高分子化學
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9 巻, 86 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 小室 利光, 戸上 悦次, 二見 明
    1952 年 9 巻 86 号 p. 1-6
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 第7報流動触媒と靜止触媒との理論的比較
    古川 淳二
    1952 年 9 巻 86 号 p. 7-12
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    流動触媒においては触媒粉体の流動化により触媒吸着相及び気相における反応成分の移動, 攪亂が起り, このため反応塔の高さ, 方向への反応成分の濃度勾配が靜止触媒とは異ったものとなる。気相側及び触媒側における攪亂による機械的な擴散の影響を種々の場合につき論じた。また反応次数の影響が流動触媒と靜止触媒の場合により異ることを指摘した。前者の方が一般に出口における反応率が小さくなる。
    流動触媒では粉体が反応塔中で流動移動し, またそれに伴いガスも流動する。故に反応成分の濃度勾配はガス流れ, 触媒への吸着移動や反応による消耗の他にこれら粉体やガスの攪亂移動の影響をうける。即ち粉体の運動による一種の擴散効果がある。筆者は別に粉体の不規則運動と液体分子の熱運動の類似性を考え流動粉体の粘度, 膨脹を研究し液体と類似の性質を発見したが, この考えによると粉体の流動擴散を液体の熱擴散と同様に取扱える可能性がある。このような考えにより次に粉体流動性の反応に及ぼす影響をのべてみたい。
  • 岡田 晃, 櫻田 一郎
    1952 年 9 巻 86 号 p. 13-18
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニールアルコールとNaOH, KOH, Ca (OH) 2及びBa (OH) 2等のアルカリ類との反応に関しX線図的に研究した。ポリビニールアルコールは水溶液あるいはフィルムの形にしてアルカリ類の水溶液と反応せしめ, フィルムの場合あるいは沈澱を生ずる場合には主にアセトンで, これを洗滌し, 沈澱を生じないときはアセトンで沈澱させたものを試料とした。試料はその儘風乾し, あるいは延伸後風乾し, さらに100℃ あるいはそれ以上の温度で熱処理してX線図を撮影した。
    いずれのアルカリの場合にもポリビニールアルコールのA1に相当する面間隔7.90Aring;は多少擴大され, A2 (d=4.50Aring;) のそれは縮少され, A4 (d=3.80Aring;) は多少擴大されるが一般に弱くなる。適当濃度のNaOHあるいはBa (OH) 2溶液の場合には内部に新に約12Aring;あるいは14.5Aring;の赤道干渉が出現する。
    これらの実験からポリビニールアルコールはアルカリ類を選択的に結合し分子化合物をつくる能力があるものと認められる。
  • H2O-C2H5OH-NaOH系におけるPVAの挙動
    長野 正満, 吉岡 義英
    1952 年 9 巻 86 号 p. 19-21
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    H2O-NaOH系におけるPVAの膨潤及びVieweg法による見かけのアルカリ吸牧量を測定しボたもので, PVAは20~40容量%アルコール, 80g/l NaoH溶液において極大の膨潤を示し, 72容量%アルコール, 120g/l NaoH溶液において最大の見かけのアルカリ吸牧量, 即ち1モルNaoH/3.6モルVAに達する。
  • 粒状PVAの硫化に関する研究
    吉岡 義英, 長野 正満
    1952 年 9 巻 86 号 p. 22-25
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    50メッシュあるいはそれ以下の目の細い篩で節分した粒状PVAを5~15%の苛性ソーダ溶液あるいは同濃度のアルコール性苛性ソーダ溶液で処理後, アルカリセルローズと同様の方法により硫化を行えば, 氷に可溶性のPVAザントゲン酸ソーダとなり, 二硫化炭素結合量はセルローズザンテートに近似の値即ちPVAに対し20~25%に透する。
  • アルカリ性PVA溶液の硫化に関する研究
    吉岡 義英, 長野 正満
    1952 年 9 巻 86 号 p. 25-27
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PVAの水溶液にNaOHとCS2を適量混合して攬拌すれば乳濁状に分散したCS2は漸次透明となり, 遂にビスロース様の溶液となる。この際PVAはザンテート化反応を起し, 粒状PVAの硫化時とほぼ同様に1CS2/7~8VAの結合量に達する。これにさらにNaOH及びCS2を追加して後硫化を行えばほぼ1CS2/3~4VAにまで達する
  • 第5報 アクリロニトリル, 酢酸ビニール系合成纎維の耐熱性及び鹸化処理について
    神原 周, 片山 將道, 北川 日出次
    1952 年 9 巻 86 号 p. 28-32
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アセトン, ニトロメタン不溶解範圍の共重合体をジメチルホルムアミドに溶解して, 湿式紡糸し, その耐熱性を調べた。その結果としてこの範圍の共重合体はポリアクリルニトリル (PAN) に近い耐熱性のあることを認めた。從ってアセトン可溶性共重合体の耐熱性を比較するためには鹸化も殆んど完全に行う必要がある。次いで苛性ソーダ, メタノール系鹸化処理をAN75モル%共重合体纎維に高温 (40-55℃), 高濃度 (2-5%) で行い55℃, 苛性ソーダ4%, メタノール溶液では1.5分処理で充分であり, 反応時間が短いため前回報告した膨潤による纎維相互の附着は防止できることがわかった。なお鹸化と同時に延伸を試み強度の低下をある程度防止できた。
  • 平林 清, 平松 淳
    1952 年 9 巻 86 号 p. 33-35
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    純PVA繊維, 並びにそれにNaOHあるいはH2SO4を含浸せしめたものを試料にし, 空気の存在において400℃迄加熱し, その間の重量の減少を測定すると共にX線図を撮影した。これらの結果から加熱並びに熱分解は3個の區分に別けられることを知つた。第1區分においては重量の減少はわずかであり, この間においては熱処理の効果でX線図は鮮鋭なPVAの繊維図を与える。ついで第3の區分に入り, この温度區分ではX線図は4.5~5.2A附近の面間隔に相当する巾広のリングのみとなり, 主として化学的な脱水反応が起る。最後の第3區分ではX線図はハローのみとなり, 酸化分解が進行しつつあると考えられる。NaOHは熱分解の開始温度を低下させることはわずかであるが, それが開始すればこれを大いに促進する。H2SO4は逆に熱分解の開始温度を低下させるが, 熱分解の進行は促進しない。
  • 第1報 ポリビニールアルコール繊維の“Accessibility”について
    吉岡 義英, 長野 正満
    1952 年 9 巻 86 号 p. 36-38
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    紡糸直後のポリビニールアルコール繊維の“Accessibility”を100%と仮定し, これと熱処理を行った纎維との同一條件下におけるアセタール化度の比より熱処理ポリビニールァルコールファイバーの“Accessibility”を求める方法を提案し, この方法により熱処理の“Accessibility”に及ぼす効果を略定量的に明らかにした。
  • 松本 昌一
    1952 年 9 巻 86 号 p. 39-43
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    最近スペンサーは分子量分配の簡単な測定方法を提案した。ただスペンサーの述べている方法そのままでは各沈澱の重量平均分子量が求められないと使えない。一般にどこでも測定できる粘度平均分子量を求める時は [η] =KMαを利用するからα≠1であれば重量平均は求められずスペンサーの方法をそのまま使えない。この場合は沈澱の平均極限粘度 [η] を求め, 沈澱の重量分率Cとの積 [η] Cを求めd ([η] C)/dcを求め, これを [η] とし [η] に対応するをPを使つて積分分配函数を求められる。
    また同様にして溶液部分の [η] も利用でき, これにより一の実験を有効に利用できる。この方法をポリ酢酸ビニール, ポリビニールアルコールに応用し, 乳化重合のポリビニールアルコールは二の分配の山が認められ, 以前の研究と一致した結果を得た。
  • 第1報 保護コロイド“プロタルゼン酸”及び“リサルビン酸”について
    小栗 捨藏, 小野 隆
    1952 年 9 巻 86 号 p. 44-47
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    各種無機物, なかんずく金属及び金属酸化物の保護コロイドとして有効な蛋白質中間分解物の混合体でるある「プロタルビン酸」及び「リサルピン酸」を乾燥アルブミン及び卵白より調製してその保護作用を金数の測定によって比較してみた。分解用アルカリの濃度が大きい場合と加熱時間が長い場合は共に金数は概して大となり, 保護作用は減少する。原蛋白質の分解程度の差による分解産物の割合が保護作用に影響すると考えられる。
    溶液の粘度, 表面張力等と金数は直接の関係は認められない
  • 第4報附加反応に対するメタノールの影響について
    高橋 彰
    1952 年 9 巻 86 号 p. 48-50
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    フォルマリン中には10%内外のメタノールが含有されているが, これが尿素とフォルムアルデヒドの附加反應 (メチロール化反應) に影響があるかないかを檢討してみた。フォルムアルデヒドはメタノールとCH2OCH3の如きフォルマールを造り得ることは周知の事実であるために, メタノールの存在が附加反応に影響することが考えられる。
    著者は反応系に存在するメタノールの量を變えて, 附加反応速度を測りメタノールの存在は附加反応をわずかに阻止する傾向を有することを知った。
  • 第5報ヂメチロール尿素の酸性水溶液における縮合反応について
    高橋 彰
    1952 年 9 巻 86 号 p. 50-52
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ヂメチロール尿素HOH2CHNCONHCH2OHが縮合をなす時に一部CH2Oが放出されることは多くの研究者によって認められておるのであり, Goldschmidt's Compoundの生ずる場合には
    の如く2分子ヂメチロール尿素から1分子のCH2Oの放出も考えられるのであるけれども多くの縮合反応に必ずCH2Oが定量的に放出されるということはないのであるが, 一部の学者はヂメチロール尿素を酸性水溶液中で縮合させるとCH2Oを放出して-NH2基が生じ, この-NH2基とメチロール基の間に脱水縮合が起るのであり, -NH-基には縮合しないと説くのであるが, 著者はこれについて検討し放出CH2Oは縮合主反応に直接的関連はなく, 縮合の主反応は-CH2OH基と-NH-基の間に行われていることを知った。
  • 第6報ヂメチロール尿素の熱変化について
    高橋 彰
    1952 年 9 巻 86 号 p. 53-55
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ヂメチロール尿素固体を加熱して放出されるCH2O及びH2Oを迫跡して樹脂化機構を論ずる研究はDixon あるいはWalter & Gewing氏などにより詳細に展開されたのであるが, それらの研究は専らヂメチロール尿素を融点以上の一定温度に長時間加熱して, 生成樹脂物質の構造を知ろうとするものであるが, 著者はヂメチロール尿素結晶を徐々に低温より高温 (200℃) 迄加熱して熱天秤によって減量状況を観察し, 143℃に屈曲点のあることを知り, また一方環状電気炉中で同要領にて温度を上げて放出されるCH2Oの量を定量し, 屈曲点143℃迄加熱された試料の-CH2OH基残存量を定量してヂメチロール尿素の2個の-CH2OH基は縮合反応において同格でないことを知った。
  • 第7報縮合反応間の粘度変化について
    高橋 彰
    1952 年 9 巻 86 号 p. 56-62
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    尿素とフォルマリンをアンモニア触媒で, 封管中に100℃加圧下で附加縮合せしめて, 尿素1モル, フォルムアルデヒド2モルの割合では粘度が時間と共に直線的に上昇し, 1モル, 3モルの場合は最初は直線的に上昇するが, ある点に達すると次第に減少する事実を知った。これを常圧下において行って非常に長時間の間に同様な変化をなすことをも知った。また封管中の場合について附加反応率縮合反応率を測定し, それらの結果に基いて反応機構分子生長の状況などにつき若干の考察を試みた。
  • 第8報樹脂分子の形状について
    高橋 彰
    1952 年 9 巻 86 号 p. 62-66
    発行日: 1952/05/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報において尿素1モル, フォルムアルデヒド2モルの酸性縮合においては樹脂分子は線状に生長し, 1モル, 3モルの場合は最初は線状に後分枝球状化することを考察したが, 今回はこれの証明を試みるために金子氏によって提唱されたEinsteinの粘度式を補正して高粘度迄適用され得る新粘度式を適用して樹脂粒子の比容積ψを検討し, CH2O2モルの場合は常にψ一定値を与えず, 3モルの場合は粘度の低下した点でψが一定となることを知った。金子氏はH. FinkentscherとH. Markが親溶媒性コロイドの場合についてEinsteinの球状粒子に関する粘度式をVan der Waalsの状態方程式の補正にならって補正したところのなる式をさちに第2項迄を考えてEinsteinの式 (1) を (2) に補正された。
    (2) 式より
    C: 濃度 (g/100c. c. 溶液)
    ηrel: 相対対度, 溶液秒数×比重/水秒数×比重
    ηsp:(ηrel-1) 比粘度
    ψ: 比容積, 乾燥時における溶値1gが溶質中で占める容積を表わす。
    a. b: 粒子の形状に関する恒数, 球状の場合Howinkによりa=2.5 b=4.4
    (2) 式の適合する場合, 即ち粒子が球状であり, ψが一定値を与える時は (3) 式の右辺の値は濃度に正比例する。
    金子氏は溶液中のフェノール樹脂に (2) 式を適用してCが (3) 式の右辺に比例し, なおψが一定値を与うることからフェノール樹脂分子の球状なることを証明された。なおこの式は高濃度においても低濃度においてもよく適合することを報じていられるが, 最高Cを40g/100c. c. までとってなおよく適合している。
    著者はいま金子氏の以上の新粘度式をそのまま適用して尿素樹脂粒子の形状を検討しようとした。
  • 1952 年 9 巻 86 号 p. e1
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
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