多くの品種から成るいくつかの蚕品種群のカイコの産する繭糸について弾性率の, 精練絹糸については結晶化度の測定が行われ, 両物理量とも繊度に関して負の有意な線型相関関係を示すことが明らかにされた。
日本白繭種群においては, 線型相関関係を表わす回帰直線の回帰係数 (負) の絶対値|
b|は弾性率と結晶化度の両相関関係ともに改良型蚕品種群の方が在来型蚕品種群よりも低い値を示した。欧州蚕品種群は他の蚕品種群に比して低い|
b|-値で特徴づけられたので, 欧州種との交雑育成種を多く含む日本白繭改良種がこの傾向を受け継いだ可能性が高いと判断された。
中国白繭種群については, 在来型改良型両蚕品種群間で|
b|-値に有意な差が認められなかった。これは品種改良が主として同種の在来型品種内で行われたことによるものと考えられた。
なお一般に, 品種改良により繭糸の弾性率が高くなる傾向が認められた。
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