高分子化學
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19 巻, 209 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 井上 正男, 寺社下 政美, 柴山 忠雄
    1962 年 19 巻 209 号 p. 523-527
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    真空成形用硬質塩化ビニル板を真空成形機を用いて延伸し, 縦横の延伸倍率がそれぞれ05~6倍の一様に延伸されたいろいろな一軸~二軸延伸試料をつくり, その縦横の引張試験を行ない, 結果を延伸倍率に対して特性値ベクトル図, 積 (比) 関係図, 増強範囲曲線図として表示した。i) 降伏強さは試片がノッチなし, ノッチ付いずれも延伸倍率が変わってもあまり変化しない、ii) ノッチ付の破断エネルギおよび降伏エネルギは延伸倍率にかなり顕著な依存性を示す。iii) 一つの試料の縦横1組の特性値の積 (比) は, その試料の縦横の延伸倍率の積 (比) にそれぞれ相関があり, このとき特性値の積 (比), 延伸倍率の積 (比) とも対数で表わすとみやすい. iv) 一軸延伸では主延伸方向で増強が起こっても, それと直角方向では弱くなる。二軸の増強は一軸の増強の効果が重なりあったところとみることができ, 延伸倍率のある限られた範囲でしか起こらない。
  • 第2報収縮関数と非Andrade粘度式
    平井 西夫
    1962 年 19 巻 209 号 p. 528-532
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Doolittleの粘度式は収縮関数C (T) = (∂lnPi/∂lnT) Pが0のときAndmde型粘度式になるが, 正の値をとるときはガラス性液体 (非Andrade) の粘度式になる。C (T) は7g近傍で極大値をもち, その両側で急激に0になる関数であるが, そのTg近傍におけるいろいろの近似の方法に応じて, Fox-Flory, WLFおよびTobolsky-Catsiffの粘度式が導かれる。これによって各近似式の特徴が明らかになり, その中に現われる定数(普通各2個) は互いに簡単な式で関係づけられる. またWLF式はTgより高温側で, Tobdsky-CatsiffはTgより低温側で, またFox-FloryはTg近傍で適用性がよいことがわかる.
  • 第5報高密度ポリエチレンのテトラリン溶液の極限粘度の温度依存性について
    上山 守
    1962 年 19 巻 209 号 p. 533-537
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高密度ポリエチレン5種について, テトラリン溶液の粘度を100~140℃ にわたり温度を変えて測定し, 極限粘度の変化について検討した、その結果テトラリン溶液についてもキシレンの場合と同様に, 温度に対して [η] が極大値を示すことをみいだした. しかし, その傾向はキシレンに比べてかなりゆるやかであり, その極大点の温度は130℃ 付近で, 約20℃ ほどキシレン溶液より高温にずれた. ηsp/C~Cの関係は2次曲線となり高濃度溶液の様相を呈した.[η] と温度の関係については先にT. Kawaiらにより報告されたが, それによるとd [η]/dT=0を示す極大点の温度Tmに関してはの関係があり, θ 温度の低いほど, 分岐の数の多いほど, また分子量の低いほどTmも低温に移行する。これより高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの [η] m~Tmの関係も検討した。
  • 第6報ポリエチレンを基体としたポリスチレン混合体およびγ線グラフトポリエチレンの溶液粘度
    上山 守
    1962 年 19 巻 209 号 p. 537-542
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンにポリスチレンを機械的に混合してブレンドポリエチレンをつくり, その溶液粘度を測定した. つぎにγ 線により液相不均一系でスチレンをグラフト重合したグラフトポリエチレンの溶液粘度を測定し, ブレンドと比較検討した。ポリエチレンーポリスチレン系のブレンドの溶液粘度は, その溶液粘度と組成の関係において, もとの成分それぞれの粘度を結んだ直線よりかなり低い値が得られ, この低下の割合はポリスチレン量の少ない部分で著しい. これに対して分子量を異にする2種のポリエチレンの混合体ではその溶液粘度はほぼ直線上にのり加算性が成立した。そしてこれらの原因について考察を加えた。スチレンをグラフト重合したポリエチレンの溶液粘度はブレンドに比べ著しく高い値が得られ, 約50%グラフトしたものでは, その極限粘度はもとのポリエチレンの約2倍に達した. なおグラフトポリエチレンの極限粘度はグラフト量の増加とともにほぼ直線的に増大する. 以上の結果から推定されるグラフトポリマーの構造についても考察を加えた.
  • 柴山 恭一
    1962 年 19 巻 209 号 p. 543-546
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Tobolskyの緩和弾性率に対する経験式を動的弾性率の実数部に適用し, これに対応するtanδの表式を導いた。それらを温度特性の形に書き直した式によって単一の周波数で求めた温度分散曲線から粘弾性の周波数依存性と温度依存性の両者を分離して評価する方法を提出した。
  • 加倉井 敏夫, 野口 達弥
    1962 年 19 巻 209 号 p. 547-552
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    プチルアミンおよびエチレンジアミンを用いて, エポン828との溶液反応の粘度変化の比較検討を行ない, エポキシ樹脂の硬化反応の経過の追求の一手段とした。粘度変化率 (ηr) = (反応時間tにおける溶液粘度)/(反応開始時の溶液粘度) はn-ブチルアミンではηr=1+at-At2, エチレンジアミンではηr=1/(1-βt+Bt2) となった。aおよびβ は反応温度, 反応溶媒中のエチルアルコール成分, 反応試薬初濃度とともに増加し反応速度定数に対応するものであり, 見かけの活性化熱は11.6~11.8kcal/mol, 13.2kcal/mol となった。また, ηr, β などについて反応経過との関連を比較検討した。
  • 第8報芳香族ジカルボン酸とチオエーテルジカルボン酸の共重合ポリアンハイドライドの合成
    依田 直也
    1962 年 19 巻 209 号 p. 553-564
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    分子内にチオエーテル結合をもつ新しい脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸6種を合成し, テレフタル酸との縮重合によりチオエーテル結合を含む結晶性共重合ポリアンハイドライドを合成して各重合体の性状を比較検討し, その赤外スペクトルとX線回折図を考察した。次式の各モノマーの合成条件を検討し, 収率良く合成しうる条件を求めた。
    各チオエーテルジカルボン酸とテレフタル酸の組成と融点の関係を求め, 結晶性チオエーテル共重合ポリアンハイドライドの融点はチオエーテルジカルボン酸のモル分率の増加とともに低下し, 融点と組成の間には次のFloryの式で表わされる関係を満足することを確かめた。
    これからクリスタリットを形成するテレフタル酸無水物単位1mol1あたりの溶融熱hμ=1400~1970cal/repeatingunit, 溶融エントロピーSμ=3.4~4.8cal/repeatiag unit/degなる値を得た。
  • 第4報イソブチルビニルエーテルおよび3級ブチルビニルエーテル
    今西 幸男, 中山 博之, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1962 年 19 巻 209 号 p. 565-570
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    イソブチルビニルェーテルと3級ブチルビニルエーテルのBF3・O (C2H5) 2によるカチオン重合を行なった。高誘電率の溶媒中で得たポリマーほど重合度が低く, メチルビニルエーテルの重合で認められた結果と一致した。次にモノマー移動反応と自己停止反応の速度定数比を計算し, メチルピニルエーテルの結果と比較した。その結果, これらのアルキルビニルエーテルの重合では, 同一の機構で移動および停止反応が起こっていることが推定された。ただしブチルビニルエーテルの重合では, メチルビニルエーテルの場合とは反対に, 移動および停止反応は重合温度の影響よりも重合系の誘電率の影響を強く受けた。そして高誘電率の溶媒中では, 両反応の活性化エネルレギーはほとんど0であった。これらの実験事実は, アルキル基の-I効果や立体障害の差およびアルキルカチオンの安定性の差に基いて説明された。
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