安息香酸ビニル (I), α-ナフトエ酸ビニル (II), トリフェニル酢酸ビニル (III),
p-クロロ安息香酸ビニル (IV), 2, 4-ジクロロ安息香酸ビニル (V), ヘキサヒドロ安息香酸ビニル (VI), トリメチル酢酸ビニル (VII), およびジクロロ酢酸ビニル (VIII) を, 主として酢酸ビニルと相当するカルボン酸とのエステル交換反応により製造した。(V) は新モノマーであり, その融点は38~40℃, 沸点は105~110℃/4mm Hgである。(VI) の沸点は115℃/3mm Hgであるという報告があるが, これは誤りであり, 62~69℃/5mm Hgであることを認めた。これらのモノマーをAIBNを開始剤に用いて, 主として60℃で塊状重合した。(III) からはポリマーがほとんど得られず, (II) からもわずかのポリマーしか得られなかったが, その他のモノマーからは高収率でポリビニルエステルが得られた。(IV), (V), (VI), (VII), (VIII) の重合速度は同程度であり, (I) の重合速度はこれらよりかなり小さかった。いずれのモノマーの場合にも, 生成ポリマーの分子量は重合率の上昇に伴って増大し, ある場合には不溶性のポリマーが生じた。これらの結果に対して少し議論した。
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