高分子化學
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9 巻, 92 号
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  • 根岸 道治, 伊東 平八郎
    1952 年 9 巻 92 号 p. 426-433
    発行日: 1952/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    振子型衝撃試験器を用いて酢酸繊維素繊維の衝撃破壊挙動に及ぼす衝撃速度 (20~130cm/sec) 及び温度 (15℃~160℃) の影響について実験し次の諸結果を得た。(1) 破壊エネルギーは比較的低速範囲では速度増加にほぼ比例して増加し, ある速度において極大に達し, より高速側では減少する。(2) 低速域における破壊エネルギー~速度関係の傾斜は15℃~70℃範囲では温度増加と共に衣第に緩やかになり, 90℃で逆に急となり, 以後昇温に伴って再び緩やかになる。(3) 極大破壊エネルギーの速度位置は昇温に伴って次第に高速側に移行する傾向を示す。(4) 90℃では測定範囲に2つの極大があらわれる。
    破壊エネルギー~速度間の直線的な関係域に対し既報のごとく, Maxwell要素 (ヤング率E0, 内部粘性係数η) と彈性バネ (ヤング率E) の並列系からなる粘彈性模型を考え, かつそのE0>>Eなる場合への近似 (Voigt要素模型) として得られる次式からηを算出し, その温度依存性について次の結果を得た。
    破壊エネルギー Wv0x1+1/2Ex12
    (v0は衝撃初速度, x1は破壊伸長)
    15℃~160℃において, η~1/T関係は傾きのやや異る不連続な2つの直線で示され, これにAndrade式η=AeE/RTを適用し, A及び流動の活性化ェネルギーEとして, A1=3.04×104, E1=3.6 Kcal/mol (15℃~70℃) 及びA2=1.74×104, E2=5.0 Kcal/mol (90℃~160℃) を得, これは80℃附近に流動単位の変化するある種の転移点が存在するものであり, 流動単位の温度依存性を示すものと考察した。
    さらに極大破壊エネルギーに対応する速度位置を脆弱破壊の限界速度と考え, これからその見掛けの破壊所要時間x1/v0を算出し, それとηとの関係は15℃~160℃の全範囲に亘って温度に殆んど無関係に次式であらわされることを認めた。
    η=k (t-α)
    (t=x1/v0, k及びαは恒数)
    上式をMaxwell関係式η=Gλに対応せしめて, 剛性率Gに対応するk値として0.34×1010 dyne/cm2, 緩和時間λに対応する (t-α) として10-3 sec程度の値を得た。
    また90℃にあらわれる脆弱破壊の2つの限界速度はλあるいはη分布の1部を示すものであり, 流動単位の速度依存性を示すものと考察した。
  • 第9報 チクロヘキシルアミンの過マンガン酸カリ酸化によるチクロヘキサノンオキシムの合成 (その3)
    岡村 勳, 桜井 亮一
    1952 年 9 巻 92 号 p. 434-437
    発行日: 1952/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 第3報 アニオン型乳化剤による乳化重合
    本山 卓彦, 岡村 誠三
    1952 年 9 巻 92 号 p. 438-444
    発行日: 1952/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    最近の代表的アニオン型乳化剤としてアルキルアリルサルホネート及びアルキルサルフェートを用い酢酸ビニルの乳化重合を行い特に重合物粒子の微細なエマルジョンが得られた。なお両者による重合速度, エマルジョン濁度, 凝析価及び平均重合度の比較を行った。
    なお先に報告した「乳化剤共存下の酢酸ビニルの乳化重合」[高分子化学 8 329 (1951)] を第1報とし, 「酢酸ビニルの乳化重合における不飽和化合物の影響」[高分子化学 8 471 (1951)] を第2報とする。
  • 第4報 含窒素化合物の重合阻止作用
    岡村 誠三, 本山 卓彦
    1952 年 9 巻 92 号 p. 444-450
    発行日: 1952/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アルキルサルフェートを乳化剤とする酢酸ビニルの乳化重合で次の36種の有機化合物 (次頁上図) を0.1ないし0.01モル%添加して重合速度と重合度とを測定し, 芳香族ニトロ, ニトロソ及びアミノあるいはアゾ化合物が重合阻止作用を有することがわかった。
  • 第5報 非イオン型乳化剤による乳化重合
    本山 卓彦, 山本 昭二, 岡村 誠三
    1952 年 9 巻 92 号 p. 450-453
    発行日: 1952/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレングリコール系の非イオン型乳化剤を用い酢酸ビニルの乳化重合を行い, 乳化剤の種類, 濃度及び不純物の有無が重合速度並びに生成乳液の性質に及ぼす影響について吟味した。
  • 第1報 メチロールレ尿素の平衝恒数について
    祖父江 寛, 村上 謙吉
    1952 年 9 巻 92 号 p. 454-461
    発行日: 1952/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    樹脂加工用尿素・ホルムアルデヒド初期縮合物は従来のものは甚だ不安定で, 使用中短期間に混濁, またはゲル化してしまう。しかしながらトリメチロール尿素, テトラメチロール尿素のような高メチロール化物を共存させるとき, 樹脂液は長期間安定性を失わぬ [デュポン社, 英特許 641, 703 (1950)]。
    かかる実用的な面からしても, 初期縮合物モノ, ジ, トリ, テトラの4種メチロール化物のおのおのの生成量の比及び状態が反応温度, 反応時間, 触媒量の変化によつて, いかに変化するかを知ることは重要なことである。これに関する報文は第2報以下にゆずり, 第1報にては適当な低温条件下で, モノ, ジの2種のメチロール尿素を生成せる場合の尿素, ホルマリン, モノメチロール尿素間の平衡恒数K1及びモノメチロール尿素, ホルマリン, ジメチロール尿素間の平衡恒数K2の測定に関し, 2種類の異つた測定法を述べこれらと井上・細野氏の測定法とを比較検討した結果について記述する。
  • 第2報 メチロール尿素の生成について
    祖父江 寛, 村上 謙吉
    1952 年 9 巻 92 号 p. 461-468
    発行日: 1952/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    J. J. Bernard氏は樹脂加工に際してモノメチロール尿素を多量に含む初期縮合物はCuringに時間を長く要し, またジメチロール尿素が多量にすぎると加工布の引裂強度, 摩擦抵抗を弱める原因をなすと述べている。かかる点からしても前報のごとくメチロール尿素中のモノ, ジの各量を知ることは, 樹脂加工上大いに必要なことであるが, 筆者らは前述のK1, K2を用い平衡下の残存ホルマリン量を実測するのみにてモノ, ジの各メチロル尿素の生成量を知る理論式を見出した。一方, 生成メチロール尿素の総量を測り, また前述した平衡下の残存ホルマリン量を知ることによってモノ, ジ生成量の各実測値を求め, これによって理論式の適否を確めた。
    またトリメチロール尿素の生成を考慮に入れた場合に関しても少し言及する。
  • 第7報 構造粘性の概念の明確化とD-γ線図の分類
    村上 健吉
    1952 年 9 巻 92 号 p. 469-475
    発行日: 1952/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    構造粘性とは, 速度勾配とずれ応力が比例しないような流体摩擦であると簡単に考えられている。しかしこのような摩擦関係が成立している場合でも, 本質的に異るものがあり得るので, まずその定義を明らかにした。また構造粘性の本質とその機構並びにこれに関連して, 従来の表示式とその批判を行った。なお最後に筆者の提案した式により粘性物質のD-γ線図の分類を行った。
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