高分子化學
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25 巻, 274 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 竹内 昭男, 岡島 三郎
    1968 年 25 巻 274 号 p. 97-101
    発行日: 1968/02/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリル延伸フィルムより長方形の試料を延伸方向に平行および垂直に切り出し, 延伸方向に平行および垂直な方向の主分散の損失正接強度, それぞれtanδ//とtanδとを138cpsで測定した。υが増大するにつれtanδ//は増加し, tanδ は減少することがわかった。この力学緩和に寄与する領域の配向度を次式により計算した, ここにtanδ は, υにおける一組のtanδ//とtanδ より, tanδ=(tanδ//+2tanδ)/3をこより計算した等方状態の損失正接で, 記号0は理想的に配向した繊維構造の値を示す。fxfδおよびfDfδとの関係は直線的でないが, fδはX線配向度fxと二色性配向度fDの中間の値をとる。力学的緩和に寄与する領域の配向は, 力学的損失正接の異方性として表わされるということが結論された。
  • 林 順之助, 古川 淳二, 山下 晋三
    1968 年 25 巻 274 号 p. 102-106
    発行日: 1968/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    既報において, ブタジエンゴムのジクミルペルオキシドによる加硫物について, 膨潤度から網目間鎖数濃度を測定し, 全反射赤外吸収法により加硫中の二重結合の消費量を分析した。本報では, 既報の結果に考察を加え, 橋かけが二重結合に対するラジカル付加の連鎖反応により進み, 束状構造になっているものと推察した。次に, ブタジエンゴム加硫物の物理的性質に対する束状構造の影響を検討した。橋かけ効率, すなわち, 束の程度は加硫温度とともに増加した。橋かけ効率の異なる試料の引張特性および動的特性を測定し, 核磁気共鳴吸収から得られる分子鎖のミクロブラウン運動性と比較した。その結果, これらの加硫物の引張強さ, 引裂強さ, 伸び, 動的弾性率および損失係数などは橋かけ効率あるいは束状構造の程度に関係なく, 網目間鎖数濃度に支配されていることがわかった。
  • 第1報不均一系における反応
    井手 文雄, 釜田 和正, 長谷川 章
    1968 年 25 巻 274 号 p. 107-115
    発行日: 1968/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    イオン性橋かけ結合に必要な酸基を共重合によってアイソタクチックポリプロピレンに導入することは現在の重合法では不可能であるので, 高分子反応による無水マレイン酸の導入を試みたところ以下のごとき結果を得た。
    1) アイソタクチックポリプロピレンへの無水マレイン酸の導入反応は, 過酸化物, たとえばベンゾイルパーオキサイドの存在下にアイソタクチックポリプロピレンと無水マレイン酸とを溶融素ねりさせることによって容易に行なわれる。また, 過酸化物の代りに過酸化ポリプロピレンを用いても同様に無水マレイン酸の反応が可能である。
    2) イオン橋かけ反応は無水マレイン酸反応ポリマーと酢酸亜鉛あるいは酢酸ナトリウムのごとき金属塩とを溶融素ねりさせることによって容易に行なわれる。
    3) 高温における素ねり反応であるために反応ポリマーの重合度は著しく低下する。
  • 劔 実夫, 福元 次夫, 小川 宏蔵
    1968 年 25 巻 274 号 p. 116-119
    発行日: 1968/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ベンゼン溶液中でシス1, 4-ポリブタジエンに, メタクリル酸メチル (MMA) を放射線グラフト重合し, 生成した粗ポリマーをベンゼン-メタノール系で分別沈殿した。個々のフラクションについて, MMA含量と数平均分子量を測定し, また, オゾン分解によって枝分子のポリメタクリル酸メチル (PMMA) を取り出し, その粘度平均分子量を求めた。その結果, この系でグラフトポリマーは主としてその化学組成, すなわちMMA含量の多少によって分別されるものであり, また枝の数はフラクションによってほとんど変化がないことが推定された。
  • 加倉井 敏夫, 須賀田 武男, 野口 達弥
    1968 年 25 巻 274 号 p. 120-126
    発行日: 1968/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ヒドロキシルアミン-三塩化チタン系によるメタクリル酸メチルの塩酸水溶液中のレドックス重合を行ない, 各種反応条件下でのポリマーの収率, 重合速度, 生成ポリマーの分子量, アミノ基末端数などを求めた。その結果, 開始剤の低濃度域では, 均一系重合と同様に, Rp=K{[NH2OH][TiCl3]}1/2・[M](Rp: 初期重合速度, [NH2OH], [TiCl3], [M]: ヒドロキシルアミン, 三塩化チタン, モノマーの初濃度) が成立し, アミノ基末端数からも停止はポリマーラジカル間の再結合および不均化反応によって起こることかわかった。開始剤高濃度域では, 高くなるほど1分子あたりのアミノ基末端数は増加し, 停止はポリマーラジカル間の停止以外に1次ラジカル停止も関与してくる。また, 固有粘度, ハギンス定数と数平均分子量の関係などから, ここで得られたポリマーはレドックス比により異なる傾向を示すことを見出し, これについても考察した。
  • 松本 恒隆, 宗 伊佐雄, 岩井 勇
    1968 年 25 巻 274 号 p. 127-133
    発行日: 1968/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ある種の溶媒は容易に自動酸化し, その過程で過酸化物を生成する。この事実に着目し, 溶媒過酸化物によるメタクリル酸メチル (MMA) の重合を試み, 次の結果を得た。テトラヒドロフラン (THF), ジオキサン, メチルエチルケトン (MEK), ジメチルホルムアミド (DMF) などの多くの溶媒でそれらの過酸化物が存在すれば重合が可能であった。主として研究したTHF過酸化物 (THFPO) の場合, 重合初速度はRp=K・[THF-PO]1/2・[MMA]3/2で表わされ, 重合の開始にモノマーが関与していることが認められた。また, そのさいの見かけの活性化エネルギーは, 50~80℃ の範囲で19.2kcal/molであり, 20~50℃ の範囲で8.9kcal/molであった。これらの結果から, 自動酸化によって溶媒中に生成された過酸化物により, メタクリル酸メチルの重合は可能であり, 溶媒中に生成する過酸化物は通常の重合開始剤とほぼ同様の挙動をとることを明らかにした。
  • 朱 宗正, 田畑 米穂, 大島 恵一
    1968 年 25 巻 274 号 p. 134-138
    発行日: 1968/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    5000気圧の加圧下, β-プロピオラクトンの放射線固相重合について, -98℃ 以下の低温部に加速効果, 高温部には抑制効果が認められた。クロロホルムとアセトンの添加に対して, -78℃ で, クロロホルムは重合を促進し, アセトンは重合速度を減少させる。また, この系の初期反応速度から見かけの活性化エネルギーを求めると, 5000気圧の場合は転移点上, 下で1.8kcal/molと0.18kcal/mol, 常圧の場合は4.6kcal/molと0.01kcal/molの値が得られた。生長反応段階に活性エンタルピーのみならず活性エントロピーも圧力によって大きく変化していることを示した。
  • 第9報マレイミド・マレアミン酸・スチレンコポリマーの加水分解
    野間 夬之, 河出 明浩, 丹羽 政三
    1968 年 25 巻 274 号 p. 139-144
    発行日: 1968/02/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    マレイミド・マレアミン酸・スチレン・コポリマーの組成は水酸化ナトリウムまたはアンモニアによる電導度滴定で求められる。コポリマーの水酸化ナトリウム水溶液中での加水分解反応を電導度滴定で研究した。1次反応速度定数はマレイミド基のモル分率, 水酸化ナトリウム濃度および反応温度で複雑に変化する。マレアミン酸基からマレイミド基への変化は水中では生じにくい。
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