高分子化學
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29 巻, 323 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 岩波 照男, 高井 良三, 金子 六郎
    1972 年 29 巻 323 号 p. 139-143
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    偏光透過光を使った連続測定の可能な等温結晶化速度測定装置を試作し, この装置で得られた結果を同一サンプルについてディラトメトリーによる結果と比較検討した。どちらの結果もよく類似していた。この方法では, ディラトメトリーに比して, 試料量が微小ですみ, より広い温度範囲で, しかもより速い結晶化速度がとらえられることが確かめられた。
    使用したサンプルは, アイソタクチックーポリプロピレン, 高密度ポリエチレンである。
  • 山田 正盛, 高瀬 巌, 小林 将宏
    1972 年 29 巻 323 号 p. 144-148
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N-フェニルマレイミド (PMI) のアニオン重合をテトラヒドロフラン (THF) 中, n-ブチルリチウム (n-BuLi) およびNaOC2H5を開始剤として, -78℃で行なった。両開始剤系ともある重合率で重合の止まる最終重合率が存在し, それは開始剤濃度に依存した。生成ポリマーの分子量 (還元粘度) は重合率, モノマー濃度および開始剤濃度にほとんど無関係であったが, NaOC2H5n-BuLiに比べいくらか大きい値を与えた。また, ジメチルホルムアミド (DMF) 中, C2H5COONaを開始剤とする重合では, 上記開始剤系とほぼ同様の重合挙動を示すが, 重合温度の影響は顕著であり, 0℃付近が最適温度であった。C2H5COONaを飽和濃度以上に添加した不均一開始剤系の重合では, 不均一開始剤量の増加とともに重合率は上昇した。
    PMIのフェニル基のp-置換誘導体の重合をDMF中, C2H3COONaを開始剤として行なった。その結果, p-置換基は電子吸引性になるほど低重合率, 低粘度ポリマーを与えた。
    これらの結果から重合機構について少し考察した。
  • 金 海珍, 西岡 篤夫
    1972 年 29 巻 323 号 p. 148-153
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    側鎖にメチル, エチル, n-プロピル, n-ブチル基を有するポリメタクリル酸エステルの四塩化炭素およびベンゼン溶液中におけるNMRスペクトルの化学シフトを研究した。四塩化炭素中で化学シフトの温度変化が認められ, これをポリマーのコンホメーションによる“内部溶媒効果”に帰した。ベンゼン中では“内部溶媒効果”のほかにポリマーと溶媒間に“外部溶媒効果”が存在し, 側鎖末端メチル基が他の基より強くπ錯体形成に寄与し, かつ, シンジオタクチック配置がもっとも強く相互作用をうけ, また, 側鎖が長くなると立体規則性にはあまり依存しなくなる。
  • 倉地 鉄雄, 川端 英一
    1972 年 29 巻 323 号 p. 154-159
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    トラック, バスタイヤを成型する際, カーカスゴムコンパウンドの粘着力不足は作業性を低下させるばかりでなく, タイヤ性能にも悪影響を及ぼす。そこで本研究は粘着力を左右する諸因子を実験室で解明し, 工場での粘着性不足改善策に結びつけることを目的とした。この際タイヤ成型時の粘着力を簡便に精度よく数値で測定する器具の選定は本研究着手にあたり最重要懸案事項であったが, 東洋精機製PICKUP TACKMETER (粘着力測定器) が触感による粘着評価点と一致することがわかったので, これを使用した。その結果, 1) ゴムコンパウンド配合組成については, 天然ゴム比率が減り, 合成ゴム比率が増すにつれ粘着力が低下することがわかった。さらにOEBR*1の添加は少ないほうがよく, 代わりに天然ゴム系再生ゴムを配合すると粘着力が安定することがわかった。2) ふんい気については, 気温により粘着力が大きく左右され, 気温が高いと粘着力は低下することがわかった。したがって室温は低いほうがよい。
  • 清造 剛, 大槻 文英
    1972 年 29 巻 323 号 p. 159-163
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    芳香族ポリアミドの固相重縮合について検討した結果, 減圧下に加熱することにより, 顕著な着色を伴わずに重縮合反応が進行することが見いだされた。ナイロン6Tで得られたこの反応の活性化エネルギーは29.4kcal/molであり, それはナイロン66で得られた13.7kcal/molに比べてかなり高い。固相重縮合の反応性は, 分子鎖の易動性に対応して, 全脂肪族ポリアミド>脂肪族一芳香族ポリアミド>全芳香族ポリアミドの順に減少した。長時間あるいは高温で固相重縮合を行なうと, 橋かけの形成のために, 不溶性の重合物を生じた。
  • 岩月 誠, 森 茂郎, 桜井 節二
    1972 年 29 巻 323 号 p. 163-168
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    L-グルタミン酸-γ-メチルエステル-N-カルボン酸無水物 (NCA) の工業的合成法について検討し, 塩化水素触媒によるL-グルタミン酸のメチルエステル化反応液中に, 1, 1, 2, 2-テトラクロルエタンまたは1, 2-ジクロルエタンを加え溶媒置換を行なうと, 中間体であるL-グルタミン酸-γ-メチルエステル塩酸塩の微結晶がスラリー状で実質的に無水状態で得られること, これらの溶媒中で中間体のホスゲン化反応を行なうと, 70℃以上で実用上十分な速度で反応が進行し, 未反応物の除去後反応液を濃縮, 冷却するのみで高純度のNCA結晶が単離されること, 中間体と共存するL-グルタミン酸塩酸塩が, ポリL-グルタミン酸-γ-メチルエステル合成時に与える影響が解消されることなどを見いだした。
  • 大津 隆行, 中塚 修
    1972 年 29 巻 323 号 p. 168-172
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    塩化ビニル (M1) とβ-クロルエチルビニルエーテル (M2: CEVE) のラジカル共重合を60℃で行なった。CEVEとの共重合は他のビニルエーテルと異なり, 仕込みモノマー中のCEVE含量が約15mol%までは共重合速度はむしろ増大した。モノマー反応性比としてつぎの値が得られた。γ1=2.59±0.20, γ2=0±0.001
    これからCEVEのQおよびe値はそれぞれ0.010および-2.24と求められた。
    生成共重合体の還元粘度および軟化温度はCEVE含量が増大すると低下した。また共重合体はヘキサメチレンジアミンと反応させると橋かけを起こすことが認められた。
  • 森 邦夫, 中村 儀郎
    1972 年 29 巻 323 号 p. 172-176
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルをエチレンジアミン中でチオール発生剤と30℃で反応して側鎖に二重結合を有するポリ塩化ビニル誘導体 (I) を得た。チオール発生剤としてアリルチオールおよび (β-ビニロキシ) -エチルチオールを発生するo-エチルアリルザンテートまたはチオ酢酸アリルおよびo-エチル- (β-ビニロキシ) -エチルザンテートをそれぞれ用いた。Iの光橋かけはベンゾフェノンの存在で290-330mμの領域の光照射によって促進された。ジオクチルフタレートによって可塑化されたIを2, 5-ジメチル-2, 5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサンによって160℃で橋かけを進め引張強さおよび熱剛直性の優れた軟質重合体を得た。
  • 遠藤 剛, 大河 原信
    1972 年 29 巻 323 号 p. 177-181
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ-N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリドンとフェノール, 安息香酸, アニリン, p-ヒドロキシ安息香酸, レゾルシノールのような芳香族化合物との相互作用を透析平衡法によって検討し, Klotzの式より結合定数を求め, さらに熱力学的諸量を求めた。ΔH値は小さく, ΔSはすべての場合正であった。これらから相互作用には水素結合, 疎水性結合が協同的に働いていることが推定された。さらにポリ-N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリドンとHydropholic probe剤として知られる1-anilinonaphthalene-8-sulfonateとの相互作用を検討し, 疎水性結合の寄与の大きいことがわかった。
  • 今井 淑夫, 高橋 武義
    1972 年 29 巻 323 号 p. 182-185
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    無水トリメリット酸とメチレンビス (4-フェニルイソシアナート) とからトリエチレンジアミンの存在下に加熱溶液重合により芳香族ポリアミドーイミドを合成する場合の溶媒効果について検討した。ニトロベンゼン, ベンゾニトリル, アセトフェノンのような芳香族系極性溶媒を用いると, 重合中にポリマーの沈殿が生成するにもかかわらず, 高分子量のポリアミド-イミドが得られることがわかった。その分子量は, 溶媒としてN-メチル-2-ピロリドンを用いる従来法によって得られるポリマーの分子量よりも高かりた。触媒やその他の重合条件がポリアミド-イミドの分子量に及ぼす影響についても, さらに検討を加えた。
  • 生島 宏一郎, 田中 保, 野本 元
    1972 年 29 巻 323 号 p. 186-191
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々の市販ポリプロピレンの等温結晶化をDSCにより検討した。実験に使用した試料の形状は, (1) ペレット, (2) フィルム, (3) 溶液からの析出物である。前溶融温度を180℃から260℃まで変化させて, tmax (結晶化速度が最大になるまでの時間) を123℃で測定した。結晶形および球晶をX線回折計, 光学顕微鏡で調べた。以下の結論を得た。
    (1) ペレットの場合, tmaxの溶融温度依存性は試料により異なる。アブラミのパラメーターnの値は3と4の間のものが多い。2に近い値の場合にはトランスクリスタルが多く生成した。
    (2) 析出物の場合, tmaxは溶融温度にほとんど依存せず, nの値は4に近かった。
    (3) ペレットおよび析出物から結晶化した試料の結晶形はほとんどα-変態であったが, フィルムからの場合はα-変態とβ-変態の混ざりものであった。
  • 藤山 光美, 鍵山 安弘
    1972 年 29 巻 323 号 p. 191-196
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    分子量分布がほぼ同じで分子量の異なる9種の市販アイソタクチックポリプロピレンの流動性を高化式フローテスターを用いて測定し, 毛細管流動特性に及ぼす分子量につき検討した。
    末端補正係数υ, 流入圧損失P0, 見かけの粘度η, 構造粘性指数N, melt fractureの起こり始める臨界せん断応力τe, 臨界せん断速度γe, 臨界die swell (D/D0) e, および中空成形においてパリソンを成形する最も短いサイクルに比例する量 (D/D0) 4/γなどは重量平均分子量Mwに支配され, 以下の関係で示すことができる。
    ν∝Mw, log P0Mw, logη∝log Mw, NMw, τe∝-Mw, logγe∝-Mw, (D/D0) e∝-Mw, (D/D0) 4ee∝log Mwただし∝なる記号は左右両辺の量の間に正の相関関係があることを意味する。
  • 粟屋 裕, 五十部 武
    1972 年 29 巻 323 号 p. 196-199
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレンのTダイフィルムの機械的性質と分子鎖の配向挙動の関係を, フィルムの機械的性質, 複屈折, 蛍光法等によって検討した。
    フィルムは230-290℃のダイ温度でつくった。測定の結果, Tダイからの押出しフィルムにおいては, 複屈折と蛍光法による配向度とは直線的関係が認められた。ダイ温度が低ければ低いほど, 結晶化度, 配向度は増大する。フィルムを100℃で定長熱処理すると, 結晶, 非晶両領域とも高度に配向する。
  • 武上 善信, 鈴木 俊光, 近藤 俊彦, 三谷 勝男
    1972 年 29 巻 323 号 p. 199-206
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々のZiegler-Natta触媒で重合したエチレンープロピレン (EP) 共重合体の平均組成, 連鎖分布をIR, 220MHZNMRスペクトルから求めた。チタン系触媒で得たEP共重合体はブロック的要素が大きい。バナジウム系触媒ではランダム性がよいが, プロピレンの逆配位が生じやすく, そのためプロピレンの尾-尾結合による〓CH22連鎖が生じる。この結果は著者らが先にα-オレフィンのバナジウムーエチル結合への挿入反応より得た結果とよく一致した。共重合体のNMRスペクトルでは, IRスペクトルでは識別できない長いエチレン連鎖の存在が確認できた。NMRスペクトルから算出した共重合体組成はIRスペクトルから求めた値とよい一致を示した。
  • 宮内 信之助, 大西 俊次
    1972 年 29 巻 323 号 p. 207-212
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    γ線の同時照射法により, ポリスチレンフィルムヘアクロレインをグラフトさせることを目的とし, 特にグラフト重合物の溶解性に関して, グラフト共重合の反応条件等の検討を行なった。反応溶液組成がエタノールとアクロレインの場合, グラフト速度は大きいが, グラフト量の増加とともにポリスチレンの溶剤であるベンゼンへの溶解性が悪くなった。一方, エタノールーアクロレイン反応溶液系に四塩化炭素を加えた場合, グラフト速度は小さいが, ベンゼンへの溶解性のよいグラフト物が得られた。この差を検討するためにグラフト重合物のアルデヒド基, 赤外吸収スペクトルを検討し, 重合はどちらもビニル重合で進んでいるが, 四塩化炭素を含んだ系においてはグラフト鎖中のアルデヒド基がアセタール化され, このことが溶解性をよくしている原因と推定した。
  • 案田 欣二, 岩井 信次
    1972 年 29 巻 323 号 p. 212-213
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    p-クロルスチレンのグリニヤール試薬と1, 2-ブチレンオキシドから, p-ビニルペンジルエチルカルビノールを合成し確認した。bp 119.0-122.0℃/3.5 mmHg, mp 41.0-41.5℃の結晶で, フェニルイソシアナートと容易に反応し, ウレタン化物が合成された。AIBNの存在下, 容易に重合し, さらに, 1) アクリル酸メチル (M1), 2) アクリル酸n-ブチル (M1), 3) アクリロニトリル (M1), と共重合を行ない, 単量体反応性比, 1) γ1=0.18, γ2=0.48, 2) γ1=0.17, γ2=0.40, 3) γ1=0.04, γ2=0.31を得た。
  • 朱 〓暾, 北丸 竜三
    1972 年 29 巻 323 号 p. 214-215
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
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