高分子化學
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13 巻, 129 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 第1報PVAの粘度に対する批判
    荒井 溪吉, 鈴木 恵
    1956 年 13 巻 129 号 p. 1-5
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PVAの粘度が, 濃度, 温度, 重合度などの変化によっていかに変化するかを究明することは工業的な基礎実驗として極めて意義が深い。すでに櫻田, 曾根両氏による理論式が, さらに押出式, 落球式, その他の実驗研究については多数の人達によって多くの発表がなされているが, 筆者は取り扱いの比較的簡便な回轉式B型粘度計を使用し粘度, 温度, 濃度の相関関係を求め, 既知の理論式, 実驗結果といかに符合しかつ合致しないかを檢討し, 回轉粘度計使用の際の効果とともに注意事項についてふれてみた。すなわちPVAの濃度25~21%の範囲, 温度に関しては0℃より90℃の範囲について回轉式粘度計による実験結果の粘度ηを述べその回轉力に対応する剪断応力からNewton流, 非Newton流を吟味し, 剪断力0のところで同轉粘度計による実驗結果と押出式によるBakerの拡張式すなわち櫻田, 曾根氏による理論式よりの粘度を比較したところ, おおむね理論と近似の傾向を認めた。しかし剪断力のあるところで, Newton流と, 非Newton流に移る際に回轉粘度計においてはその目盛りの切り込みに相当愼重を期する必要を認めた。一般に粘度測定において回轉粘度計を使用することも確かに一策である事実を認め得た。
  • 第14報アクリロニトリルの過硫酸カリ-酸性亞硫酸ソーダ系レドックス重合について
    片山 將道, 大越 敏夫
    1956 年 13 巻 129 号 p. 6-11
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    KPS-NaHSO3系におけるANのレドックス重合反応を調ベ, 次の事実を認めた。(1) 活性化エネルギーは 11,000~12,000 cal/molである。(2) モノマー濃度に関しては2次に近い。(3) 触媒濃度に関しては1次となった (4) モノマーに対し水量15倍量以下ではSchulzの理論からはずれる。(5) NaHSO3はKPSに対し2倍モル使用するのが効果的である。
  • 第15報アクリロニトリルのレドックス重合系に対する添加物の影響
    片山 將道, 斎藤 善一
    1956 年 13 巻 129 号 p. 11-17
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    KPS~NaHSO3系レドックス重合系にアルユール, ケトン, アルデヒド, メルカブダン, 四塩化炭素を加えその連鎖移動効果を調べつぎの結果を得た。1) アルコール類ではイソープロピルアルコールが最良の連鎖移動剤である。2) 炭素数の少ないケトン, アルデヒド類は負の効果を及ぼすがn-ブチルアルデヒドおよびメチルエチルケトンは蓮銀移動効果を示した。3) 四塩化炭素は非常に影響が少ない。4) メルカプタン類は優秀である。
  • 第5報ポリアクリロニトリルの分別
    小林 秀彦
    1956 年 13 巻 129 号 p. 18-24
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリルの分別方法については1, 2の報告が見られるが, まだその方法が確立されていない。良好な分別方法を見いだすべく溶媒としてヒドロキシアセトニトリルを用いて実験を進めた結果, 非溶媒としてベンゼンあるいはトルエンをアルコールなどを媒体として加えていく方法がかなり良好な結果を與えてくれることを見いだした。
  • 第11報2, 2'-アゾービスイソブチロニトリルを触媒とする酢酸アリルの重合
    櫻田 一郎, 高橋 儀作
    1956 年 13 巻 129 号 p. 25-30
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    2, 2'-アゾービスイソブチロニトリル (AIBN) を触媒として酢酸アリルの重合を行い, さきに報告した過酸化ベンゾイル (BPO) を触媒とする場合と比較した。重合速度と触媒の分解速度の比d [M]/d [Cat] は一の重合反応経過を通じて最後迄一定であつた。得られたポリマーの分子量は905から1295の間にある。化学分析による結果からも, 動力学的実験結果にもとづく計算からもポリマー分子の約80%が触媒切片を結合していることになった。これらの結果はBPOを触媒とした場合と同様である。AIBNを用いた場合とBPOを用いた場合の相違は触媒の開始効率にあり, 前者の方が後者よりかなり低い。重合が開始すればそれ以後の経過は両者全く同様である。
  • 第3報ポリイソブテンの熱分解について
    井上 良三, 大内 重男, 安平 進
    1956 年 13 巻 129 号 p. 31-38
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    市販のVistanex MMB-120, LM-MHの2種の試料を分別してポリイソブテンの熱分解を行い, その反応機構を解析した。ポリイソブテンはその分子の末端に多くの二重結合を持っていると報告せられているが, ポリメタアクリル酸メチルの場合とは異なり, より熱分解し難いことおよびその反応の連鎖長も短いために, 280℃以上の温度においてはrandom initiationによって分解が進行するものと解せられる。われわれはこのような考えのもとに確率論的に高い分解率まで適用できる熱分解速度式をたて, initiationによって分裂する確率βと反応の平均の連鎖長lの函数として分解後の分子量分布式, 分解率 (モノマー収率), 粘度平均重合度などの諸関係式を導き, これを実験結果に適用した。実験的に見いだされた反応の平均連鎖長は約30であり, これよりinitiationの分裂速度式を用いて速度恒数kを計算し, 活性化熱として41k carmolを得た。反応の平均の連鎖長30の値は同じinitiationの機構を仮定するときにはほぼポリスチレンのそれに等しい。
  • ポリエチレンの熱分解について
    井上 良三, 大内 重男, 安平 進
    1956 年 13 巻 129 号 p. 38-44
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Bakelite社製のDYLY, DYJTを精製分別した2種の試料を用いてポリエチレンの熱分解を行い, その反応機構を解析した。比較的低い温度 (320℃以下) においては分子中におそらく無秩序に存在すると考えられるweak bondのみの分裂によりinitiationが起り, より高温 (340℃ 以上) においてnormal bomdのrandom initiationによる分裂がならびおこるものと解せられる。このような考えのもとに確率論的にそれぞれの場合の分子量分布式, 分解率, 粘度平均重合度などの諸関係式をinitiationによって分裂する確率 (βωおよびβn) と平均の反応の連鎖長lを用いて表わし実験結果に適用した。平均の反応の連鎖長として基本分子單位 (-CH2-CH2-) に数えて12の値を得た。かくしてそれぞれの場合のinitiationによる分裂速度式より, weak bondの分裂の起る場合のweak bondの総数ω, weak bondの分裂速度恒数kw, normal bondの分裂速度恒数knを求めた。 weak bondの数としては平均重合度312のポリマー分子1個あて約1個であり, それぞれの場合の活性化エネルギーとして23kcalmol, 64kcarmolの値を得た。さらにポリエチレン分子の屈曲しやすい性質に基くところのshort rangeの分子内chain transfer反応を考えることによりMadorsky等の熱分解生成物の分析結果を合理的に説明し得ることを示した。
  • 仁田 勇, 関 集三, 田所 宏行
    1956 年 13 巻 129 号 p. 45-46
    発行日: 1956/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Infrared absorption spectra were measured of three kinds of polyvinyl alcohol films, swollen in liquid water at 25°C for two days. These three kinds of specimens were prepared from the same PVA powder specimen and subjected to different heat-treatments;no heat-treatment (I), 100°C, 30min.(II) and 160°C, 15min.(III).It was observed in the present study that the crystallization-sensitive band (1146cm-1) is hardly found in the spectra of the swollen samples (I) and (II) but appears progressively as the samples are being dried. On thee other hand, in the case of sample III this band appears not to be effected strongly by swelling.This observation is consistent with our previous results about the X-ray-measurements that the crystalline regions of the swollen PVA films, except a film subjected to strong heat-treatment, are penetrated by water molecules at room temperature.
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