高分子化學
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24 巻, 265 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第7報 N-カルバミルマレアミン酸とスチレンの共重合
    野間 夬之, 丹羽 政三, 河出 明浩
    1967 年24 巻265 号 p. 337-340
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    N-カルバミルマレアミン酸とスチレンの共重合をジオキサン中で70℃で行ない, このコポリマーをジオキサン中で60℃で8時間または16時間ケン化した。元素分析, 酸価およびIRスペクトルの実験から, 未ケン化コポリマーはN-カルバミルマレアミン酸基, マレイン酸基およびスチレン基からできており, ケン化コポリマーはマレアミン酸基, マレイミド基, N-カルバミルマレアミン酸基, マレイン酸基およびスチレン基からできていることを認めた。
  • 桜田 一郎, 大村 恭弘, 坂口 康義
    1967 年24 巻265 号 p. 341-347
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ドデシルスルホン酸, ヘキサデシルスルホン酸, ドデシルベンゼンスルホン酸, ポリスチレンスルホン酸, 部分スルホン化ポリスチレンのようなスルホン酸を触媒に用いて, ポリビニルアルコール (PVA) を水溶液中で, アセトおよびn-ブチルアルデヒドによりアセタール化し, アセタール化速度を塩酸を触媒に用いて同一条件下で行なったアセタール化の速度と比較した。これらのスルホン酸はこのアセタール化反応に対して, 一般に塩酸よりも有効な触媒であり, この事実はPVA分子の近傍におけるスルホン酸基の局所的濃度が高くなることに帰することができる。これらのスルホン酸の, PVAのアセタール化に対する触媒的挙動は, 一般に部分アセチル化PVAの加水分解に対する挙動に似ているが, 両者の間には若干の差異が認められた。この結果に対して少し議論した。
  • 第1報 ラジカルにおける分子内水素移動反応の遷移状態
    喜多 晋一郎, 福井 謙一
    1967 年24 巻265 号 p. 348-360
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    エチレンのラジカル重合で生成する短鎖分岐構造の理論的計算の基礎を得るために, 主として, Hoffmannの拡張ヒュッケル分子軌道法を用いて, 遷移6員環状態を中心にラジカルにおける分子内水素移動反応の機構について考察し, 次の結論を得た。
    i) この反応の遷移状態は, シクロヘキサンの椅子型に似た構造と思われる。
    ii) ブチル分岐生成の場合の遷移状態とエチル分岐生成の場合のそれを比べると, 後者の方が, 著しく生成しやすい。
    iii) 分子内水素移動反応の内, 短鎖分岐生成に対する寄与の最も大きいものは, 第一級ラジカルによる第一級および第二級水素の引き抜きを含むもの, 次いで, 第二級ラジカルによる上記水素の引き抜きを含むもの, これ以外は, 無視できるほど小さいと思われる。
  • 第7報 立体規則性の異なるポリビニルアルコールの単結晶
    坪井 清, 藤井 洌, 望月 隆仁
    1967 年24 巻265 号 p. 361-365
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) の立体規則性と単結晶のモルホロジーとの関係を知るために, 種々のPVAを用いて単結晶を作製し, その構造を研究した。シンジオタクチシティの差には関係なく, 平行四辺形の単結晶が形成され, PVAの単結晶形成には立体規則性の差は影響しないことを認めた。単結晶で比較すると, 0~-40℃で重合した低温重合PVAと通常のPVAでは, 融点, 耐熱水性, 格子定数などにほとんど差がない。ジメチルスルホキサイド中で重合したポリ酢酸ビニルから得たPVAの単結晶は通常のPVAの単結晶より融点が低く, 耐熱水性でやや劣ることを認めた。アイソタクチシティの高いPVAからは平行四辺形の単結晶はできず, フィブリル状の沈殿物が得られた。このフィブリルは耐水性が悪く融点も低い。
  • 第8報 結晶化条件と結晶の形態との関係について
    坪井 清, 望月 隆仁
    1967 年24 巻265 号 p. 366-371
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) 単結晶の作製条件と結晶の形態との関係について検討した。平行四辺形の単結晶は, PVAを250~260℃で貧溶媒に溶解し, 180℃以上で結晶化させると得やすい。PVAが130~175℃で結晶化する多価アルコールを用いると球晶状や棒状の結晶ができやすい。PVAが120℃以下で結晶化する溶媒を用いると, フィブリル状の結晶から構成された球晶状結晶ができやすい。トリエチレングリコールとグリセリンの混合溶媒の場合には, グリセリンの割合が増大すると, 結晶化温度は低下し, 結晶は細長くなる。溶解時のPVA濃度が高いと, 球晶状結晶ができやすい。
  • 第4報 ポリカーボネートのストレスクレージング
    冨川 昌美, 加治 英彦
    1967 年24 巻265 号 p. 372-377
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリカーボネートを用いてクレーズの発生と生長の過程を光学顕微鏡で観察した。試料表面のクレーズの平均長さは生長の初期において応力の作用した時間の対数と直線関係が成立した。応力の増加は発生するクレーズの数を増大せしめ, クレーズの長さは応力の大きさと応力の作用した時間にのよって決定される。また, クレーズの生長速度は生長の初期で大きく生長につれて減少した。クレーズ発生に誘導時間t0が観察され, log t0=log A-BS+C/Tの実験式が成立した。ここでSは応力, Tは絶対温度, A, B, Cは定数である。Mv=22000のポリカーボネートではA, B, Cはそれぞれ3.02×10-15, 2.57×10-2, 7.96×103であった。また, クレーズ発生の活性化エネルギーは36.2kcal/molであった。以上の実験結果に基いてストレスクレージングをポリマーの局部的な降伏と特殊な粘性流動による配向現象であるとする観点からクレーズの発生に関して二三の考察を行なった。
  • 第1報 平衡融点と表面自由エネルギー
    池田 守男, 三石 幸夫
    1967 年24 巻265 号 p. 378-384
    発行日: 1967/05/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレートの平衡融点 (Tm0) を差動熱量計 (DSC) を用いて求め, その結果を用いてラメラの表面自由エネルギー (σe) を計算した。DSC曲線こおける結晶融解の吸熱曲線のピーク温度を融点とするならば, 種々の温度で等温結晶化して得られた試料の融点は昇温速度によって変化する。結晶サイズが小さい範囲では融点が極小になる昇温速度が存在する。これらの現象はラメラの厚化・再結晶化およびSuper heatingによって説明される。ラメラの厚化・再結晶化およびSuper heatingの効果を最小にする昇温速度で得た融点からHoffman-Weeksの式を用いてTm0を求めた。その結果, Tm0=284℃が得られた。また吸熱終了温度を融点とするとTm0=281℃が得られた。一方, ラメラのσeは約39erg/cm2となり, このσe, 分子量および結晶化度などからポリエチレンテレフタレートのラメラの結晶形態は“Sharp” folded modelよりもむしろ“Switchboard” folded modelに近いと推察される。
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