高分子化學
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29 巻, 321 号
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  • 山口 格, 星野 光利
    1972 年 29 巻 321 号 p. 1-6
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    液体亜硫酸中におけるホルムアルデヒド線状ポリマーであるパラホルムアルデヒド, α-ポリオキシメチレン等の酸触媒による反応を検討した結果, 主生成物としてトリオキサンが得られ, 他にテトラオキサンと少量のホルムアルデヒドの生成が認められた。本反応はトリオキサンおよびテトラオキサンのカチオン重合の逆反応と考えられる。反応温度が100℃以上では無触媒の反応によっても環状オリゴマーは急速に生成する。液体亜硫酸中において, これら環状オリゴマー類およびホルムアルデヒドモノマーはホルムアルデヒド線状オリゴマー (ポリマー) から生ずる活性末端と平衡関係にあることが認められた。
    また, 液体亜硫酸中では有機溶媒にくらべ生成速度および生成濃度が著しく大きいことがわかった。
  • 小川 俊夫, 田中 章一, 星野 貞夫
    1972 年 29 巻 321 号 p. 6-9
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにおけるポリプロピレン用検量線の作成法について検討したものである。検量線は, ポリプロピレンのフラクションを用いて作成することが最も正確であるが, フラクションを入手するためには通常分別を行なう必要があるので, これを容易に入手できるポリスチレンのフラクションから求める方法について, ユニバーサル直線の考えを基礎にして検討を行なった。log [η] M-Ve直線とlog<R20>1/2-Ve直線の2種のユニバーサルな直線の作成法からポリプロピレンのlogM-Ve/直線を求めた結果では, 前者のほうが実験値とよい一致を示した。
    ([η]: 固有粘度数, M: 分子量, Ve: 溶出液量, <R20>: 非摂動の自乗平均両末端間距離)
  • 大沢 善次郎, 反町 正美, 土屋 雅男, 荻原 允隆
    1972 年 29 巻 321 号 p. 10-14
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    エチレン-酢酸ビニル共重合体 (酢酸ビニル含有量, 0, 3, 12, 18, 40 (重量%)) の熱安定性と酢酸ビニル含有量の関係を明らかにする目的で, 1g試料 (約1mm厚に相当) および100mg試料 (約0.1mm厚に相当) を用い, 150-170℃, 1気圧の酸素ふんい気中で酸素吸収を行なった。また, 熱重量分析により, 脱酢酸量を求め, 理論量と比較した。
    その結果, 1g試料の場合の酸素吸収曲線には自動遅延の傾向が認められるが, 100mg試料の場合は自動促進型を示し, 1g試料に比べて酸素吸収速度が著しく速いことが明らかになった。しかし, 両者とも, ポリエチレンの熱安定性が最も優れ, 酢酸ビニル含有量3%がこれに次ぎ, 0%>3%>40%>18%>12%の順で安定であった。1g試料の場合は酸素の拡散の影響が認められたが, 100mg試料の場合は拡散の影響はなく, 共重合体の熱酸化に要する見かけの活性化エネルギーは, 29-33kcal/molであった。以上の共重合体の熱安定性は, 酢酸ビニルの分布, sequence lengthなどにより, 酸素の透過性 (溶解性) が影響していると推定される。また, 熱重量分析の結果は酸素吸収のそれと一致した。
  • 坂口 康義, 大森 昭夫, 大村 恭弘
    1972 年 29 巻 321 号 p. 15-19
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    1, 4-シスーポリブタジエンのエポキシ化, 加水分解により頭-頭ポリビニルアルコール (h-PVA) を得ようと試みた。その結果, ビニルアルコール単位の含量が約80mol%のh-PVAを得ることができた。ビニルアルコール含量の高いh-PVAは水溶性であり, 普通のPVAに比べて赤外吸収スペクトルが少し異なり, 過ヨウ素酸酸化とアセタール化の速度がずっと遅い。そのアセチル化物は普通ポリ酢酸ビニルに比べて, ケン化反応の初速度はやや大きく, 自己触媒効果はずっと小さい。さらに, 既報のポリジビニルブチラールから誘導したPVAは, 頭-頭構造を高含量に含むことを認めた。
  • 大森 昭夫, 大村 恭弘, 坂口 康義
    1972 年 29 巻 321 号 p. 20-24
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    出発ポリマーの化学反応により, つぎの高分子アルコールを製造した。これらのポリマーおよびポリビニルアルコールの赤外吸収スペクトル間には若干の差異が認められた。また, これらのポリマーの溶解性を検討し, DおよびEは水溶性であることを認めた。-CH2-CH-H-C-CH3-OH (A) -CH3-CH2-C-OH (B) -CH-CH-OH-OH- (C) -CH-CH2OH-CH-CH2OH (D) -CH2-C-CH2OH-CH2OH (E)
  • 坂口 康義, 大森 昭夫, 大村 恭弘
    1972 年 29 巻 321 号 p. 25-30
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    既報した数種の高分子アルコールの過ヨウ素酸酸化, アセタール化, 酢酸-水混合物中におけるアセチル化平衡, 無水酢酸によるアセチル化のような化学反応, およびそれらのアセチル化物のケン化反応について検討した。これらのポリマーの反応性は互いに著しく相違した。得られた結果を, 水酸基の級, 隣接基の立体障害と感応効果, 隣接基間の空間距離などの, ポリマーの構造と関連させて考察した。
  • 大森 昭夫, 田村 敏雄, 坂口 康義
    1972 年 29 巻 321 号 p. 30-34
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    4-メチレン-1, 3-ジオキソランをBF3-Et2Oを用いて重合させ, 得られたポリマーをポリ-α-メチロールビニルアルコール (PMVA) に加水分解した。PMVAは水溶性であり, 過ヨウ素酸ナトリウムにより徐々に酸化され, アセタール化は非常に困難であった。PMVAを無水酢酸で処理すると, 1級水酸基はほぼ定量的にアセチル化されたが, 3級水酸基はそれらの間の脱水反応によりエーテル結合を生じた。PMVAのアセチル化物のケン化速度についても検討を行ない, これらの結果について少し議論した。
  • 坂口 康義, 宮崎 竜平, 寺田 豊
    1972 年 29 巻 321 号 p. 35-39
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    水溶液中における過酸化水素 (HP) の酒石酸 (TA) 触媒による分解速度を検討した。反応の初速度 (υ0) はTA濃度の上昇に伴って増大した。HP濃度の上昇に伴つて, υ0は初め増大するが, その後極大値を経て低下した。エタノール, ブタンジオールなどのアルコールを添加すると, 一般にυ0は減少した。これらの結果に基づき, HPとTAとの中間体コンブレックスを含む反応機構を提出した。
  • 漆崎美 智遠, 池上 章夫, 宮下 友一, 相田 博
    1972 年 29 巻 321 号 p. 40-44
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリN-p-トリルマレイミド (PTM) およびポリN-p-アセチルフェニルマレイミド (PAPM) の熱安定性を検討した。その結果両者とも約300℃まで安定であるが, それを越すと主鎖の切断, 橋かけの生成, 5員環イミドの分解が生ずる。主な分解生成物は両者ともN-p-置換フェニルスクシンイミド, その二, 三量体, N, N′-ジ-p-置換フェニル尿素, 炭酸ガス, 一酸化炭素, メタンおよび水素などである。PTMにくらぺPAPMでは重量減少が少なく, 橋かけ量が多く, 尿素化合物の生成が少ない。
    これらの結果はp-置換基自身の熱安定性によるものである。
  • 遠藤 隆一, 飯村 弘茂, 竹田 政民
    1972 年 29 巻 321 号 p. 44-48
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    イソブチルビニルエーテルと無水マレイン酸をベンゼン溶液中でラジカル重合し, 組成比1対1の交互共重合体をつくった。この共重合体を分別沈殿法を用いて分別し, その分別物のテトラヒドロフラン溶液の光散乱粘度測定を行ないMark-Houwink式, [η] =7.51×10-4Mw0.55を得た。理想状態での分子鎖の算定のため, Stockmayer-Fixmanの方法を用いた。得られた結果をイソブチルビニルエーテルのホモポリマー, スチレンと無水マレイン酸共重合体, スチレンポリスルホンの結果と比較した。
  • 遠藤 隆一, 服部 雅晴, 竹田 政民
    1972 年 29 巻 321 号 p. 48-51
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    無水マレイン酸とメタクリル酸メチルを酢酸エチル溶液中でラジカル重合し, 組成比1対1の交互型共重合体をつくった。この共重合体を, アセトンを溶媒に, 石油エーテルを沈殿剤に用いて分別した。分別物のアセトン溶液の粘度と光散乱を測定しMark-Houwink式 [η] =1.24×10-4Mw0.69を得た。理想状態の分子鎖の広がりをStockmayer-Fixmanの方法で求めポリメタクリル酸メチルと比較したところこの共重合体のほうが大きい。さらに無水マレイン酸とイソブチルビニルエーテル, 無水マレイン酸とスチレンの共重合体の結果と比較して検討した。
  • 野間 夬之, 丹羽 政三
    1972 年 29 巻 321 号 p. 52-55
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    n-ブチルビニルエーテル (BVE) とアクリル酸メチルまたは酢酸ビニルとの共重合では, モノマー組成とコポリマー組成との関係は通常の共重合式に従い, モノマー反応性比は前者に対してはrm=kmm/kmb=3.60およびrb=kbb/kbm=0.00, 後者に対してはro=kvv/kvb=3.70およびrb=kbb/kbv=0.00である。BVEとアクリロニトリルとの共重合では, モノマー組成とコボリマー組成との関係は次式に従う (Fおよびfはそれぞれコボリマー中およびモノマー混合物中のモノマーのモル比である)。
    (F-1) =f [ra (raf+1/raf+1) f+1/ (1/ra) +f] ただしra=kaaaa/kaaab=0.15, ra=kbaaa/kbaab=0.65およびra=kabaa/kabab=2.50である。
  • 石鍋 孝夫, 篠田 克美, 菅生 博之, 石川 欣造
    1972 年 29 巻 321 号 p. 56-59
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高温熱処理したボリエチレンテレフタレートフィルムを, ガラス転移温度Tgより高い温度で延伸固定し, その熱収縮挙動を検討した。加熱による収縮開始温度は, 13%以下の低延伸では, 延伸率とともに減少するが, 200%以上の高延伸では, 逆に増加する。その温度はTgに相当するものと考えられ, これは, Tgで“等空孔分率”状態を仮定すると説明できる。また, 等温熱収縮 (回復) 曲線を時間軸に沿ってよこ軸シフトすると, 合成曲線が得られる。高延伸 (250%) のものは低延伸 (100%) のより全体の傾きが緩やかであるが, 対数移動因子の温度依存性はともにWLF型というよリアレニウス型で, 活性化エネルギーは120 kcal/molである。
  • 田中 喜一郎, 岩月 誠, 森 茂郎
    1972 年 29 巻 321 号 p. 60-65
    発行日: 1972/01/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    光学活性グルタミン酸-γ-メチルエステル-N-カルボン酸無水物 (NCA) の塩素化脂肪族炭化水素による再結晶方法を, NCAの重合と関連づけて検討し, ジクロルメタン, 1, 2-ジクロルエタン, 1, 1, 2, 2-テトラクロルエタンなどが工業的に有用な溶媒であることを見いだした。赤外線吸収スペクトル図形, 粉末法X線回折測定値, 溶解度などから, DL-グルタミン酸-γ-メチルエステルNCA結晶がラセミ混合物結晶であると結論し, 不純物としてラセミ体を含む光学活性グルタミン酸-γ-メチルエステルNCAの光学精製が, 単なる再結晶によって行なえることを確認した。
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