高分子化學
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24 巻, 264 号
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  • 第5報 ポリビニルアルコール単結晶の熱処理
    坪井 清, 望月 隆仁
    1967 年 24 巻 264 号 p. 241-244
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) 単結晶の熱処理による変化を電子顕微鏡観察およびX線小角散乱の測定により研究した。PVA単結晶の周辺部に付着している粒子や中央部に見られる粗な組織は200~220℃の熱処理で消失する。230℃の熱処理では, ひだが見られなくなり, 重なった単結晶は融合する。また, 単結晶に穴を生ずる場合がある。230℃で熱処理をした単結晶の電子線回折では, (101) 面以外の反射は認められない。単結晶堆積膜に平行にX線を入射したときに観測される小角散乱の極大の位置から求めた大周期は220℃以上の熱処理で顕著に増大するようであり, 厚化が著しい。
  • 第6報 ポリビニルアルコール単結晶の溶解処理
    坪井 清, 望月 隆仁
    1967 年 24 巻 264 号 p. 245-249
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) 単結晶を100℃の熱水に溶解したときの変化を電子顕微鏡で観察した。単結晶の周辺部がノコ歯状に溶解している場合と直線状に溶解している場合があった。溶解したPVAは残渣PVAより重合度が低い。また, 溶解部分のPVAは結晶全体のPVAに比べてヨード呈色能が低い。部分ケン化PVAを結晶化させると, 周辺部に多くの粒子が付着した板状晶が得られる。粒子は65℃の温水に易溶である。粒子はケン化度の低いPVAが結晶化できずに付着したものであろう。重合度, 立体規則性, ケン化度などに関して分別結晶化が起こっていることを認めた。
  • 野尻 昭夫, 森本 晴夫, 石塚 修
    1967 年 24 巻 264 号 p. 250-258
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    PPにPEをエクストルーダーによりブレンドし, 紡糸した繊維の未延伸糸, 延伸糸につき, ブレンド率と二三の性質の関係を検討した。未延伸糸はPEが入ることにより, PP結晶形がスメクチックから単斜晶形へと変化し結晶化度の増加が見られた。また, 機械的性質への寄与が観測された。さらにX線回折像によるPEの異常配向より, PP-PEの分散状態を推定した。延伸糸では, 一定延伸倍率 (8倍) と最大延伸倍率のものの二三の機械的性質にPE成分30~50%のブレンド率のとき極大値をとることを観測したが, ブレンド繊維の機械的性質には非相溶状態にあるPP-PE両相のすべりに起因するフィブリル化を考慮すべきである。また, 混合方法により, 比容・結晶性は異なることを確認した。
  • 上出 健二
    1967 年 24 巻 264 号 p. 259-271
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    アイソタクチックポリプロピレン球晶の核発生と成長機構を解明し, 同時にBulkの結晶化現象 (高化, 22, 597 (1965)) を球晶機構から説明することを目的とした。市販級ポリプロピレンの沸とうn-ヘプタン抽出残からの分別物, 未分別物および熱分解物を試料とした。赤外, 比重, 融点測定などから全試料を通じて立体規則性度がほとんど変化しないことを確かめた。予備実験によって試料の形態, 溶融条件, 結晶化条件をかなり詳細に検討した。分別区分の球晶の核はほぼ一次反応に従って発生した。一方, 未分別物の核発生速度は一次反応から大きくずれた。核発生速度定数νと極限核密度N∞はともに分子量や分布にあまり左右されず, 結晶化温度に大きく依存した。核発生は核どうしが接触し終る以前に停止した。高分子量物を結晶化させるとより規則正しい球晶が得られた。分子量3.2×103の極低分子量物を130℃以下で結晶化させると, もはや球晶成長が認められなかった。球晶半径の成長速度Gは時間的に一定で, 核の発生時期や核の他の部分の接触の有無に全く無関係であった。比G/νは結晶化温度が10℃変わると約10倍程度変化し, Bulk結晶化曲線の重畳性と矛盾した。しかし, νt>>1 (t: 結晶化時間) であることより, Bulk結晶化のAvramiの係数n=3.0~3.5の実験事実が球晶機構からも裏づけられた。同一結晶化温度で比較すると, 分子量4×105においてGが最大となった。同一過冷却度で比較すると, 分子量が小さいほどGが増加した。Gは (Tm/T) (1/Tm-T) (1/Tm-T) 2 (Tmは融点, Tは結晶化温度) にほぼ比例し, プロットの勾配も分子量とともに増加した。球晶の複屈折度の符号は, 分子量Mv>8.6×104の場合, 130℃以下の結晶化温度で混合型, 140℃以上では負, Mv=2.41×104の場合, 120~150℃で常に正, Mv=3.2×103の試料では130~150℃で常に混合型であった。符号の変化は130~140℃で徐々に起こった。
  • 金子 六郎
    1967 年 24 巻 264 号 p. 272-276
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    300℃までの温度にわたって測定しうる屈折計を試作し, その高分子の転移現象の研究への応用を試みた。この方法の特徴は, 1) 試料が約10mgで測定可能である, 2) 試料中の空孔の影響を受けないこと, 3) 測定値からただちに屈折率という物性定数が求められる, 4) 試料の調製, 測定が容易であることなどである。応用例
    i) 各種ポリオレフィンの融解過程
    ii) ポリプロピレンの無定形密度の推定
    iii) 被照射ポリエチレンの融解現象
    iv) PVAの融点, およびガラス転移点の決定
    v) ビニルメチルエーテルーマレイン酸系共重合体のガラス転移点の測定
  • 竹田 政民, 遠藤 隆一, 酒井 宏, 松浦 義勝, 高橋 武光, 鈴木 健一
    1967 年 24 巻 264 号 p. 277-284
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    市販ポリエチレンの種々の性質を測定したところ低密度ポリエチレングループと高密度ポリエチレングループに分けて記述できることを示した。メルトインデックス, 耐ストレスクラック性, 密度や破断強度は主に固有粘度 (分子量) と相関があり, 他方, 降伏強度や結晶化度は主に密度と相関があることを知った。この研究により新しいポリエチレン, たとえば, 低密度で高分子量, または高密度で低分子量, の製造が期待される。
  • 第1報 シャルピー衝撃強度の温度依存性
    松尾 正人, 上田 明男, 近藤 嘉男
    1967 年 24 巻 264 号 p. 285-295
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    樹脂-ゴム2成分系ポリマーの強じん化機構を探るために, 種々の樹脂-ゴム系のシャルピー衝撃強度の温度依存性を求め, これを粘弾性特性と関係ずけて現象論的に整理した。PVCに種々化学構造の異なるゴムをブレンドした系, および数種のABS樹脂などを試料として用いた。シャルピー衝撃強度の温度依存性はすべての系について同様な傾向を示す。すなわち, ほぼゴム成分のTgに相当する温度より衝撃強度は増加し始め, 温度の上昇とともにほぼ対数的に増加する。この増加はほぼ次式に従う。
    I=Aexp (-B/T) ただしT≧Tg
    ここでIは衝撃強度, A, Bは定数, Tは絶対温度である。樹脂-ゴム界面の接着性が悪いと増加の傾向は著しく弱められる。これらから衝撃強度向上機構について若干の考察を行ない. 衝撃強度を高める方向を示唆した。
  • 中山 博之, 山沢 雄三, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1967 年 24 巻 264 号 p. 296-301
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    メタクリルアミドの塩基性触媒による転位重合の挙動を検討し, アクリルアミドの場合と比較した。その結果次の三つの点が明らかとなった。1) モノマーの反応速度はアクリルアミドの場合よりもかなり小さく, メタクリルアミドの反応性は小さいものと考えられる。2) メタクリルアミドでは重付加的な分子間プロトン転位反応が起こりやすく, アクリルアミドの場合には連鎖重合的な分子内転位反応が起こる無極性溶媒であるトルエン中でも重付加的反応が起こった。3) sec-BuONaを触媒として, ピリジン, DMF, ニトロベンゼンのような極性溶媒中で重合を行なうと, アクリルアミドの場合には起こらなかったモノマーおよびポリマーのアミド基の分解反応が起こった。
  • 田附 重夫, 塚本 宏治, 林 晃一郎, 岡村 誠三
    1967 年 24 巻 264 号 p. 302-308
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    アクリルアミド (AM) の水溶液超音波重合を行ない水溶液放射線重合の結果と比較検討した。超音波照射の初期過程においては系の粘度, 溶存気体, 温度, 反応容器の形状などが複雑に影響するため定量的な取扱いは望めないが, 水溶液放射線重合と比較してi) 重合の活性化エネルギーが大きい。ii) 重合収率に飽和値があり重合度はUS照射時間とともに低化する。iii) 水溶液放射線重合で抑制剤として作用するAgClO4を加えても重合速度に影響は認められない。iv) 触媒重合系に弱いUS照射を行なっても重合速度は不変である。以上の事実よりUS重合の開始過程は放射線重合と異なりAglにより捕捉されうるH原子または水和電子を含まずcavitationにより生じたH2O2生成の原因となる活性種が重合開始に関与していると推論された。解重合などの副反応も無視できない。
  • 第2報 開始反応機構および重合の立体規則性について
    村橋 俊介, 小保方 隆夫, 結城 平明, 畑田 耕一
    1967 年 24 巻 264 号 p. 309-317
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸メチル (MMA) のジエチルアルミニウムジフェニルアミド (Et2AlNPh2) による低温での重合における開始反応を調べる目的で, MMAとEt2AlNPh2との等モル反応をトルエン中-50℃で行なった。反応生成物からdimethyl-2, 4, 6-trimethyl-2-diphenylaminomethyl-cyclohexanone-4, 6-dicarboxylate (A) (mp 99℃) なるMMAの環状三量体が単離された。MMAとLiNPh2との反応では同じ化合物Aがまたmethyl-β-bromo-isobutyrateとLiNPh2との反応ではAの立体異性体 (B) (mp141℃) が得られた。赤外吸収スペクトルによる研究からAとBはそれぞれlld (またはddl) およびlll (またはddd) なる立体配置をとっているものと考えられる。MMAとEt2AlSBuとの反応によってもBuS-基を持った同様な環状三量体が得られた。これらの結果からMMAのEt2AlNPh2およびEt2AlSBuを触媒とする低温における重合反応はそれぞれそれPh2N-およびBuS-アニオンによって開始され, アニオン機構で進行することが明らかになった。MMAのEt2AlNPh2による重合を低温でトルエン, n-ヘキサン, ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどを溶媒として行なったところ, 溶媒の種類によらず, シンジオタクチックなポリマーが得られた。EtAl (NPh2) 2, EtAlN (CH3) PhおよびEt2AlSBuも低温では同様にシンジオタクチックポリマーを与えた。トルエン中, -78℃でEt2AlNPh2, またはEtAl (NPh2) 2を触媒として重合させたポリマーは高度にシンジオタクチックで4-ヘプタノンで処理することによって結晶性のX線回折図を与えた。重合の立体規制は重合の活性末端において触媒が会合形をとることによってなされるものと考えられる。
  • 阪口 文雄, 辻 和一郎, 北丸 竜三
    1967 年 24 巻 264 号 p. 318-325
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    チグラー-ナッタ触媒で重合したポリ-4-メチル-1-ペンテンを一連の溶媒系で沸点における逐次抽出を行なって, 各分別区分の動的粘弾性を種々の物理化学的性質に対比させて試料中の微細構造について考察した。沸点の高い溶媒で抽出される区分ほど立体規則度は高いが, 高規則度部分になると分子量はほぼ一定となった。各区分の立体規則度はMillerの関係式によって評価したが, いずれの区分もアイソタクチックとヘテロタクチックとのプロックコポリマーから成立していると推測できた。分別試料の動的粘弾性測定の結果, 未延伸結晶化フィルムではガラス転移温度に対応するtanδのピークの温度は結晶化度の増大に伴って低温側にシフトした。延伸物では立体規則度の増大に伴ってE″の主分散は高温側に移動することが認められた。さらに熱履歴の粘弾性挙動に及ぼす影響について検討したが, 種々の実験事実が示すこのポリマーの固体物性上の特異な挙動は非晶相のポリマー鎖の充てん密度の異常な性質に基くものとして解釈された。
  • 第10報 N- (4-置換フェニル) マレイミド類とスチレン, メタクリル酸メチルの共重合
    山田 正盛, 高瀬 巖, 三島 敏夫
    1967 年 24 巻 264 号 p. 326-333
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    N- (4-置換フェニル) マレイミド (M2) とスチレン (M1) もしくはメタクリル酸メチル (M1) との共重合を行ない, マレイミドの二重結合の反応性に及ぼす4-置換基の影響を検討した。ポリスチリルラジカルに対するN- (4-置換フェニル) マレイミド類の相対反応性はきわめて大きく, 4-置換基の影響はほとんど認められなかった。生成ポリマーはいずれの置換基ともほぼ1: 1の交互共重合体であることから, スチレン, マレイミド誘導体間の静電的引力が共重合反応に強く作用することを結論した。一方, ポリメタクリル酸メチルラジカルに対するN- (4-置換フェニル) マレイミドの相対反応性1/r1は4-置換基の極性に依存し次のハメット式が成立した。
    ポリメタクリル酸メチルラジカルの攻撃に対するρ値は, -0.18であり, N- (4-置換フェニル) マレイミドのe値と反対に置換基の電子吸引性の増大に従って減少した。さらに, log1/r2とσとの間の直線関係がさきの酢酸ビニル (M1) との共重合におけると同様に認められた。
  • 大橋 力, 林 良之, 小田 良平
    1967 年 24 巻 264 号 p. 334-336
    発行日: 1967/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    β-Methylthio-ethyl methacrylate, 2-methylsulfinyl-ethyl methacrylate, 2-methylsulfonyl-ethyl methacrylateを合成し, それらの重合化を行ない, 生成したポリマーの性質を検討した。特にpoly- (2-methylsulfinyl-ethyl) methacrylateおよびpoly- (2-methylsulfonyl-ethyl) methacrylateが水溶性であることがわかった。
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