高分子化學
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16 巻, 165 号
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  • 第1報 二重管ダイスの特性
    林田 建世
    1959 年 16 巻 165 号 p. 1-4
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    材料が擬塑性の場合について管成型の基本となる二重管流動の解析を行ない, その結果を なる形に要約した。ここに無次元数Dは2つの無次元数 , の関数として線図に表わした。管寸法と材料が与えられればα, αが決まり, 上記線図を用いてP-Qの関係, すなわちダイス特性が作図できる。
  • 第2報 小テーパーつき円孔ダイスの特性
    林田 建世
    1959 年 16 巻 165 号 p. 4-6
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    広がりまたは狭ばまり流路の基本的な場合として, 小テーパーつき円孔ダイスについて, 材料が擬塑性の場合, 簡単に粘性のみを考慮して, ダイス特性を作図する方法を考案し, 2, 3の例について計算結果と実験結果とがかなりよく合致することを示した。また本法は, 円管部分と円錐部分との組合わせよりなるラッパ状流路にも適用できることを示した。
  • 第3報 ポリ酢酸ビニル溶液の相平衡と理想溶液の粘度
    内藤 龍之介
    1959 年 16 巻 165 号 p. 7-12
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ酢酸ビニル分別物の溶液の相分離および理想溶液中での粘度について検討した。相分離 の測定より理想温度 (θ温度) としてメタノール; メタノール80: エタノール20; メタノール60: エタノール40; メタノール40: エタノール60の各溶液についてそれぞれ6, 17, 26.5, 36℃ の値を得た。次にこれらの理想溶媒中で粘度を測定し が成立することを認めた。K値としてそれぞれ1.01×10-3(6℃), 0.97×10-3(17℃) 0.91×10-3(26.5℃) なる値を得た (濃度はg/100ccの単位である)。理想配位における鎖の広がりについて検討し, ポリ酢酸ビニルのStiffnessの程度はポリスチレンとポリメタアクリル酸メチルの中間であることおよび30℃のアセトン溶液, メタノール溶液ではそれぞれ自由回転を仮定したときに比べて長さで3倍, および2.5倍程度膨張していることを認めた。さらに熱力学的パラメーターΨ1, κ1について検討した。
  • 細野 正夫, 伊勢 典夫
    1959 年 16 巻 165 号 p. 13-18
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高分子電解質の熱力学的性質に及ぼす濃度の効果を理論的に知る目的で, 内部の電荷密度が一様な球形高分子イオンに対しWicke-Eigenのイオン分布に関する理論を応用して・高分子イオンの分布およびその排除体積を直接に考慮した静電的ポテンシャルをPoissonの式から導いた。これにより得られるその熱力学的函数は, 一般に濃度の増加とともにいったん減少し, 再び増加する傾向を持つことが知られた。なおこの取扱により高分子イオンの活量の概念をかなり明瞭な形で与えることができた。
  • 山口 章三郎, 大柳 康
    1959 年 16 巻 165 号 p. 19-26
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    本研究は綿, 生糸, 羊毛, ビスコースレーヨン, ペンペルグ, アセテート, ナイロンおよびビニロンなど8種の繊維の各単繊維について, 10~60℃, 35~90%RHの温湿度の範囲における等ひずみ速度ひっぱり試験による「荷重伸び線図」を得て, これらの線図から弾性係数, 第2次弾性係数, 降伏点, 降伏部伸び, ひっぱり強さ, 伸度などの各特性値を求め, さらにこれらの特性値が温度および湿度によってどの程度影響されるかを比較するために, 温度影響度および湿度影響度というものを用いて定量的に表わそうとしたものである。
  • 第1報 ポリスチレンのベンゼン溶液の浸透圧
    上山 守, 川松 俊治, 原田 豊
    1959 年 16 巻 165 号 p. 27-30
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高分子の分子量分布の平均分子量に及ぼす影響を検討する目的で, 先に超遠心機によりMSDを測定した分別ポリスチレンのベンゼン溶液の浸透圧を, Zimm-Myerson改良型浸透圧計で測定し数平均分子量Mnを求めた. 透過定数の小さな脱硝コロジオン膜を用いた場合、いずれの試料についてもMnはMSDより著しく小さい。分別をていねいに行なった試料について透過定数の大きな膜を用いて測定した結果はMnMvとはほとんど同じ値が得られた。なお溶液中における高分子の広がりについても若干の検討を行った。
  • 第2報 ポリメチルメタクリレートのアセトンおよびベンゼン溶液の浸透圧
    上山 守, 川松 俊治, 原田 豊
    1959 年 16 巻 165 号 p. 31-34
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Zimm-Myerson改良型浸透圧計を用い, ゲルセロハンを半透膜として, 分別したポリメチルメタクリレート (以後PMMAと略記) のアセトンおよびベンゼン溶液の浸透圧を測定し, 数平均分子量を求めると同時に溶液粘度も測定し溶媒の影響を考察した。PMMAのアセトン溶液より求めたMnはベンゼン溶液より求めたMnより大きく, Mvは逆にアセトン溶液より求めたものの方が小さかった。これは溶解状態の差によるものであり, アセトンはベンゼンに比べて貧溶媒的傾向を示すためと考えられる。さらに粘度-分子量間にはアセトン溶液の場合, ベンゼン溶液に対しては の関係式を得たが前者は見かけのものであり, 後者の方が信頼度が高いと考えられる。
  • 第3報 アクリロニトリル重合体濃厚溶液の粘度
    高橋 正夫, 渡辺 正元
    1959 年 16 巻 165 号 p. 35-39
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    アクリロニトリル・アクリル酸メチル共重合体のジメチルホルムアミド (DMF) 濃厚溶液の粘度をB型粘度計によって測定し、粘度安定性に対する種々の要素の影響および粘度の濃度, 温度および分子量依存性を調べた、粘度安定性に対して溶解条件, 放置条件, 測定履歴などが影響し, 分散状態を良くするような条件が安定化に役立っている。ずれの速度によって粘度は次式で示すような挙動で変化する。
    (ただし, Dは粘度計回転数kおよびnは定数である)
    また同一Mnにおいても重合体の種類によって粘度の値は変化する。粘度の濃度, 温度および分子量依存性はそれぞれ次のように表わされる。(1) 濃度の1/2乗と粘度の対数は直線関係がある。(2) 数平均分子量の1/2乗と粘度の対数は直線関係がある。(3) 絶対温度の逆数と粘度の対数は直線関係があり, 流動の活性化エネルギーは濃度および分子量に依存する。
  • 第1報 吸収線2次能率の温度変化
    三宅 彰
    1959 年 16 巻 165 号 p. 40-44
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    実験的に求められる吸収線の2次能率が著しい温度依存をもつのに反してAndersonや久保・富田の理論で与えられるその理論値が, 実際上一定値をもつことの矛盾は、実験で求められる2次能率が理論で要求されるような完全な2次能率の値ではなく, 常に吸収線のすその部分を切断して捨ててしまって得られたもので, そのためにその値は吸収線のmotional narrowingと並行的な温度変化を示すことを認めて解決された。核が軸回転を行なっているときの2次能率を計算するGutowsky-Pakeの近似方法を論じ, それが妥当するのは回転による相関時間が2次能率のrigid valueの平方根を時間に換算したものよりもはるかに短い場合に限られることを示した。
  • 第1報 メチルビニルエーテル
    岡村 誠三, 東村 敏延, 山本 博一
    1959 年 16 巻 165 号 p. 45-48
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    メチルビニルエーテルの低温カチオン重合では, 重合の活性化溶媒とされていたハロゲン化炭化水素以外に, ポリマーの良溶媒であるトルエル中で重合を行なっても高収率で結晶性ポリマーが得られることがわかった、それゆえ活性化という意味はポリマーが触媒をおおうことによって重合の進行を妨げないようにすることに1つの意味があることが明らかとなった。またメチルビニルエーテルはn-ヘキサンークロロホルムまたはn-ヘキサンートルエン混合溶媒中では-78℃の による重合において均一な系でも不均一な系と全く同様に高収率でisotacticポリマーが得られ, X線図の解析および比重の測定からは, これら反応系の外観上の均一または不均一による生成ポリマーの性質の差異は認められなかった。
  • 第1報Friede1-Crafts触媒による重合反応の比較
    岡村 誠三, 東村 敏延, 桜田 洋
    1959 年 16 巻 165 号 p. 49-53
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    スチレンのカチオン重合に対する触媒の種類の影響を検討した。30℃の重合ではベンゼン, 塩化エチレン, またこれらの混合溶媒系において, 重合速度はTiCl4>SnCl4>BF3O (C2H5) 2の順に小となるが, 生成ポリマーの分子量はTiCl4<SnCl4<FeCl3<BF3O (C2H5) 2の順に大となる。すなわち重合速度を大とする触媒は生成ポリマーの重合度を小にするという結果が得られた、また生成ポリマーの分子量が触媒の種類によって再現性よく変化することにより, 触媒より生じた対イオンが開始反応以外の素反応にも影響を与えることが定性的に明らかとなった。
  • 第1報低重合度のポリイソブチレンの生成
    古谷 進, 本多 正和
    1959 年 16 巻 165 号 p. 54-57
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    液体亜硫酸中で塩化アルミニウム触媒でイソブチレンを重合した。塩化アルミニウムの液体亜硫酸および塩化メチルに対する溶解度を低温で測定した。溶解度は分子状に溶解している塩化アルミニウムのほかにコロイド状分散粒子も含めて求めたが, 予想外に小さい値であった。-70から-75℃ の塩化アルミニウムの液体亜硫酸溶液中にイソブチレンを滴下して瞬間的に重合させた。触媒はただちに消費された、したがって初期の温度上昇が認められなくなってから加えられたイソブチレンの大部分は重合せず, 亜硫酸と共沸物となって回収された。この共沸留分は新しい触媒溶液で重合させることができた、無触媒の場合にはポリイソブチレンができなかった。生成した重合物の重合度は坂口・中島・桜田の式によれば100ないし180であった。
  • 第2報ポリイソブチレンスルホンの生成
    古谷 進, 松尾 博, 本多 正和
    1959 年 16 巻 165 号 p. 58-61
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    液体亜硫酸中でイソブチレンを重合させる場合, Friedel-Krafts触媒でイオン重合をさせるとポリイソブチレンを生成する。無触媒の場合にはポリイソブチレンを生成せず, 僅少量の白色粉末を得た。これはポリイソブチレンスルホンと思われたので, 今回は過酸化物を触媒とした際にポリイソブチレンスルホシが生成することを, 化学分析と赤外線吸収スペクトル分析によって確かめ, ついで液体亜硫酸中で生成したポリイソブチレン中には後者の重合体が不純物として混入していないことを確かめた。
  • 第5報メチロール化反応について
    小枝 幾久雄
    1959 年 16 巻 165 号 p. 62-68
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    メラミンや尿素とホルマリンから樹脂をつくるときの反応では第1段階でメチロール化反応が行なわれる。このとき生成物中には, 通常種々の程度にメチロール基の付加したものが混在しているから, メチロール化反応, 特にホルムアルデヒドの反応モル比の大きい反応ではこれを動力学的に取り扱うのに多くの困難がある。かかる難点をさけてメチロール化反応を簡単かつ平均的に取り扱うには各段階のメチロール化反応の速度定数を等しいと仮定し, メラミン (または尿素) のホルムアルデヒドに対する官能性を考慮してその初濃度を何倍かにして考えるのが良い。すなわち反応速度式dx/dt=k (am-x)(f-x)-k'xにおいてαの値を官能性の値とする。このαについては反応モル比を種々に変えても平衡定数が一定値をとるように選ぶ。実験結果よりメラミンではα=6, 尿素では2.4が得られ, これを用いて反応の速度定数, 平衡定数を求め, 活性化エネルギー, 反応熱を計算した、その結果M3F反応 (pH9.2-9.4) で活性化エネルギーとして22kcal, 反応熱4.5kca1を得た。一方, られた。またこのような検討からメラミンと尿素とではメチロール化に対する性質が異なるように思われた。
  • 第1報低温重合における溶媒効果
    岡村 誠三, 東村 敏延, 今西 幸男
    1959 年 16 巻 165 号 p. 69-74
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    カチオン重合性の大きいα-メチルスチレンをBF3・O (C2H5) 2を触媒として, ポリマーおよび触媒に対する非溶媒であるn-ヘキサンと, それらに対する良溶媒であるクロロホルムまたはトルエンとの混合溶媒中で重合を行なった.-78℃ の低温重合では一定の混合溶媒組成の点で重合速度および生成ポリマーの [η] が極大を示し, 溶媒組成を変えるのみで [η] を広範囲に変えうることがわかった。また生成ポリマーの [η] は重合の進行に伴い増加する傾向にある。しかし-20℃ の高温になるとこれらの傾向は認められず, 重合速度もポリマーの例も良溶媒の増加とともに単調に増加するのみである。これは主としてモノマーの拡散速度に関係するものとして解釈される。またクロロホルムの多い系で重合した場合に得るポリマーは, 室温でベンゼンに一部不溶である特異な現象が見出だされた。
  • 加藤 嵩一, 山田 耕一
    1959 年 16 巻 165 号 p. 75-80
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ビスコースレーヨンの2種類について, これをあらかじめ各種濃度のNaOH水溶液で膨潤処理し, そのあと酸加水分解を行ない, アルカリ溶解量, 加水分解中の損失, 重合度の変化を測定するとともに分解残渣の電子顕微鏡観察をした。その結果, 特にアルカリ処理によるレベルオフ重合度の著しい増大およびこれに対応する加水分解残渣粒子の長大化が認められた。この粒子の形態変化はアルカリ処理こよる単純な結晶生長の結果ではなくて, フィブリル上の結晶領域が縦方向に連結を起す結果であると解釈された。アルカリ膨潤と加水分解を組み合わせたこの種の方法は一般に再生セルロース繊維の構造を研究するための有効な一手段であると思われる。これに関連して若干の考察を試みた。
  • 白石 誠, 松本 昌一
    1959 年 16 巻 165 号 p. 81-85
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報で末端にカルボニル基をもつPVAはアルカリ水溶液中で解重合反応をおこし, 多量のアセトアルデヒドを生成することを報告した。今回は末端ではなく主鎖中にカルボニル基を導入した酸化PVAについて, アルカリ水溶液中で加熱した場合の極限粘度数, カルボニル基量の変化を測定した。その結果 (1) 酸化PVAは短時間に極限粘度数を低下し, PVA主鎖がカルボニル基の位置で容易に開裂することを認めた.(2) 開裂前の酸化PVAの主鎖中のカルボニル基をα0モル%, 平均重合度をP0, 末端カルボニル基をCモル%, 開裂後のカルボニル基をαモル%, 平均重合度をPとすると, 1/P=αa0/100+1/P0, α=100 (1/P-1/P0)(1+1/α) +Cなる関係が成立する.ここにα は0.33である。これは主鎖中のカルボニル基のうちのα個が, 逆アルドール反応で開裂したことを示す.
  • 桜田 一郎, 中島 章夫, 外林 秀人
    1959 年 16 巻 165 号 p. 86-89
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコールーグリオキシル酸部分アセタール化物の糸状分子に関しては各種の溶液性質の検討を行なったが, さらに橋かけ携造をもった同種高分子の熱力学的性質を調べる目的で橋かけ高分子の合成を行なった。ジビニルエーテルを合成し, これを橋かけ剤として酢酸ビニルの重合を行ない, 得られた橋かけポリ酢酸ビニルをケン化して橋かけポリビニルアルコールとし, このものをグリオキシル酸で部分アセタール化して目的物を得た、以上の方法によって橋かけ点間の重合度が500, 640, グリオキシル酸含率が2, 10モル%の試料を調製した。
  • 第1報末端にアルデヒド基を有するポリビニルアルコールの酸性水溶液における反応
    桜田 一郎, 松沢 秀二
    1959 年 16 巻 165 号 p. 90-94
    発行日: 1959/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) を少量の過ヨウ素酸で酸化分解して, 1分子あたりに1~2個のアルデヒド基 (CHO基) を有する数種のPVA (分解PVA) を得た。これらの分解PVAを酸性水溶液として反応させて, 反応に伴う粘度の上昇の様子を調べて次の結果を得た。1) 一般に水溶液は一定時間反応するとゲル化する。2) 同一条件下ではゲル化は1分子あたりのCHO基の多い分解PVAの水溶液ほど短時間に達成する。3) 同一試料ではゲル化は分解PVA濃度が高いほど短時間に達成する。
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