高分子化學
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17 巻, 188 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 第10報ポリ塩化ビニルのweatherometer光劣化
    峰松 陽一, 神原 延子, 山田 泰三
    1960 年 17 巻 188 号 p. 713-717
    発行日: 1960/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PVCフィルムを空気中でwcatherometer (カーボンアーク) で照射したときの劣化を, 分光吸収, 粘度, 比重, X線回折, 元棄分析などによって検討した。赤外のカルボニル吸収は, 1720cm-1および1770cm-1付近の2カ所に生じ, 1600cm-1付近のポリエンによる吸収はほとんど生じなかった。カルボニル吸収は, 初めの23時間以内に著しく大きくなり, その後690時間でも大きい変化はない。元素分析のOの値も同様である。OH吸収はほとんど見られない。この光劣化は熱劣化の場合と異なり著しいポリエン生成を伴わない酸化反応であって, 粘度低下から主鎖切断が相当おこっていることが認められた。ふつうの自動酸化とは異なるようであるが, 機構を推定するには至らなかった。照射によって比重が変化するが, X線回折の結果からみると結晶性は増加していない。
  • 第1報ポリ塩化ビニルのモルホリン溶液の粘度
    中村 儀郎, 斎藤 実
    1960 年 17 巻 188 号 p. 718-721
    発行日: 1960/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルのモルホリン溶液の安定性およびモルホリンの溶媒的価値を知る目的で重合度を異にする試料の溶液粘度の特性を検討した。この結果, モルホリンは約50-80℃ の溶解温度で安定な粘度状態を与え, 溶液の室温保存性も比較的良好であることがわかった。溶媒的価値は溶解温度による粘度変化, Huggins定数k', [η] の温度変化あるいは重合度との関係などから考察されたが, モルホリンが中程度の良溶媒であり, テトラヒドロフラン, シクロヘキサノンにつぐ溶媒的価値を有することが明らかにされた。
  • 第2報ポリ塩化ビニルのモルホリン溶液ならびにモルホリン環を含むポリ塩化ビニルに対するγ線照射効果
    中村 儀郎
    1960 年 17 巻 188 号 p. 721-724
    発行日: 1960/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニル (PVC) のモルホリン溶液およびモルホリン環を含むPVC粉末あるいはテトラとドロフラン溶液に対して3×106-1×108rのγ線照射を行ない, 次の事実を明らかにすることができた。(i) PVCは室温でγ線照射により溶液相でモルホリンと置換反応を行ない, モルホリン環を含んだPVCが得られる。たとえば3×106, 1×108rの照射によりPVCの窒素含量はそれぞれ約0.2, 2%となるが照射線量の大なるときはPVC分子間の脱塩酸による橋かけ (不溶化) 反応の併発を無視することができない。(ii) PVCのモルホリン溶液はγ線照射によりテトラヒドロフラン溶液の際とほぼ同程度ゲル化するがその際の橋かけ指数とゾル分率との関係はf=0.1-0.2の理論線に近く, 主鎖の切断より橋かけが促進されていることが示される。(iii) モルホリン環を有するPVCは窒素含量が多いほどγ線照射により不溶化を起しやすく, たとえば照射線量3×107r でPVCは不溶化しないが窒素含量2.5%のPVCの不溶化率は約70%に達する。またここに得られた被照射試料の染色性はいずれも改善されていることをDirect Scamlet Bの場台について示した。
  • 第5報単軸スクリュー押出機における混練効果について
    林田 建世
    1960 年 17 巻 188 号 p. 725-732
    発行日: 1960/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    擬塑性材料の押出において, 横断流とスクリュー溝方向の流れの両方から, せん断量に及ぼす速度分布, 溝深さ, ピッチ角, 漏洩流の影響を理論的に考察し, スクリュー溝方向の流れの速度分布において逆流を生ずる状態が溶融区間のなるべく全長にわたって持続することが混練上最も有効であると考え, Hi-zex5000に微量のカーボンブラックを均一に混合した試料を用い, 押出品断面の顕微鏡写真について, カーボンブラックの分散の状況から混練効果を調べた結果, ほぼこの考えが確かめられた。
  • 第2報理論式の検討
    秋田 務
    1960 年 17 巻 188 号 p. 733-737
    発行日: 1960/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    一定荷重下のVoigtの模型によって得られた前報における理論式を是正し, 鋼球の沈下の深さと, 平均面圧との関係から漸減する平均応力下における残留ひずみの理論式を新たに導入し, その妥当性の吟味を行なった。その結果, 理論式から計算される転移点における見かけのかたさは過少であり, 定量的関係を求めることはできなかったが, 小荷重および大荷重をかけておく時間の比によって転移点の高さが移動すること, および大荷重時間の長短によってその位置が横に移動することなど, 荷重時間の影響を少なくとも定性的にはよく説明でき, また後者の関係から見かけの活性化エネルギーを求めることもできることを知った。
  • 第3報自由減衰振動法とその比較
    秋田 務
    1960 年 17 巻 188 号 p. 738-743
    発行日: 1960/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ロックウェル転移点 (TR) の粘弾性学的意義とその適用性の限界を知る目的で, 種々な橋かけ度の不飽和ポリエステルについて自由減衰振動法との比較を行なった。また不飽和ポリエステルおよび塩化ビニル樹脂について可塑剤の及ぼす影響の比較も行なった。その結果, 比較的低温に転移点のあるものについてはTRは振動法による対数減衰率最大の点 (Tλ) よりもやや高温側に現われるが, 転移点が上るに従って, 両者は接近し, 極端な場合には順序が逆転する場合もあることを知った。またTRにおける見かけのかたさの大小は, 比較的よく平衡弾性率の大小の順序を指示することを知り, これらの点に関して粘弾性学的見地から説明を試みた。
  • 木下 茂武, 滝沢 俊治
    1960 年 17 巻 188 号 p. 744-747
    発行日: 1960/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    延伸ポリエチレン繊維を各種温度で熱収縮処理することにより配向性を変えた試料を作成し, 弾性率, 熱収縮率, 熱応力を測定した。処理温度の上昇に伴い, 収縮量は急激にふえるが配向度はわずかに低下するだけである。これは熱収縮が単に配向している微結晶の融解に伴う配向のみだれの結果でなくて, らせh 状の構造単位の平行なずれの結果であることを意味しているものと思われる。弾性率は処理温度が高い場合ほど低い。熱収縮係数は処理温度により著しく変化する。また熱応力曲線は温度変化に伴う長さ変化と弾性率の変化とから説明される。
  • 第4報イタコン酸の水溶液重合
    永井 進, 吉田 経之助
    1960 年 17 巻 188 号 p. 748-752
    発行日: 1960/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    イタコン酸の水溶液重合を過硫酸カリを開始剤として50℃ で行なった。重合体と未反応の単量体との分離には強塩基性陰イオン交換樹脂カラムによる野分子ふるい。の効果を利用し, 容易に重合体を単離することができた。重合体の水溶液粘度は明らかに高分子電解質の異常挙動を示す。また臭素法による残存二重結合の定量から重合速度を検討し, Rp [M]-1.44, [I]-0.5の関係を得た。またpH>3.8の領域ではpHの増加に伴い重合速度が低下する。すなわち, 第1段の解離はイタコン酸の重合性に影響を与えないが, 第2段の解離は著しく重合性の低下を招くと考えられる。
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