高分子化學
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11 巻, 113 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第1報
    服部 一郎, 藤田 光男
    1954 年11 巻113 号 p. 363-367
    発行日: 1954/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ストーマー粘度計をつかって, ポリ塩化ビニルペースト (以下PVCペーストあるいは單に “ペースト” と記す) の粘度を25~55℃ の間で測定した。剪断應力Fの比較的小さな範囲で速度勾配g (F) はg(F) =BFmの関係をもち, 温度によってBは変化するがmの変りは小さい。試料のagingによりB, mは共に変化するが二つの量の間には一定の関係が見出された。この報告では主として実測結果を述べ, 第2報において理論的な考察を行う。
  • 服部 一郎
    1954 年11 巻113 号 p. 368-373
    発行日: 1954/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報の結果をこれ迄の文献に見られるこの種試料の粘度式と比較した。著者の得た式は流動單位の配向エントロピーを考慮せるSpencerの理論式によって割合によく説明せられ, 式中の常数の時間変化は内部弾性率の時間変化に基づくものと解せられる。
  • 第4報熱処理ポバールの粘度的性質とアセタール化度との関係について
    長井 栄一, 美馬 精一, 相根 典男
    1954 年11 巻113 号 p. 374-377
    発行日: 1954/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    種々なる前処理, 熱処理條件を行ったポバールフィルムを一定の條件下でホルマリンによってアセタール化を行い, そのアセタール化度の相違をしらべた。同一の熱処理條件の試料でもその前処理條件が異なると, それぞれ異なったアセタール化度をあたえた。このことは熱処理による結晶化の過程において, その前処理條件によってPVAがうける化学変化の様式ないし程度が異なると結晶化度が相違してくることを意味する。ビニロン製造におけるPVA繊維の熱処理の研究にはその化学反應に対するaccessibilityを考慮して原料PVAの微細構造の究明にまでさかのぼって実施される必要があろう。
  • 第3報ポジマーと溶媒ジメチルホルマミドとの親和性について
    鈴木 昭三
    1954 年11 巻113 号 p. 378-384
    発行日: 1954/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ボリアクリロニトリルのニトリル基に対してa位にある水素原子が, 比較的プロトン的性格をもっていること, したがって溶媒和は, N=C-C-H…O=C<の親和性にも大きく依存することおよびポリマーのニトリル基同志以上に, これとアミド基との親和性が大きいことなどを, ポリマーの基底モデル化合物のイソブチロニトリル, プロピオニトリルなどを用いて赤外線吸收スペクトルにより, 定性的に実証した。さらにポリマーのジメチルホルマミド稀薄溶液における粘度の温度変化の研究によって上述の分子論的研究の結論が支持された。
  • 第3報アセナフチレンの重合
    井本 稔, 竹本 喜一
    1954 年11 巻113 号 p. 385-389
    発行日: 1954/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    タール中に豊富に存在するアセナフテンに脱水素反應を行って得られるアセナフチレンは, イオン触媒, あるいはラジヵル触媒によって容易に高重合反應を行うことが最近の報告1), 2) に示されている。われわれはアセナフチレンの重合を三弗化硼素・エーテル錯合体を触媒に用いて重合速度の檢討を試みた。その結果, 重合速度はモノマーおよび触媒の初濃度に関して1次であることが見出され, また反應入の活性化エネルギーの値は12.5Kca1/mo1であることが示ざれた。
  • 井本 稔, 大津 隆行, 木村 昴
    1954 年11 巻113 号 p. 389-396
    発行日: 1954/09/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    過酸化ベンゾイルを開始剤とせるある種モノマー, 例えばメチルアクリレート, メチルメタアクリレー卜およびスチレンなどの重合系に第3級アミンを加えた場合, その重合速度かいちじるしく促進されることが見出された. われわれの研究室でも、井本および崔はメチルアクリレート, エチルアクリレートおよびメチルメタアクリレートの重合において同様な現象を観察し, 二, 三の動力学的実験を行った、そしてまた井本および協同研究者はアクリロニトリルの重合に際しても促進作用を有することを見出した. しかしながら, かような系によるビニルモノマーの重合の詳細は明らかにされなかった. 塩化ビニルの過酸化ペンゾイル触媒重合において, 第3級アミンが促進作用を有することはすてにフランス特許に明らかにされているが, そこ詳しいことは不明てある.われわれはジメチルアニリンを過酸化べンゾイルを開始剤とせる塩化ビニルの塊状, 溶液および懸垂重合に加えた場合促進作用を有することを観察した. この報告においては過酸化ペンゾイルを開始剤とせろ. 塩化ビニルの溶液重合を通じてジメチルアニリンの影響を動力学的に明らかにせんと試みた.
  • 井本 稔, 崔 錫権
    1954 年11 巻113 号 p. 396-408
    発行日: 1954/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ベンゼンを溶媒として, ジメチルアニリンの存在下に, 過酸化ベンゾイル (またはその置換化合物)の分解の初速度 (-dP/dt) toをはかると, それはvo=k2PoAoで示される。Pは過酸化物の濃度Aはアミンの濃度である。また置換過酸化物ではvoはハメットの式によく一致する。ただしジメチルアニリンの存在しないときに比較すると, その傾向はまったく逆になる. 以上より, ジメチルアニリンの存在時における過酸化ベンゾイルの分解の機構を論ずる。
    過酸化ヒベンゾイル (以下Bz2O2と略する)および置換したBz2O2の分解に関する研究は多い. とくにNozaki, BartlettおよびSwain, Stockmayer, ClarkeはBz2O2の分解速度が次式で示されるとした。
    ただしPはBz2O2の濃度, k1は自己分解の速度恒数, kiは誘導分解の速度恒数. fltx は0. 5~2.0である。本報はジメチルアニリンの存在における分解速度をもとめようとするもである。
    過酸化ベンゾイルを触媒とする重合反應でジメチルアニリン (以下DMAと記す) を共存させると, 重合速度がはげしく大となるが, これは工業的にはすでに大きい意味をもつに到っている. すなわちポリエステル樹脂の成型硬化ではこの反應を利用する. われわれはこの方面の研究をすでに行ってきた。ついでに記せば, 天然ゴム溶液粘度の降下をもDMAは助触媒としてはげしく行うことを, 先に見つけた。
    もっとも, DMAの存在でBz2O2の分解速度を追跡した文献はまだ見あたらない, ただ, その反應機構についてはHomer等のくわしい研究がある。それによるとBz2O2はDMAと反應して分解を行う。すなわち次式のごとくである。
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