高分子化學
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19 巻, 211 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第1報 結晶化度
    西岡 篤夫, 柳沢 一生
    1962 年19 巻211 号 p. 667-671
    発行日: 1962/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    X線回折による結晶化度と密度とを主としてZieglem触媒により合成したポリブテン-1について測定した。
    結晶化度と比容積との間に直線関係が成立することから, 結晶質と非晶質の密度の値0.950および0, 868が得られた。
    アイソタクチックポリブテン-1には結晶化バンドとみなしうる吸収が多数見出された。一方, 1221cm-1バンドは固態状態ではその吸光度比の値が比容積と直線関係を示すが溶融状態や溶液で消失しない。したがって固態状態で一定の熱処理をした試料について比較するときには結晶化度の尺度として使用しうると考えられる。
    吸光度比 (A1221/A1151) と密度 (d) との間には次の実験式が成立する。
  • 第2報 立体規期性
    西岡 篤夫, 柳沢 一生
    1962 年19 巻211 号 p. 671-675
    発行日: 1962/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリブテン-1の二硫化炭素溶液についてのIRスペクトルから1220, 972, 917cm-1の吸収バンドは立体規則度に直接関連していることを見出した。これらのバンドと (A1221/A1151) solidとの関係, 混合物の溶液の吸光度比と混合比との関係から立体規則度 (R) を定量しうる実験式を得た。
    また, 965cm-1バンドおよびカチオン重合物について検討した。
  • 白石 誠
    1962 年19 巻211 号 p. 676-681
    発行日: 1962/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アルデヒド共存下に重合したポリ酢酸ビニルの末端カルボニル基の構造を知るとともに, ポリビニルアルコールのアルカリ水溶液中の解重合反応の開始機構を確かめる目的で, 逆アルドール反応で生成するケトン, アルデヒドの分離定量を試みた結果次のようなことがわかった。(1) アルデヒド共存下で常法により重合したポリ酢酸ビニルの末端カルボニル基の構造はほとんどケト型である。しかし低温で光重合したポリ酢酸ビニルではケト型の占める割合はかなり少ない。(2) これらポリ酢酸ビニルはアルカリ・ケン化の際に容易にケトンを脱離するため, ポリビニルァルコールの末端カルボニル基は相当量アルデヒド型になっている。(3) ポリ酢酸ビニルのアルカリ煮沸液からケトンを確認したことより, アルカリ水溶液中におけるポリビニルアルコールの解重合の開始機構は, 末端カルボニル基より始まる逆アルドール反応であることを実験的に証明することができた。
  • 第3報ポリアクリロニトリル模型物質の熱処理
    高田 利宏
    1962 年19 巻211 号 p. 682-690
    発行日: 1962/11/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリルを加熱した場合に起こる着色現象を基礎的に検討するために, それぞれ立体異性体にある程度分離されたCH3 [CH (CN) CH2] 2-4Hおよび末端にメチル基の存在しない構造の2量体, 3量体に相当する模型物質を熱処理し, その処理物の紫外吸収スペクトルおよび赤外吸収スペクトルを測定した.その測定結果と前報におけるアルカリの作用による模型物質の環状構造化のときに得られた結果とを比較することにより次のような知見が得られた。すなわち, 模型物質は加熱処理によっても環化反応を起こすが, アルカリ処理の場合に認められたところの水素化ナフチリジン型の構造の生成だけでなく, 脱水素などを伴ってできたものと思われる構造を生成することが認められた。また, 本報に使用した模型物質はポリアクリロニトリルより熱に対して安定であることから, 未確認ではあるが, ポリアクリロニトリルには不規則な結合 (枝分れ, head-to-head型結合など) があって, それらが熱に対する不安定性の原因になっているのではなかろうかと考えられる。さらに分子の末端構造, ニトリル基の立体配置なども熱安定性に影響を及ぼしていることが認められた。
  • 第4報ポリアクリロニトリル共重合体模型物質の熱処理
    高田 利宏
    1962 年19 巻211 号 p. 690-698
    発行日: 1962/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポりアクリロニトリルの分子鎖中に -COOCH3, -COOH, -CONH2が挿入された場合に、熱処理による変化に際してそれらの挙動を検討する目的で次のような模型物質を使用して熱処理を行なった。CH3-CH (CN)-CH2-CH (X)-CH3, CH3-CH (CN)-CH2-CH (CN)-CH2CH (X)-CH3, CH3-CH (X)-CH2-CH (CN)-CH2-CH (X)-CH3 ただし, Xは -COOCH3または-COOH, または-CONH2である。
    熱処理された試料はガスクロマトグラフィー, 紫外吸収スペクトルの測定, 赤外吸収スペクトルの測定により検討し, いずれの場合においてもグルタロイミド環構造を形成する可能性のあることを確認した。上記模型物質中Xが-COOHである場合が最も環状構造 (グルタロイミド環) 化しやすく, -COOCH3の場合が最も環化されにくかった。しかし, -COOCH3に対してγ位に存在する-CNの影響により普通の脂肪酸のメチルエステルよりは熱分解しやすい傾向を認めた. Xが-CONH2の場合は, アルカリ処理に比べ環状構造化しにくい。また, いずれの場合もグルタロイミド環が生成する反応機構についての推定を行なった。
  • 第7報pHによるチオリグニンの分別と各フラクションのSBR補強性について
    和田 昭三, 岩見田 糺, 飯島 林蔵, 矢部 恵子
    1962 年19 巻211 号 p. 699-703
    発行日: 1962/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    クラフトパルプエ業廃液よりpHによってチオリグニンの分別沈殿を試みた。沈殿剤としては, pH9以上の領域ではNaHCO3飽和溶液を使用し, それからpH7まではCO2を, 酸性領域では, 塩酸を使用して, 合計10フラクションに分別した。次に各フラクションのリグニン中の二三の官能基の量を比較したところ, 沈殿pHが低下するにつれて,(1) フェノール性水酸基およびカルボキシル基は, 漸次増大するが, 後都の増加率は, 前者に比して著しく大きい。(2) カルボニル基は, 漸次減少するが, 特に酸性フラクションでの低下は著しい。(3) グアヤシル基は, 第1フラクション (最高pHフラクション) のみ若干低いが, 他のフラクションでは, ほとんど変わりはない。しかし, これら各フラクションのSBRに対する補強性は, 酸性フラクションを除いて, ほとんど差が見られなかった。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義, 大原 治
    1962 年19 巻211 号 p. 704-706
    発行日: 1962/11/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アイソタクチック, シンジォタクチック, およびアタクチックポリメタクリル酸メチルを同一反応度 (70モル%) までケン化した。これら生成物の電圧滴定をアルカリとしてNaOH,(n-Butyl) 4-NOHおよびBa (OH) 2-NaOH混合物 (モル比で3: 1) を用いて行なった。同一中和度においてアイソタクチックポリマーはシンジオタクチックポリマーより高いpH値を示し, アタクチックポリマーはシンジォタクチックポリマーとほぼ同一の滴定曲線を与えた。開始剤としてAIBNを用いてpHおよびモノマー濃度の異なる水溶液中で重合して得られたポリメタクリル酸は, ほぼ同一の滴定曲線を与えた。これらの結果について若干の考察を行なった。
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