高分子化學
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18 巻, 194 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 第2報イソブテン
    今西 幸男, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1961 年 18 巻 194 号 p. 333-338
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    イソブテンのカチオン重合を, 溶媒n- ヘキサン, クロロホルム, 塩化メチレン中で, 触媒としてTiCl4, TiCl4-CCl3COOH, SnCl4-CCl3COOHを用いて, -20, -50, -78℃ で行ない, ポリマーの重合度からktm/kpkt/kpを計算した。またポリマー中の二重結合を臭素化によって定量し, これらの結果からモノマー移動反応と自己停止反応の機構を検討した。重合速度を大にするTiCl4で重合して得たポリイソブテンの方が, 重合速度の小さいSnCl4で得たものより重合度が大きく, スチレンの場合と逆であった。これは重合度を決定するモノマー移動反応の機構の差で説明され, モノマー移動反応にスチレン型とイソブテン型のあることを認めた。またあわせて移動および停止反応に対するイオン対の性質の影響を議論した。
  • 河原 一男
    1961 年 18 巻 194 号 p. 339-345
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    分子量分布測定の一方法であるスペンサー法が, 実際上有用な方法であるかを検討することを日的として, 2種のポリスチレンについてメチルエチルケトン-メタノール系により分別を行なった。相当慎重な実験操作を行なって, ほぼ妥当と思われる分子量分布を得たが, 実験誤差などを検討し, 本方法は原理的に精密な分布測定法とはいえず, 比較的良好な結果を得るためには, 実験には十分な注意が必要なことを示した。
  • 土屋 静雄, 坂口 康義, 桜田 一郎
    1961 年 18 巻 194 号 p. 346-350
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    分別した重合度100~20, 000の直鎖および分岐 (1000個の基本分子あたりの分岐単位数は約 0.4個) ポリ酢酸ビニルの相分離の臨界温度丁6を, メタノール・エタノール (容積比1:1) 混合溶液ならびにアセトン・イソプロパノール (容積比23:77) 混合溶液中で測定した。Tcとポリマーの重合度との関係から, Floryの理論式に従ってθ温度およびエントロピーパラメーターψまを決定した。これらの値は直鎖および分岐ポリマーについてほぼ同じであった。θ溶媒中の直鎖ポリマーの極限粘度数は同一重合度の分岐ポリマーのそれよりも大きく, 両者の比はZimm-Kilbの理論とほぼ定量的に一致した。
  • 川口 達郎
    1961 年 18 巻 194 号 p. 351-356
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ゴムを試料として凍結状態での高分子の強伸度挙動について考察を行ない, 次のような結果を得た。延伸とともに断面を貫通している分子鎖要素の総数が減少するにともない降伏強力は低下する。そのために発熱の効果がなくてもネッキングを生ずることができる。凍結状態の分子鎖の変形は2次的網目の切断で表示される。理想的熱延伸物には降伏点は1個しか生じないが, 冷延伸による延伸物には必らず2個の降伏点が生ずる。
  • 第1報塩基性試薬による発色
    千葉 俊夫, 米沢 輝彦
    1961 年 18 巻 194 号 p. 357-360
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    無水マレイン酸共重合体 (コモノマーとして, ビニルエステル, ビニルエーテル, 塩化ビニル, エチレン) に種々の塩基性試薬を加えると, ポリマーはあざやかなマゼンタに発色する。その際, ビニルエステル共重合体からはカルボン酸, 塩化ビニル共重合体からは塩化水素の脱離が起り, 発色ポリマーにはC=C共役二重結合の存在が認められる。発色ポリマーの極大吸収波長は, いずれの場合もほとんど同じであるから, ポリマーの発色は, 単一色素構造の生成によるもので種々の共役鎖のポリエン構造によるものとは思われない。
  • 1961 年 18 巻 194 号 p. 360
    発行日: 1961年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 18 巻 194 号 p. 360a
    発行日: 1961年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 18 巻 194 号 p. 360b
    発行日: 1961年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 第8報硝酸繊維素アセトン溶液の比容積 (微視的考察)
    竹中 治夫
    1961 年 18 巻 194 号 p. 361-364
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    第3報に得た硝酸繊維素アセトン溶液の比容積濃度関係のうち, 90%以上の濃厚部分から得られる硝酸繊維素の比容積を, X線図的に得られている繊維素および三硝酸繊維素単位胞の大きさから加成的に算出した比容積と比較し, 約図3%の“空孔”が生成しているとみるべきことを示した。さらにこの“空孔”の存在は90%以下の濃度についても第3報で得た比容積濃度関係から示唆されることを示した。しかしこの場合の空孔率は約3%で, 前記のものと数値的相違を示している。これは溶媒による空孔利用率 (空孔充てん率) の差であろうと推論した。
  • 第9報硝酸繊維素アセトン溶液非平衡系の蒸気圧とその系の構造
    竹中 治夫
    1961 年 18 巻 194 号 p. 365-368
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    第5報の測定に引続き行なった温度降下時の硝酸繊維素アセトン溶液の蒸気圧に対し, 見かけ上の平衡が成立しているとみなして熱項, エントロピー項を算出すると理想高分子溶液よりもエントロピー項が大となり, 明らかに矛盾する。上の蒸気圧より不均一系の相当濃度を求めると60%以上の濃度では履歴現象が著しく2~8%に達する。
  • 第10報硝酸繊維素アセトン溶液における蒸発の仕事函数
    竹中 治夫
    1961 年 18 巻 194 号 p. 368-371
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    第5報に得た蒸気圧の温度依存性から金属の仕事函数との類比により, 高分子溶液の溶媒の「蒸発の仕事函数」を求めた。これは固体論におけるときと形式的には全く同一に定義できる。純溶媒からの蒸発の仕事函数は蒸発熱と同一である。第5報の値から算出した蒸発の仕事函数の値は, 硝化グルコース: アセトン1:1まではアセトンの蒸発熱とほぼ同じであるが, 1:1付近から漸増を示し, 3:1以上の濃度では著しく増して13kal/molに達する。このことはこの溶液の痕跡の溶媒がいかに取れにくいかを定量的に示すものであって, 乾燥技術上重要な示唆をするものである。
  • 第11報三酢酸繊維素メチレンクロライド溶液の蒸気圧測定, 相互作用係数, 蒸発の仕事係数
    竹中 治夫, 萩野 孝也
    1961 年 18 巻 194 号 p. 372-374
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    第5, 6, 10報で硝酸繊維アセトン溶液について行なった測定を, 三酢酸繊維素メチレンジクロライド溶液について行ない, その蒸気圧, 相互作用係数, 蒸発の仕事函数を求めた。この際得たメチレンジクロライドの蒸気圧測定値は現在までの文献中最も信頼性の高い値であると考える。溶液の相互作用係数の温度依存性から第6報と同様熱項とエントロピー項に分離したところ, 第6報と全く同様に原点を通る直線上に落ちた。このことはこれら極性高分子溶液一般に成立する実験則ではないかと思われる。また蒸発の仕事函数も酢化グルコース/メチレンジクロライド1:1から漸増し, 3:1以上の濃度で著増を示し11kal/molに達することを示した。
  • 第12報粘弾性測定装置
    竹中 治夫, 尾河 洋一
    1961 年 18 巻 194 号 p. 374-380
    発行日: 1961/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    2×10-3~10cpsの周波数範囲に使用しうる回転振動型粘弾性測定装置を完成し, これをグリセリンを用いて検定し, 満足すべき結果を得た。1cpsより高周波領域では岡博士により指摘されている試料の慣性項が無視しえぬことを確認した。たとえば硝酸繊維素アセトン溶液 (濃度25%) では1cpsで慣性項の寄与が約1%に達する。この実験的証明は本報が最初であろう。
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