高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
ISSN-L : 0023-2556
13 巻, 138 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 小田 実, 和田 八三久
    1956 年 13 巻 138 号 p. 415-419
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ビニロン製造工程中の3種類のポリビニルアルコール繊維 (D. P. 1600, 3d), すなわち未処理のもの (A), 熱処理したもの (B), およびさらにホルマール化したもの (C) について, 吸湿による密度の変化を浮沈法により測定した。吸湿量0のA, B, Cの密度は25℃でそれぞれ1.298, 1327, 1, 2789/ccであった。密度一吸湿量の関係でA, Bは吸湿量約2%のところに密度の極大があり, 吸湿量の増えるに従って徐々に密度が減少する。しかしCには極大がないようで, また密度の減少する勾配がA, Bより急である。これらの挙動はポリビニルアルコール繊維の吸着水について若干の示唆を与える。
  • 古谷 進
    1956 年 13 巻 138 号 p. 420-424
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂が熔融状態にあるとき, シリコン油によって膨潤するかどうかを検討した。膨潤そのものを測定することは難しいので, シリコン油の吸収星を測定した。測定には3種の樹脂を用い203ないし298℃の間で, 30分間シリコン油に浸した後の重量増加を秤量した。油の吸収量は0.8重量%まで大体温度とともに直線的に増加する。Freyらの実験結果に対する考察より, シリコン油による膨潤に際しては, 容積の加算性が存在することを推定した。
  • 黒崎 重彦, 河瀬 稔枝
    1956 年 13 巻 138 号 p. 425-430
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコールの水溶液は高温で強制溶解した後, 室温に放置すると寒天状ゲルを生ずる。80℃でかろうじて溶解せしめた溶液の沈降定数は, 室温に放置しておくとしだいに増大してゆくことを見出し, この原因をポリビニルアルコール分子間の弱い結び目の増加による1種の会合現象およびさらに進むと凝膠現象によるものと推定した。100℃で煮沸溶解した溶液では, 観測時間内では実験誤差範囲を超えて変化するようすがないように見られるが, これは分子の分散がよく, コロイド的な粒子の混在のないため, 凝膠の核に欠けるためでないかと考える。
  • 第6報芳香族化合物との連鎖移動反応の理論的考察
    東村 敏延, 米沢 貞次郎, 福井 謙一, 岡村 誠三
    1956 年 13 巻 138 号 p. 431-436
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    スチレンのカチオン重合における芳香族炭化水素に対する移動反応の律速段階が, カルボニウムイオンと芳香族炭化水素とのComplexの生成反応であるとして, LCAO法を用いてモノマーのイオン反応性の尺度となるWhelandの提唱にかかる局在化エネルギー, われわれの提唱したSuperdelocalizability, およびスチレンイオンとモノマーとのπ共腕による安定化エネルギーを計算した。これら化合物の移動恒数は上述の諸量とメチル基の立体効果を合せ考慮することにより合理的に説明される。また安定化したポリスチレンに対する移動恒数が小さいことが上述の計算より示された。
  • 坂口 康義, 泰平 信夫
    1956 年 13 巻 138 号 p. 437-440
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ホルマール化度0~20%のポリビニルアルコール部分ホルマール化物の水溶液の粘度を測定した。水溶液の極限粘度ならびにHugginsの粘度式の定数k'は, 試料のホルマール化度およびホルマール化が糸状分子に沿って無秩序に行われているか, 選択的に行われているかによってわずかしか変化しない。温度が上昇すると, 極限粘度は減少し, k'は増大する。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義
    1956 年 13 巻 138 号 p. 441-448
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ酢酸ビニルの鹸化反応においては, 糸状分子中に生成した水酸基が酢酸基の鹸化を促進する。この際水酸基は, 分子の長さ方向に沿ってこれに隣接している酢酸基のみの反応性を増大させると仮定して動力学的解析を行った。その結果, このような考えによりPVAcの鹸化速度, 可逆反応系における平衡関係, 部分鹸化物の再鹸化速度などに関する実験事実を, ほぼ定量的に理解できることを認めた。またこの考えに基き, 部分鹸化物の分子中における酢酸基と水酸基の配列状態について考察を行った。
  • 第1報ゼニルアルコールとアリルアルコールの共重合物皮膜の水に対する溶解性, 膨潤性
    高橋 儀作, 桜田 一郎
    1956 年 13 巻 138 号 p. 449-455
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニル (M1) と酢酸アリル (M2) の混合割合を98: 2, 95: 5, 90: 10および80: 20と変更して接触塊状重合し, その共重合物を鹸化することにより, 種々の混合割合のビニルアルコールとアリルアルコールの共重合物を得た。この共重合物は以下説明するように, 通常のポリビニルアルコール (PVA) に比し, 2ないし5モル%程度の少量のアリルアルコール含有率のものでもかなり顕著な性質の相違がみられるので, アリル変性ポリビニルアルコール (A-PVAと略記する) と名付ける。A-PVA皮膜を100, 120, 140, 160, 180および200℃に熱処理し, 30, 50および80℃の水に対する溶解性, ならびに膨潤度を測定し, PVAのそれと比較した。A-PVAはPVAに比し, はるかに大きな溶解性と膨潤性を示す。たとえば [M1] 0:[M2] 0が95: 5で得た共重合物よりのA-PVAは熱処理温度が120℃のものまで, 90: 10, 80: 20よりのそれは熱処理温度が140℃のものまで, 30℃の冷水に完全に溶解する。これはA-PVA中に含まれている少量のアリルアルコールがよく熱処理時の結晶化を妨害することを物語っている。
  • 第1報スプリングバランスによるポリエチレンの酸素吸収速度
    川松 俊治, 原田 豊
    1956 年 13 巻 138 号 p. 456-460
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンの酸素吸収速度をタングステンスプリングバランスで腹定した。従来スプリングバランスというと大体石英に限られていたが, タングステンで試作し, その性能について簡単に述べた。ポリエチレンの酸素吸収速度はほぼ酸素圧の1/2乗に比例し, 低温ではかなり著しい誘導期の存在を示した。酸化の定常状態のみかけの速度恒数より求めた活性化エネルギーはアラソンでは約130℃以下では29kcaI/mol, 130℃以上では14kcalと求められたが, 高温になるほど試料の厚みと水を主とした揮発性物質の生成を考慮にいれなければならない点より, 真の酸化の活性化エネルギーはWilsonの求めた35kcalくらいではないかと思われる。誘導期の意義についても述べ, その温度変化より活性化エネルギーを求めた。
feedback
Top