塩化ビニル (VC) を分散剤を含まない水相で, 過硫酸カリ (KPS) 単独または亜硫酸ソーダ (SS) を併用して40℃ で重合を行ない, 永溶液重合の機構を明らかにした。重合体粒子の数 (
N) は重合の全く初期に決定されることを重合率と粒子数, 粒子の電子顕微鏡観察, KPS分子の初期分解量から確かめた。重合速度 (
Rp) は開始剤濃度 [
I] の1/2乗に比例し,
Nは2/5乗に比例する。
Nは [
I] を増加しても10
14オーダー以上にならない。重合系のモノマー量を増減しても粒子に吸着される量には変化がなく, Rpは粒子表面に吸着されたモノマー量に関係する。粒子の直径は時間に比例して生長し, D=5.66×10
-7t+9×10
-6なる関係が見出された。Rpの加速は粒子表面積の増加から説明されるが, 重合率と時間の関係に実験式
W (%) =0.757t
1.29を得た。重合度 (
P) は [
I] の1/5乗に逆比例する。結論的に水溶液重合の特微は重合開始前と開始の状態が相違するのみで, 開始後は乳化重合の機構に従うことを明らかにした。
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