高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
ISSN-L : 0023-2556
27 巻, 298 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 麻生 忠二, 大原 治, 国武 豊喜
    1970 年 27 巻 298 号 p. 97-109
    発行日: 1970/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    シクロペンタジエン, 1-および2-メチルシクロぺンタジエン, 1, 2-および2, 3-ジメチルシクロペンタジエン, 1, 3-ジアルキルシクロペンタジエン (ジメチル, メチルエチル, メチルイソプロピル) のカチオン重合結果をまとめて論議した。ポリマー中の1, 2および1, 4付加構造の割合をNMRスペクトルで定量的に求め, モノマーの置換基の効果, 重合条件の影響を明らかにした。その結果, これらモノマーの付加型式を支配する一般則として, 次の5項目をあげ, 付加の反応機構を推論した。
    1. 生長カチオンは, モノマーの1または4位置に付加して, アリルカルボニウムイオンを形成する。
    2. モノマーの1ないし4位置のいずれかに置換基があるときは, 置換基のない位置に生長カチオンの付加が起こる。
    3. 置換シクロペンタジエンより生じたアリル型カチオンの2個の正荷電位置が, 第2級と第3級カルボニウムイオンのときは, 前者より生長が進む。
    4. 置換シクロペンタジエンより生じたアリル型カチオンの両正荷電位置が, いずれも第3級カルボニウムイオンのときは, 立体障害の少ない位置からの生長がより起こりやすい。
    5. 生長カチオンが, タイトイオン対を形成するときは, 対アニオンと立体的な反発をさけるようにしてモノマーが付加していく。
    なお, ポリマーの空気酸化, プロム化についても結果を示した。
  • 橋本 静信, 古川 功
    1970 年 27 巻 298 号 p. 110-115
    発行日: 1970/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    β-エチルチオエチルメタクリレート (ETEMA) の合成をβ-エチルチオエチルアルコールまたはβ-クロルエチルメタクリレートを出発原料とする2方法によって合成した。その結果β-エチルチオエチルアルコールとメタクリル酸塩化物を用いた場合が最も高収率でかつ高純度のものが得られた。重合はAIBNを開始剤として用い, 50℃で塊状またはベンゼン溶液重合を行なったところ, 後者によって得られたポリマーはアセトンに可溶であったが, 前者の場合には不溶となった。ETEMAとメチルメタクリレート (MMA) またはスチレン (St) との共重合におけるモノマーの反応性比ならびにQ-e値は
    MMA (M1) -ETEMA (M2): r1=1.0, r2=1.1
    St (M1) -ETEMA (M2): r1=0.42, r2=0.51
    となりスチレンのQ-e値を1.0, -0.8としてETEMAのQ-e値を求めるとQ=0.88, e=0.44となり, その反応性はMMAと大差がなかった。
  • 岡谷 卓司, 松林 寛治
    1970 年 27 巻 298 号 p. 116-123
    発行日: 1970/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリオキシメチレンヒドラート (POM-OH) の末端基のエーテル化反応を, ルイス酸存在下にオルトギ酸エステル類で行なった。オルトエステル中のアルコキシル基が高級になるにつれて反応性は低下した。一方, ポリマーの存在しない系で試薬の変化を調べたところ, アルコキシル基の混合したオルトギ酸エステルはルイス酸存在下で同種分子間でエステル交換を行ない, 低級および高級オルトギ酸エステルに変質し, その際, 生成するオルトギ酸メチルはさらに接触分解を受けるのに対し, オルトギ酸イソアミル (AOF) は安定であることがわかった。また, エーテル化反応中の副反応として, 分解生成するホルムアルデヒドとオルトエステルとのホルマール生成反応, および微量の水によるオルトエステルの加水分解反応が認められた。これらの結果から触媒の変質を含む反応機構を推定し, 反応性について考察した。
  • 桜田 一郎, 島 靖子, 坂口 康義
    1970 年 27 巻 298 号 p. 124-126
    発行日: 1970/02/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    酢酸-n-ブチル・酢酸-tert-ブチル・酢酸シクロヘキシル・安息香酸メチルのような低分子エステル, および部分アセチル化ポリビニルアルコール・酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合物のような高分子エステルを, アリルスルホン酸-ビニルピロリドン共重合物 (AS-VP) を触媒に用いて, 水溶液中で加水分解した。そして, AS-VPによる加水分解の速度定数 (kS) を, 塩酸を用いて同一条件で行なった加水分解の速度定数 (kHCl) と比較した。一般にkSはkHClにほぼ等しかったが, 安息香酸メチルとAS含量の低いAS-VPとの系においてだけ, kSはkHClよりも明らかに大きかった。これらの結果について少し議論した。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義, 島 靖子
    1970 年 27 巻 298 号 p. 127-133
    発行日: 1970/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    水溶液中における, ドデシルスルホン酸・ドデシルべンゼンスルホン酸・部分スルホン化ポリスチレンのようなスルホン酸触媒による, 低分子エステル (酢酸-n-ブチル) および高分子エステル (部分アセチル化ポリビニルアルコール・酢酸ビニルービニルピロリドン共重合物) の加水分解速度に及ぼす, 数種の非電離性添加物の影響を検討した。添加物としてはドデカノール, 低重合度のポリエチレングリコールのラウリルエーテル, ポリビニルピ口リドンおよびポリビニルアルコールを用いた。これらの添加剤により, 加水分解反応はある場合には促進され, 他の場合には抑制された。エステル・スルホン酸・添加物の間の相互作用の観点から, これらの結果について少し議論した。
  • 第1報 溶液からの沈殿によって得られたブレンドポリマーの構造
    三友 宏志, 砺波 宏明
    1970 年 27 巻 298 号 p. 134-144
    発行日: 1970/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    6-および66-ナイロンのギ酸溶液を水中に投入することによって (湿式ブレンド法) 得られたブレンドポリマーの凝固および結晶化機構を他のブレンド法によって得られたものと比較しながら検討した。湿式ブレンド物の非晶部分では, 両ナイロンがほぼ分子単位でランダムに混合しているものと推定された。これは非常に急激な脱溶媒によるものと思われる。6-ナイロンが存在することによって66-ナイロンの結晶化度はやや増大するような傾向が見られた。これに対して66-ナイロンの存在は6-ナイロンの結晶化を阻害し, その結果として6-ナイロンの結晶化度は, その含有量の減少とともに直線的に低下した。湿式ブレンド物の結晶部分においては, 各成分のラメラがほぼランダムに分散していると思われるが, そのラメラはおそらく両成分の混晶からは構成されていないものと推定された。分子混合状態になっている初期の非晶部分の構造は, 熱処理されたり室温で長時間agingされると各成分の再結晶化を伴いながら部分的な相分離を容易にひき起こし, 安定なブレンド状態へと変化していくものと推定された。
  • 1970 年 27 巻 298 号 p. 144
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
feedback
Top