シクロペンタジエン, 1-および2-メチルシクロぺンタジエン, 1, 2-および2, 3-ジメチルシクロペンタジエン, 1, 3-ジアルキルシクロペンタジエン (ジメチル, メチルエチル, メチルイソプロピル) のカチオン重合結果をまとめて論議した。ポリマー中の1, 2および1, 4付加構造の割合をNMRスペクトルで定量的に求め, モノマーの置換基の効果, 重合条件の影響を明らかにした。その結果, これらモノマーの付加型式を支配する一般則として, 次の5項目をあげ, 付加の反応機構を推論した。
1. 生長カチオンは, モノマーの1または4位置に付加して, アリルカルボニウムイオンを形成する。
2. モノマーの1ないし4位置のいずれかに置換基があるときは, 置換基のない位置に生長カチオンの付加が起こる。
3. 置換シクロペンタジエンより生じたアリル型カチオンの2個の正荷電位置が, 第2級と第3級カルボニウムイオンのときは, 前者より生長が進む。
4. 置換シクロペンタジエンより生じたアリル型カチオンの両正荷電位置が, いずれも第3級カルボニウムイオンのときは, 立体障害の少ない位置からの生長がより起こりやすい。
5. 生長カチオンが, タイトイオン対を形成するときは, 対アニオンと立体的な反発をさけるようにしてモノマーが付加していく。
なお, ポリマーの空気酸化, プロム化についても結果を示した。
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