高分子化學
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14 巻, 151 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 第1報ポリビニルアルコールの2次転移温度に及ぼす水分の影響
    曾根 康夫, 桜田 一郎
    1957 年 14 巻 151 号 p. 574-577
    発行日: 1957/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    含水率0, 1.8, 2.4, 8.6, 14.0, 25.0, 35.9, 485, 61.6%の9種類のポリビニルアルコール (PVA) フィラメントを試料として, ディラトメーターによって2次転移温度丁8を測定した、その結果丁8は絶乾物については73℃ であり, 水分の増加につれて漸次低下する。たとえば水分61.6%では45℃ である。また水分が8.6%より多い試料では, 2次転移温度より高温の側に, さらに1つの転移温度丁どが見出される。この転移温度丁8'も水分等増加につれて低下する。これら2つの転移温度丁8およびTg'は筆者らが以前に測定したPVAフィラメントの水中軟化温度と相関連するものと思われる。
  • 第2報ポリビニルアルコールの2次転移温度に及ぼす加熱速度ならびに平均重合度の影響
    曾根 康夫, 桜田 一郎
    1957 年 14 巻 151 号 p. 577-581
    発行日: 1957/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) フィラメントの風乾物およびPVA皮膜の絶乾物を試料として, 2次転移温度に及ぼす加熱速度の影響を検討した。風乾フィラメントについては加熱速度を0.066℃/minから1.0℃/minまで変化したが2次転移温度は66℃ である。また絶乾皮膜については加熱速度を0.2℃/minおよび20℃/minにして実験したが, 2次転移温度は73℃ であって, いずれの際にも加熱速度の影響は認められない。また平均重合度140, 441, 1071, 3820, 46355個の完全ケン化分別PVAからつくった皮膜の絶乾物について, 2次転移温度を測定したが, いずれの重合度の試料についても72±1℃ であって, 平均重合度の影響もまた認められない。
  • 第4報種々のエステルの連鎖移動壇数
    松本 昌一, 前田 正泰
    1957 年 14 巻 151 号 p. 582-588
    発行日: 1957/11/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    酢酸エチル, 酢酸正プロピル, 酢酸イソプロピル, 酢酸第3級ブチル, シュウ酸ジメチル, プロピオン酸メチル, 酪酸メチル・イソ酪酸メチル中でα, α'アゾビスイソプチロニトリル (AZN) を開始剤として酢酸ビニルの重合を行い, これら溶剤の連鎖移動恒数CSを求めた。CSとして上記順序にそれぞれ, 2.6×10-4, 3.4×10-4, 3.1×10-4, 6.2×10-4, 2.0×10-4, 23×104, 18×10-4, 58×10-4, を得た。エステルの酸基のカーボニル基の農炭素についているHが第3級のとき, もっとも大きい移動恒数を与える。AZNのみかけの重合効率は単量体濃度で変化し, しかもその変化の様子は溶剤によって異なる。
  • 第1報重合体の合成と結晶性
    沼田 靖行, 高橋 正夫
    1957 年 14 巻 151 号 p. 589-595
    発行日: 1957/11/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    テレフタル酸ジメチル, イソフタル酸ジメチルおよびエチレングリコールよりPbOを触媒として溶融重合によって, 種々の組成のポリエチレンイソフタレートテレフタレート共重合体を合成した。これら共重合体はいずれも良好な曳糸性を有し, 粘度数が大きいものでは冷延伸も容易である。エチレンイソフタレートが20%以下のものは結晶性を有し, 加熱や延伸などによってこれらを結晶化させることが可能である。延伸熱処理糸のX線図によれば, 結晶部分はエチレンテレフタレートのみよりなり, エチレンイソフタレートは非晶部分に存在するものと考えられる。
  • 第5報アセトンー水-ポリ酢酸ビニル系の2相平衡
    中島 章夫, 小川 明宏, 桜田 一郎
    1957 年 14 巻 151 号 p. 596-601
    発行日: 1957/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ酢酸ビニルのアセトン溶液に非溶媒として水を添加し, 相分離をおこす限界点における3成分の組成, ならびに限界点を過ぎて相分離をおこし完全に平衡にもたらされた上, 下2相の成分組成を定量し, 限界濃度則, ならびに2相への濃度分配則を実験的に求め, 結果を熱力学的に論議した。
  • 第4報水溶液重合
    宇野 泰三, 吉田 経之助
    1957 年 14 巻 151 号 p. 602-608
    発行日: 1957/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    塩化ビニル (VC) を分散剤を含まない水相で, 過硫酸カリ (KPS) 単独または亜硫酸ソーダ (SS) を併用して40℃ で重合を行ない, 永溶液重合の機構を明らかにした。重合体粒子の数 (N) は重合の全く初期に決定されることを重合率と粒子数, 粒子の電子顕微鏡観察, KPS分子の初期分解量から確かめた。重合速度 (Rp) は開始剤濃度 [I] の1/2乗に比例し, Nは2/5乗に比例する。Nは [I] を増加しても1014オーダー以上にならない。重合系のモノマー量を増減しても粒子に吸着される量には変化がなく, Rpは粒子表面に吸着されたモノマー量に関係する。粒子の直径は時間に比例して生長し, D=5.66×10-7t+9×10-6なる関係が見出された。Rpの加速は粒子表面積の増加から説明されるが, 重合率と時間の関係に実験式W (%) =0.757t1.29を得た。重合度 (P) は [I] の1/5乗に逆比例する。結論的に水溶液重合の特微は重合開始前と開始の状態が相違するのみで, 開始後は乳化重合の機構に従うことを明らかにした。
  • 第1報酸素による誘導期について
    中塚 和夫, 和田 早苗, 小泉 正夫
    1957 年 14 巻 151 号 p. 609-613
    発行日: 1957/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アクリルニトリル (AN) の重合反応は, 酸素によって阻害されることはよく知られた事柄である。この酸素による重合反応の誘導期間を求め, 重合核生成の機作の解明を行った。結果は誘導期間を7とすると, 1/τ ∞ [AN], 1/τ∞ [BPO], τ∞ [O2], となり, したがって酸素消失の速度は, -d [O2]/dt= [AN][BPO] で表わされているから, 重合核生成反応は, AN+BPO-遊離基のごとく, アクリルニトリルと過酸化ペンゾイルの2分子反応によって生成せられることを見出し, この重合核生成の賦活エネルギーは約20kcalであった。
  • 第2報重合機作の解明
    中塚 和夫
    1957 年 14 巻 151 号 p. 613-619
    発行日: 1957/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アクリルニトリルのトルエン溶液中で, BPO触媒による重合反応について研究を行い, 次の結果を得た。1) 重合のきわめて初期に, わずかの加速性を認めた。2) 反応速度式は, 30, 40℃ の場合と68℃ の場合とで異なり30, 40℃ では反応速度=k [AN][BPO], 68℃ では反応速度=k [AN] 2 [BPO] となった。3) 分子量は単量体初濃度に比例する。4) 分子量はほとんど触媒濃度によって変化しない。5) 分子量は, 反応温度40℃ に極大を有する。以上の事実より, 重合物の析出るこの種の不均一反応においては, 析出物のくるまり方によって反応速度式に変化を与えるであろうことを予想し, この反応の連鎖終結過程は, 生長しつつある遊離基の自発的停止であろうことを結論した。
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