高分子化學
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29 巻, 329 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 前田 勝啓, 小林 昭
    1972 年29 巻329 号 p. 605-609
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    本研究は平面ダイスを用いたプラスチックの円筒深絞り加工について行なった。この報告では, 深絞り性に及ぼすクリヤランスの影響について検討した。試料はABSおよびポリカーボネートのシートを旋盤によって円板に加工したブランクを使用した。
    深絞り性の評価は限界絞り比, 最大ポンチカおよび製品形状によって行なった。その結果, つぎのような結論が得られた。1) クリヤランスと板厚との比c/tの最適加工条件は, ABSが0.9で, ボリカーボネートが0.8である。2) クリヤランスがブランクの板厚よりも10%大きい場合に, しごき作用の発生がポンチ荷重-行程曲線によって見いだされた。これは深絞り過程においてフランジ部の板厚の増加によるものと思われる。
  • 今井 淑夫, 浦山 清
    1972 年29 巻329 号 p. 610-614
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    脂肪族および芳香族ジアミンと, エチレンジアミンおよびp-フェニレンジアミンから得られるN, N, N′, N′-ジアミンテトラ酢酸ジ無水物との反応により, 一連のポリ-2, 6-ピペラジンジオンを合成した。ボリマー合成は2段法によった。まず, N-メチル-2-ビロリドン中, 室温で開環重付加反応させてポリアミド酸を得, ついで無水酢酸とビリジンを用いて110℃で化学的処理することにより脱水環化反応させてポリ-2, 6-ビペラジンジオンを得た。これらのポリマーは, 全脂肪族系のものを除いて, ギ酸, m-クレゾール, ジメチルアセトアミド, ジメチルスルホキシド, ピリジンのような有機溶媒に不溶であうた。窒素申における熱重量分析によると, 脂肪族および全芳香族のいずれのポリ-2, 6-ビペラジンジオンも, 270-350℃の範囲で最初の重量減少を示した。
  • 針間 浩, 柴谷 享一郎, 港野 尚武, 大柳 康治
    1972 年29 巻329 号 p. 615-619
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    シス-1, 4-ポリイソプレンについて, 応力-ひずみ曲線と線形粘弾性の関係に及ぼす分子量および分子量分布の影響を調べた。[η] 30℃トルエン=2.07から4.23dl/g, Mw/Mn=1.35から4.58 (GPCによる) の試料について, 30℃で, 伸長速度1/6から1/3000sec-1で得られた応力-ひずみ曲線は, 線形粘弾性で決まる時間のみの関数f (t) と, ひずみの関数g (ε) の積で表わされる。そして, g (ε) 対εの関係は, 分子量および分子量分布によらない。したがって, 分子量および分子量分布の違いによる応力-ひずみ曲線の変化は, 線形粘弾性の違いによると考えられる。なお, 検討したひずみ量は, 2.5までである。
  • 針間 浩, 港野 尚武, 影山 喬士, 大柳 康治
    1972 年29 巻329 号 p. 619-624
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    天然ゴム (NRと略す) のグリーンストレングスが高い原因を知るために, 0°から60℃, 伸長速度1/6から1/3000sec-1での応カーひずみ曲線と線形粘弾性の関係を検討した。NRについて, カーボンブラックを40phr以下含む系の応力-ひずみ曲線は, ひずみのみの関数g (ε) と線形粘弾性で決まる時間のみの関数f (t) の積の形で表わされる。純ゴム系では, g (ε) は温度によらず, 合成シス-1, 4-ボリイソブレン (IRと略す) の結果と一致する。したがって, NRとIRの応力-ひずみ曲線の差は, 線形粘弾性の違いによると考えられる。カーボンブラックを含む系では, NRのg (ε) は温度依存性を示し, 30℃で伸長結晶化の影響が考えられる。
  • 半田 隆, 大塚 信好, 高橋 惇, 鮎川 弥一
    1972 年29 巻329 号 p. 625-630
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    電子線前照射スターチに対するメタクリル酸メチル (MMA) のグラフト共重合反応の速度論的解析を行なった。水分共存での実験結果から巨視的拡散を伴った非定常状態でのグラフト共重合速度式をつぎのように導き,
    Rp=kp [R・] 0/ki {A-kt′ [R・] 0et-kt″ [R・] 0b0t} (-b0t) A=ktR・ [R・] 0+kiM* [M*] 0+kt″ [R・] 0RM・-b0=kiM* [M*] 0et-kt [R・] 0RM2-kt″ [R・] 0RM・et反応を3段階にわけガスクロマトグラフィーによるスターチ粒子内外のMMA濃度とESR測定によるラジカルの時間的変化を関数として, 成長ラジカルの停止反応を調べた結果, この式がゲル効果を含めたグラフト共重合反応を十分説明でき, 成長ラジカルの減少速度が不均一系の反応における単量体の拡散速度を間接的に表わしていることがわかった。
  • 半田 隆, 大塚 信好, 高橋 惇, 鮎川 弥一
    1972 年29 巻329 号 p. 630-634
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    前照射スターチに対するグラフト共重合についての速度式と, 同条件で得られた試料の分子量分布から, 速度式に含まれる停止反応を不均化と再結合に分離し, 不均化の割合を新しいパラメーターV″として導入し, 停止反応速度定数ktについて考察した。この結果, 各重合度におけるf″とktの相関図ができ, f″の収束値趣らktのオーダーが決められることがわかった。
  • 芳賀 一雄, 宇野 敬吉, 岩倉 義男
    1972 年29 巻329 号 p. 634-637
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    ピペラジン-2, 5-ジオンが微量の水を触媒として, 180°で見かけ上固相のまま重合した。水は気体状態で固体モノマーに均一に作用するように工夫した。容積が4cm3の反応封管を用いると, 水が10μl以下では重合速度はきわめて遅いが, 10μl以上では重合速度ははじめに加えた水の量から約10μlだけ引いた値に比例し, またモノマーに関する1次式で表わされた。このため, 10μlの水は反応封管内の水蒸気であり, 残りの水が固体モノマーに吸着または吸収された状態で重合反応に関与するものと推定した。得られたポリマーは高結晶性であり, 逆平行β形ポリグリシンであることが認められた。
  • 船津 和守, 森 芳郎
    1972 年29 巻329 号 p. 638-642
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高せん断速度領域において第一種法線応力差を求める方法がバラス効果を用いて検討された。バラス効果の機構はノズル中の単純せん断流れによって生成された歪が回復して膨張現象が生ずるという仮定に基づいて説明される。この解析で使用した有限変形弾性論によるとノズル内部で発生した歪は, 流体がノズルを出た後で完全に緩和するとしている。第一種の法線応力差が毛細管と平行平板ノズルについて得られ, それらは細管ノズルの出口圧法で得られた値とほとんど一致した。
  • 相田 博, 伊香 和夫, 渡辺 淳, 鈴木 章二, 友兼 昭喜
    1972 年29 巻329 号 p. 643-647
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N-p-置換フェニルマレイミド類とアクリル酸メチルとの共重合体についてディラトメーターを用いてガラス転移点を測定し, 組成およびp-置換基の影響を検討した。
    その結果, 共重合体のガラス転移点はマレイミド単位の増加とともに増加するが, OH基を除いてp-置換基の影響は少ない。
    ガラス転移点上下の膨張係数はマレイミド単位の増加とともに減少する傾向を示すが, TgΔα値は組成およびp-置換基を変えてもほとんど変化しない。ここにTgはガラス転移点, ΔαはTg上下の膨張係数の差である。
    ガラス転移点と組成との関係は2連鎖のstiffness energyを考えると説明される。
  • 荒木 綱男, 原口 玲子, 谷中 俊之
    1972 年29 巻329 号 p. 647-651
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    セルロースの不均一系酸加水分解によって微結晶セルロースが得られることはよく知られている。同じくセルロースの非結晶領域を酸化分解して除去すれば, 酸化法によって微結晶セルロースが得られる。ここではまずアルカリセルロースの老成酸化法によっていかなる微結晶セルロースが得られるかを調べた。その結果, 適当な条件下でつくられた微結晶セルロースは, 酸加水分解法によってつくられたものに比べ (1) 銅価が低く, COOH含量が高く, (2) 重合度がより低く, 粒度がより小さく, (3) 見かけの比容積, 吸水量, 錠剤崩壌性などがほぼ近似した性質を示し, 酸加水分解法によってつくられたものに劣らない性質をもつ微結晶セルロースが得られることを認めた。
  • 荒木 綱男, 山内 貴子, 三浦 久男
    1972 年29 巻329 号 p. 652-656
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    前報の研究に引きつづきK2Cr2O7 NaClOなどの酸化剤を用いる酸化法で微結晶セルロースを製造した場合の製造条件と得られた微結晶セルロースの性質との関係を調べた。その結果. 得られた微結晶セルロースは酸加水分解法による微結晶セルロースに比べ, (1) 銅価, およびCOOH含有量が高く, (2) 重合度および見かけの比容積, 吸水量は近似しており, (3) 粒度はきわめて小さく, (4) アミノ酸褐変性が著しく, (5) 外観はやや微褐色を呈しており, 前報のアルカリセルロース老成酸化法および酸加水分解法によって得られるものに比べて性質が劣っていることを認めた。
  • 坪村 宏, 山本 直登, 赤石 啓
    1972 年29 巻329 号 p. 657-661
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    常温で, 1-80気圧の酸素圧のもとで, 0.08mmおよび0.0013mmの厚さのポリスチレンフィルムについて, 酸素圧の増加に伴い近紫外領域で吸収強度が増大することを見いだした。この吸収は酸素圧に比例して強度が増加し, 273nmおよび260nm以下にピークをもつ二つの吸収帯からなりたっていることがわかった。これらの吸収帯はボリスチレンの側鎖のフェニル基から酸素分子への接触電荷移動吸収スペクトルと結論した. またボリスチレンの延伸フィルムを用いて偏光吸収スベクトルの測定を行ない, この接触電荷移動吸収帯の遷移モーメントの方向を調べた. その結果, この遷移モーメントの方向はフェニル基のベンゼン環にほぼ垂直であることを見いだした。さらにヨウ素で処理した延伸フィルムの偏光吸収スペクトルの測定結果より, ポリスチレンーヨウ素錯体の電荷移動吸収帯の遷移モーメントの方向についても考察した。
  • 中川 幹夫, 石田 真一郎, 金子 曽政
    1972 年29 巻329 号 p. 661-665
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    一般に溶液中での拡散速度は溶媒の粘度に逆比例するが, 高分子溶液中での低分子の拡散速度は, 系の粘度が高いにもかかわらず若干低下するのみである。本報では数種の高分子-溶媒系中での低分子の拡散現象を検討し, 高分子は系の粘度を増加させるが低分子の移動に対しては障害物としてのみ作用すること, 溶液中で線状高分子は拡がり低分子は高分子領域を素ぬけうるが, 剛体球状高分子溶液においては不可能であることなどが明らかとなった。したがってこの拡散現象を定量的に規定する因子は, 線状高分子溶液では高分子鎖の体積分率であり, 剛体球状高分子溶液では溶媒をも取り込んだ高分子領域の体積分率であることがわかった.
  • 山口 格, 木村 彰夫
    1972 年29 巻329 号 p. 665-666
    発行日: 1972/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ジブェニルジクロルシランとP-プロムベンゼンのウルツ型反応によリポリ-ジフェニル-P-フェニレンシランを合成した。縮含剤としてマグネシウム, 溶媒としてテトラヒドロフランを用い分子量約1100のポリマーを得た。ポリマーは空気中約390℃前後から分解がはじまり, この温度はポリ-ジメチルシロキサンやポリージメチル-P-フェニレンシランの場舎に比べ高い。
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