高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
ISSN-L : 0023-2556
22 巻, 245 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 第3報分子量と分子量分布の影響
    上出 健二, 稲本 義彦, 大野 邦夫
    1965 年 22 巻 245 号 p. 529-538
    発行日: 1965/09/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    溶融ポリプロピレンの毛細管流動現象に及ぼす分子量と分子量分布の影響を検討した。市販ポリプロピレン (Mv=2.39×105, n-ヘプタン抽出残分98.5%) をP-キシレン-ポリエチレングリコール系で分別して得た分子量Mv範囲 (1.0×105~7.7×105) の7個の分別試料および分布の幅を調整した5個のブレンド試料を用いた。実験装置には高化式フローテスターを利用した。これまでに提案されているゼロずり応力粘度η0決定法のポリプロピレンへの適用性を検討した。ポリプロピレンでは1/logηa=1/logη0+aτ (ηa: 見かけの粘度, τ: ずり応力, a: 非ニュートン性のパラメーター) が成立する。分別試料ではこれより決定したη0Mv との間にlogη0=-12.2+3.12logMvが成立する。η0をlimηaより決定するとlogη0=-13.4+3.36logMvとなる。ポリプロピレンでもまたBueche理論の3.4乗則がほぼ成立する。分別試料, ブレンド試料ともに見かけのずり速度DN, 見かけのずり応力τapの間にはDN=kapNap (Nap: 見かけの非ニュートン性指数) が成立する。Napは分子量, 分子量分布の増大とともに増加する。a=d (1/logηa)/dτは分子量分布の増大とともに著しく増大する。分別試料の臨界ずり応力τcは分子量にかかわらずほぼ一定で1.0~1.4×106 dyne/cm2であった。Barus効果が分子量とともに増大することは, 前報の理論の予想と一致した。
  • 栗原 福次
    1965 年 22 巻 245 号 p. 539-545
    発行日: 1965/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリオキシメチレン (デルリン) の熱および光安定性を赤外線吸収スペクトル, Melt flow rate, 密度および結晶化度の測定から検討した。その結果から254, 316mμのような短波長紫外線では主として主鎖の切断および, それに伴う解重合反応, 末端からの解重合反応が, 354, 380mμのような長波長紫外線では末端からの解重合反応が, 熱酸化 (170℃) では主鎖の切断および, これに伴う解重合反応, 末端からの解重合反応が優先すると考えられる。また, 短波長紫外線による劣化では高分子量の方が安定で, 低分子量ほど結晶化度の増加が大で酸化による結晶化度の増加が認められた。
  • 西野 潤, 王 光源, 岸田 信, 佐部利 武司, 石川 善四郎, 坂口 康義
    1965 年 22 巻 245 号 p. 546-551
    発行日: 1965/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    安息香酸ビニル (I), α-ナフトエ酸ビニル (II), トリフェニル酢酸ビニル (III), p-クロロ安息香酸ビニル (IV), 2, 4-ジクロロ安息香酸ビニル (V), ヘキサヒドロ安息香酸ビニル (VI), トリメチル酢酸ビニル (VII), およびジクロロ酢酸ビニル (VIII) を, 主として酢酸ビニルと相当するカルボン酸とのエステル交換反応により製造した。(V) は新モノマーであり, その融点は38~40℃, 沸点は105~110℃/4mm Hgである。(VI) の沸点は115℃/3mm Hgであるという報告があるが, これは誤りであり, 62~69℃/5mm Hgであることを認めた。これらのモノマーをAIBNを開始剤に用いて, 主として60℃で塊状重合した。(III) からはポリマーがほとんど得られず, (II) からもわずかのポリマーしか得られなかったが, その他のモノマーからは高収率でポリビニルエステルが得られた。(IV), (V), (VI), (VII), (VIII) の重合速度は同程度であり, (I) の重合速度はこれらよりかなり小さかった。いずれのモノマーの場合にも, 生成ポリマーの分子量は重合率の上昇に伴って増大し, ある場合には不溶性のポリマーが生じた。これらの結果に対して少し議論した。
  • 第4報熱分解反応における有機イオウ化合物の添加効果について
    水谷 幸雄, 井原 啓文, 山本 桂市, 松岡 星子郎
    1965 年 22 巻 245 号 p. 552-556
    発行日: 1965/09/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレンの熱分解反応において4種の有機イオウ化合物テトラメチルチウラムジサルファイド (TT), テトラメチルチウラムモノサルファイド (TS), ジベンゾチアゾール (DM), 2-メルカプトベンゾチアゾール (M) を各々添加して, 熱分解促進効果および得られたポリプロピレンの酸化に対する安定性を検討した。その結果, 4種の有機イオウ化合物はいずれもすぐれた熱分解促進効果を示した。またTT添加熱分解ポリプロピレンは酸化に対してきわめて安定であり, TS・DM・M添加熱分解ポリプロピレンは逆に酸化に対して不安定となることを認めた。なお, 有機イオウ化合物を添加して得られたポリプロピレンはTT-黄色, TS-白濁色, DM-かっ色, M-淡かっ色の着色を示した。
  • 第4報有機過酸化物を開始剤とするジメチルスルポキシド中での重合-主として過酸化ラウロイルージメチルアニリン系開始剤による重合の動力学
    城内 宏, 渡辺 正元
    1965 年 22 巻 245 号 p. 557-565
    発行日: 1965/09/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    ジメチルスルホキシド (DMSO) 中でのアクリロニトリル (AN) の均一系重合の開始剤として種々の有機過酸化物を検討した結果, 過酸化ラウロイル (LPO) が有効であることを見出した。さらにこれと還元剤を組み合わせたレドックス系では, 過酸化ラウロイルージメチルアニリン (DMA) 系がすぐれ, 重合速度および重合度は次式で与えられる。重合速度:

    重合度:

    ここで,

feedback
Top