前報において尿素1モル, フォルムアルデヒド2モルの酸性縮合においては樹脂分子は線状に生長し, 1モル, 3モルの場合は最初は線状に後分枝球状化することを考察したが, 今回はこれの証明を試みるために金子氏によって提唱されたEinsteinの粘度式を補正して高粘度迄適用され得る新粘度式を適用して樹脂粒子の比容積ψを検討し, CH
2O
2モルの場合は常にψ一定値を与えず, 3モルの場合は粘度の低下した点でψが一定となることを知った。金子氏はH. FinkentscherとH. Markが親溶媒性コロイドの場合についてEinsteinの球状粒子に関する粘度式をVan der Waalsの状態方程式の補正にならって補正したところのなる式をさちに第2項迄を考えてEinsteinの式 (1) を (2) に補正された。
(2) 式より
C: 濃度 (g/100c. c. 溶液)
η
rel: 相対対度, 溶液秒数×比重/水秒数×比重
η
sp:(η
rel-1) 比粘度
ψ: 比容積, 乾燥時における溶値1gが溶質中で占める容積を表わす。
a. b: 粒子の形状に関する恒数, 球状の場合Howinkによりa=2.5 b=4.4
(2) 式の適合する場合, 即ち粒子が球状であり, ψが一定値を与える時は (3) 式の右辺の値は濃度に正比例する。
金子氏は溶液中のフェノール樹脂に (2) 式を適用してCが (3) 式の右辺に比例し, なおψが一定値を与うることからフェノール樹脂分子の球状なることを証明された。なおこの式は高濃度においても低濃度においてもよく適合することを報じていられるが, 最高Cを40g/100c. c. までとってなおよく適合している。
著者はいま金子氏の以上の新粘度式をそのまま適用して尿素樹脂粒子の形状を検討しようとした。
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