高分子化學
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16 巻, 173 号
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  • 第2報可塑剤の影響
    角田 吉雄, 相島 逸穂, 桜井 久也, 房内 日出夫
    1959 年 16 巻 173 号 p. 523-526
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Saranの結晶化速度に及ぼす可塑剤の種類あるいは, その割合の影響は溶融紡糸技術の面からみて重要な問題であると考えられる。本報告ではこれら可塑剤の影響を明確にするため, 密度勾配管を用いて結晶化曲線を測定した。可塑剤量の増加とともに結晶化速度はしだいに一定値に近づく傾向を示し, logkおよびτiについても同様な結果を得た。また4%以上に可塑剤量が増加すると, 含有VeCl2に対する30℃の平衡結晶化度はほぼ一定の値を示す. また結晶化度算出の基礎となる可塑剤とポリマーの間の比容積の加成性は実験的にかなり正確に成立することを認めた. かなり異なった相溶性を示す可塑剤を用いても結晶化速度はほとんど変化せず, 結晶化速度に及ぼす可塑剤の種類の影響は認められなかった。
  • 第1報2色性による配向
    角田 吉雄, 相島 逸穂, 桜井 久也
    1959 年 16 巻 173 号 p. 527-532
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報に述べたごとくSaranの結晶化度は約30%にすぎないゆえ, 非晶領域の配向によりfilamentの機械的性質はかなり変化するものと考えられる。本報告ではLeitz偏光顕微鏡を用いて2色比を測定し, 延伸過程における非晶領域の配向の変化を検討した。Saranの後染色は困難なため染料とポリマーを混合し, これを紡糸して2色性を発現せしめることとし, 種々の染料を検討してOil Red Oが適当であることを見出した. これは比較的大きな細長い構造を有するもので主として非晶領域に存在し, この領域の分子配向性を表わすと考えられる。延伸比が増加するとともに2色比は延伸比2.5までは直線的に増加するが, 2.5ないし4.5の範囲では2色比はほとんど変化せず, これ以上に延伸を行なうと急激に低下する. また可塑剤を含まないfilamentの2色比もほぼ同様の傾向を示すことから, この現象は非晶領域でのミクロ的な乱れを示すものと考えられる。
  • 第3報 流出糸の形状について
    高橋 正夫
    1959 年 16 巻 173 号 p. 533-536
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    毛細管を通して溶融ポリエチレンを押し出す場合に, ある臨界のずれ応力あるいは臨界のずれ速度以上において流出糸は不規則な形状を呈するようになるが, このような臨界点におけるずれ応力および臨界点におけるずれ速度の値, およびこれらに対する温度, 分子量, 重合体種類, 毛細管の形状などの影響について考察した。(1) 同種の重合体においては, さない。一方臨界点におけるずれ速度は温度が高いほど, また分子量が小さいほど大きくなる。これは臨界点に対して見かけの溶融粘度の大きさが大きな影響を有していることを意味するものであると考えられる。(2) 製造法を異にする低圧法ポリエチレンを比較すると, 臨界点におけるずれの応力およびずれ速度の値が一定の傾向を持たない。これは臨界点に対して分子量分布が関係していることを意味するものと思われる。(3) 毛細管の形状によって臨界点は変化し, 毛細管のapproachが重要な役割を有していることがわかる。
  • 第4報 毛細管孔形に関する結果
    高橋 正夫
    1959 年 16 巻 173 号 p. 536-539
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    毛細管孔形 (孔径, 孔長および流入口形状) の異なる7種の毛細管を用いて溶融低圧法ポリエチレンの流出挙動を調べた。不規則糸の発生する臨界点におけるずれ速度4QcπRは毛細管の半径Rによらずに大体一定である。したがって臨界点における容量速度Qcと毛細管の半径Rとの間にはQc=KR3という関係式が成立する。一方, 流入口の形状によって流量は変化せず, 臨界容量速度Qcが著しく変化することはTordellaのいわゆる破断 (fracture) の考え方によって支持される結果である。ポリエ千レンの流出挙動に関するいままでの結果とノズルの形状および可紡性などとの関連についても考察を行なった.
  • 第3報 溶融粘度の測定 (その1)
    古谷 進
    1959 年 16 巻 173 号 p. 540-543
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    種のポリ三フッ化塩化エチレンの溶融粘度を227ないし315℃の間で, 平行板プラストメーターで測定した。これらの試料は前に溶融状態の比容積を測定した研究で用いたのと同じものである。DlenesとKlem斑のプラストメーターを改良して用いた。高温で使うために, 黒鉛のローラーベアリングを用いて, 荷重を加える垂直棒を垂直にささえた。荷重の較正は秤量25kgと100kgの吊り (ばね) バカリを用いた。NST300の試料の結果を第5図に, NST270のを第6図に示す。227℃ での溶融粘度はNST270のは107, NST300のは3×107ボアズであり, Bakelite社の結果と大体一致する。見かけの流れの活性化エネルギーは15ないし31kcalとなり, Bakellte社の結果の15kcalとは異なった。その違いについて考察した。
  • 三宅 彰
    1959 年 16 巻 173 号 p. 544-549
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    kTに比してrigidな束縛を受けている収着水の回転ブラウン運動による陽子対の方向の相関函数を求めて陽子磁気共鳴吸収の1/T2, 1/T1を計算した。次にkTに比して束縛を無視できるような収着水に対しては束縛ポテンシャルの影響を回転拡散定数の異方性にくり込んで計算した。可動水に対しては隣接収着水分子の並進ブラウン運動による寄与 (1/T2) inter,(1/T1) interを無視することができない。終りに改良された収着等温式を用いて収着量による1/T2の変化を論じた。
  • 第2報 分子間アセタール結合生成による分岐ポリビニルアルコール生成の動力学
    松沢 秀二
    1959 年 16 巻 173 号 p. 550-554
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    1分子あたり1個および2個のアルデヒド基 (CHO基) を有する2種のポリビニルアノレコール (PVA) の混合物の分子間アセタール化反応による分子量の上昇の統計的計算をした。その結果最初のPVAの重合度はすべて等しくP, 1個のCHO基を有するPVAの全分子数に対する比をγ, CHO基の反応した分率をβとすると, 数平均重合度Pnおよび重量平均重合度Pωはそれぞれで表わせること, またゲル化点においてCHO基の反応している分率βGは, βG=1/(2-γ) で表わせることがわかった。ただしPVAの重合度は50よウ大きいものとする。この理論に前報の実験結果を適用してみた。
  • 浜田 文将
    1959 年 16 巻 173 号 p. 555-560
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塩化ビニリデン (VdCl) とアクリロニトリル (AN) の共重合物 (重量比でVdCl: AN=80:20) のシク糠ヘキサノンおよびテトラヒドロフラン (THF) 溶液は, 常温近くの温度でも長時間放置することにより, 顕著な粘度低下を示すので, この原因について研究した結果, ポリ塩北ビニルやポリアクリロニトリルの溶液の粘度変化のごとく, 溶液中におけるポリマー分子の会合など, いわゆる溶解状態の変化に基くものではなく, 溶液中のポリマー分子の解重合によるものであり, この解重合反応は過酸化物すなわちラジカル発生剤ときわめて少量の酸素の存在ではじめて起きるものであることを明らかにした。
  • 岡村 誠三, 片桐 啓三, 飯田 昌弘
    1959 年 16 巻 173 号 p. 561-564
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    スチレンラジカルと第二鉄イオンの反応を非水溶液中で研究した。BamfordらはN, N-ジメチルホルムアミドを溶剤に用いているが, 本実験ではアセトンを用いて彼らの結果と比較した。アセトン中では重合が禁止された後, 減速が約10%以下になっても続くことから第二鉄イオンとアセトンのcomplexはDMFとのcomplexより反応性が劣るようである。上の塩化第二鉄にかわって数種の金属塩 (PbAc4, CoAc2, SnCl4MnCl2) との反応も研究したがスチレンの重合に影響が認められなかった.
  • 桜田 一郎, 松沢 秀二
    1959 年 16 巻 173 号 p. 565-570
    発行日: 1959/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) の過酸化水素 (H2O2) による酸化機構を調ベ, 以下のことを知った。無触媒では60℃ で明瞭に切断が起るが30℃ ではほとんど起らない。しかしアルカリ触媒の共存下では30℃ でも顕著に切断が起る. また触媒の有無にかかわらず1個の主鎖の結合の切断には10~20個のH2O2分子が必要である。酸化分解したPVAの分子はカルボキシル基とカルボニル基を大体1個ずつ持っており, 分解反応以外の反応はほとんど起っていないと思われる。酸化分解に際しては1, 2-グリコール結合はかなり選択的に切断される。
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