酢酸ビニル (M
1) と酢酸アリル (M
2) の混合割合を98: 2, 95: 5, 90: 10および80: 20と変更して接触塊状重合し, その共重合物を鹸化することにより, 種々の混合割合のビニルアルコールとアリルアルコールの共重合物を得た。この共重合物は以下説明するように, 通常のポリビニルアルコール (PVA) に比し, 2ないし5モル%程度の少量のアリルアルコール含有率のものでもかなり顕著な性質の相違がみられるので, アリル変性ポリビニルアルコール (A-PVAと略記する) と名付ける。A-PVA皮膜を100, 120, 140, 160, 180および200℃に熱処理し, 30, 50および80℃の水に対する溶解性, ならびに膨潤度を測定し, PVAのそれと比較した。A-PVAはPVAに比し, はるかに大きな溶解性と膨潤性を示す。たとえば [M
1]
0:[M
2]
0が95: 5で得た共重合物よりのA-PVAは熱処理温度が120℃のものまで, 90: 10, 80: 20よりのそれは熱処理温度が140℃のものまで, 30℃の冷水に完全に溶解する。これはA-PVA中に含まれている少量のアリルアルコールがよく熱処理時の結晶化を妨害することを物語っている。
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