高分子化學
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20 巻, 214 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 第1報動的複屈折測定装置の試作
    山田 亮
    1963 年20 巻214 号 p. 97-101
    発行日: 1963/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    最近, 小野木, KeedyおよびSteinらは高分子フィルムを振動させながら複屈折の変化を測定する新しい技術について報告している。本報も同様な研究技術に関するものであるが, 特に複屈折とひずみあるいは応力との位相角を, -40から200℃の温度範囲, 0.005から20c/sの周波数領域で, より容易に測定できる装置の試作について述べている。この装置はまた, 一定ひずみおよび一定ひずみ速度などの静的条件の下で複屈折, ひずみ, 応力の同時測定を行なう場合にも用いられる。加硫ゴムおよびポリエチレンフィルムについて行なった予備実験の結果, この装置が良好なリサージュ図形を与え, 目的とした位相角の測定に十分役立つこと, ならびに複屈折とひずみの位相角がこれら二つの試料で異なった符号を有することが示された。
  • 第2報ポリカーボネートの分解
    富川 昌美
    1963 年20 巻214 号 p. 102-107
    発行日: 1963/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Thermal decomposition and hydrolysis of polycarbonate were studied. A large part of the gases which were evolved from polymer during the thermal decomposition reaction was carbon dioxide. The decomposition of polymer was accelerated at higher temperature, and in this case the evolution of methane was observed. Bisphenol A was extracted by methanol-benzene from the decomposition products and the residues were insoluble in methylene chloride. This result suggests the occurence of the degradation and the crosslinking in polymer chain during the decomposition reaction. From the rate of evolution of CO2, the activation energies were calculated as about 21 kcal/mol.
    Bisphenol A was quantitatively obtained by the hydrolysis of polycarbonate. And the rate determining step of hydrolysis was the swelling or dissolving of polycarbonate. Dilute mineral acids were non-reactive to the hydrolysis of polycarbonate, and NaOH and NH4OH especially effective.
  • 第65報オゾン化ポリ塩化ビニルを用いてスチレンおよびメタクリル酸メチルのグラフト重合
    井本 稔, 大津 隆行, 伊藤 俊男
    1963 年20 巻214 号 p. 108-112
    発行日: 1963/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルをフィルム状あるいは粉末状でオゾン化し, ついでスチレンあるいはメタクリル酸メチルをグラフト重合する研究を行なった。室温でのオゾン化を通じて, ポリ塩化ビニルは重量を増加し, 過酸化物が形成される。赤外吸収スペクトルより, オゾン化ポリ塩化ビニルには強いカルボニル基の吸収とオゾニドに基因する吸収が観察された。このものは, 比較的高温でスチレンあるいはメタクリル酸メチルの重合を開始し, グラフト共重合体を与えた。しかしグラフト効率は一般に小で (5~10%), 大量の単独重合体が生成した。
  • 第1報塩化ビニル-アクリロニトリル低温共重合
    南部 慶一
    1963 年20 巻214 号 p. 113-122
    発行日: 1963/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塩化ビニル (VC) とアクリロニトリル (AN) との共重合を主に+5, -15および一30℃で研究し, 組成のかなり均一な共重合物を得てこれらの物性を調べた。第2報以下に述べるVCを主とする各種の共重合物とは異なりこのVC-AN共重合物のみが同一重合温度によるPVCよりも熱収縮率が低かった。共重合物の溶解性はAN含有率の増加に伴って大となり, 20重量%以上では低温PVCの不良溶媒たるアセトンにも溶解する。上記の特性は極性の高いANモノマー単位の特性によるものと解されるのであって, 極性の高いANモノマー単位はVCのシクエンスを乱して非晶領域を広げて分子鎖の可動性を増加する効果よりも, かえって分子鎖間吸引力の中心となり, 鎖間凝集力を増加する効果を強く発揮するのであろう。
  • 第2報塩化ビニルと無水マレイン酸との低温共重合
    南部 慶一
    1963 年20 巻214 号 p. 123-131
    発行日: 1963/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    低温における塩化ビニルと無水マレイン酸との共重合を行ない, 得られた共重合物および繊維の性質を, 同様な条件で得た塩化ビニル重合物ならびに塩化ビニルーマレイン酸ジエチル共重合物の性質と比較した。無水マレイン酸共重合物はかなりの吸湿性を有するが, 空気中ではその繊維の熱収縮率は塩化ビニル繊維とほとんど同一で, 水中ではかなり大きい。さらにカチオン染料に対し良好な染色性を示す。これらはいずれも分子鎖中にカルボキシル基を有するためにほかならない。無水マレイン酸は容易に水和, またはアルコール和して開環するから, 乳化重合はきわめて困難であって, 水不溶の溶媒の溶液として逐次添加することによってようやく目的の一部が達成された。さらに溶媒をほとんど使用しない低温共重合によって酸無水物基をかなり保有する共重合物を得た。このものの赤外吸収スペクトルの変化を調べることによってフィルムを温水中, またはアルコール中に浸漬する間に酸無水物基の開環あるいはエステル化してゆく状況を知ることができた。
  • 第3報塩化ビニルとマレイン酸ジエチルとの低温共重合物の赤外吸収スペクトルおよびX線回折像について
    南部 慶一
    1963 年20 巻214 号 p. 131-136
    発行日: 1963/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塩化ビニルとマレイン酸ジエチルとの共重合を低温の乳化系で行なって, 得られるマレイン酸ジエチル含有量の少ない共重合物のフィルムの赤外吸収スペクトルおよびX線回折像を, 同一温度の重合で得たポリ塩化ビニルのものと比較した。さらにマレイン酸ジエチル含有量を異にする試料問についてもこれらの比較を行ない, 赤外吸収スペクトルおよびX線回折像の急変する組成を塩化ビニル単位の数平均シクエンス長で表現することによって, ポリ塩化ビニルが低温において結晶性を示すに必要なシンジオタクチックシクエンスを与えるに必要な塩化ビニルシクエンスは, 20~30個が最低であることを推論した。
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