N-フェニルマレイミド (PMI) のアニオン重合をテトラヒドロフラン (THF) 中,
n-ブチルリチウム (
n-BuLi) およびNaOC
2H
5を開始剤として, -78℃で行なった。両開始剤系ともある重合率で重合の止まる最終重合率が存在し, それは開始剤濃度に依存した。生成ポリマーの分子量 (還元粘度) は重合率, モノマー濃度および開始剤濃度にほとんど無関係であったが, NaOC
2H
5は
n-BuLiに比べいくらか大きい値を与えた。また, ジメチルホルムアミド (DMF) 中, C
2H
5COONaを開始剤とする重合では, 上記開始剤系とほぼ同様の重合挙動を示すが, 重合温度の影響は顕著であり, 0℃付近が最適温度であった。C
2H
5COONaを飽和濃度以上に添加した不均一開始剤系の重合では, 不均一開始剤量の増加とともに重合率は上昇した。
PMIのフェニル基の
p-置換誘導体の重合をDMF中, C
2H
3COONaを開始剤として行なった。その結果,
p-置換基は電子吸引性になるほど低重合率, 低粘度ポリマーを与えた。
これらの結果から重合機構について少し考察した。
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