死亡原因は急性腎不全が最も多く,初期の段階より腎機能保護が重要である.
  • 沢井 博純, 倉橋 伸吾, 山中 雄二, 神谷 厚, 真辺 忠夫
    1998 年 59 巻 5 号 p. 1441-1445
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性,食物のつかえ感を主訴に当院内科受診,上部消化管内視鏡にて胸部下部食道癌を指摘されたが狭窄が強く,それ以下の上部消化管検索が不可能であったため,後日上部消化管造影を施行, 2カ所の胃隆起性病変を認めた.以上の経過にて外科依頼あり,食道切除,胃全摘除術を施行した.病理組織診断は,食道: squamous cell carcinoma,胃体上部小彎側前壁: tubular adenocarcinoma (moderately differentiated),胃前庭部後壁: poorly differentiated adenocarcinomaであった.
    食道癌症例の中で胃癌を重複する割合は0.3~2.5%と報告されているが,同時性の食道癌と胃多発癌の重複症例は稀である.消化管悪性腫瘍の検索においては,重複癌を念頭に置いた十分な術前検索が重要であり,本症の治療においては,最小限の手術侵襲でかつ,根治性の得られる手術術式の選択が必要であると思われる.
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