PVAの粘度が, 濃度, 温度, 重合度などの変化によっていかに変化するかを究明することは工業的な基礎実驗として極めて意義が深い。すでに櫻田, 曾根両氏による理論式が, さらに押出式, 落球式, その他の実驗研究については多数の人達によって多くの発表がなされているが, 筆者は取り扱いの比較的簡便な回轉式B型粘度計を使用し粘度, 温度, 濃度の相関関係を求め, 既知の理論式, 実驗結果といかに符合しかつ合致しないかを檢討し, 回轉粘度計使用の際の効果とともに注意事項についてふれてみた。すなわちPVAの濃度25~21%の範囲, 温度に関しては0℃より90℃の範囲について回轉式粘度計による実験結果の粘度ηを述べその回轉力に対応する剪断応力からNewton流, 非Newton流を吟味し, 剪断力0のところで同轉粘度計による実驗結果と押出式によるBakerの拡張式すなわち櫻田, 曾根氏による理論式よりの粘度を比較したところ, おおむね理論と近似の傾向を認めた。しかし剪断力のあるところで, Newton流と, 非Newton流に移る際に回轉粘度計においてはその目盛りの切り込みに相当愼重を期する必要を認めた。一般に粘度測定において回轉粘度計を使用することも確かに一策である事実を認め得た。
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