ポリエチレンの性質, 就中その物質的諸性質を理解し得る爲には分子構造の研究が河より肝要な問題である。然るにポリエチレンの如き高分子量のパラフィンの分子構造の研究は物理化學的にも亦有機化學的にも極めて困難であ払得られた實驗的諸數値の精度の問題とかその解繹に當つて餘儀なくせらむる諸假定の如きを考へる時は, 現在に於ては到底分子構造に對しての一義的な説明を與へ得るものではない。然し乍ら低分子パラフィンについて得られてゐる諸知見を以て高分子化合物の構造を推定し高分子化合物について得られた数値に適宜の解釋を與へることによつて, 高分子化合物の分子構浩に對しての研究假説を設けることは, 測定結果の整理と共に次の研究手段の手掛りとして當然許されることであり, 又必要な事だと考へられる。この意すこ於て, 著者が従來ポリエチレンに關しで得た結果を一先づ本報に總括し, 併せてその分子構造に對する推定を行つた。
抄録全体を表示