α-オレフィン系の単独放射線重合については比較的報告が少ないが, すでに詳しい実験のなされているエチレン, プロピレン, イソブチレンなどのC
2-C
4のα-オレフィンに対してC8のオクテン-1がどのような機構で重合するかを検討した。実験は, 照射温度-196℃から+50℃の範囲の液相あるいは固相で放射線重合を行ない, 重合の温度依存性, ラジカル禁止剤の影響, 重合速度の線量率依存性, 溶媒添加による影響などについて検討した。実験の結果, 次のような事実を見出した。-78℃から+50℃の温度範囲でのアルレニウスプロットは直線関係とはならず, +20℃と-78℃における重合速度はともに線量率の1乗に比例した。比較的高温域では, 四塩化炭素は重合を加速したが, ベンゼンは抑制した。一方, 低温域では四塩化炭素は重合に影響せず, ベンゼンは重合を加速した。また, -78℃ で塩化メチレンが重合を加速した。これらの結果より高温域ではラジカル重合, 低温域ではカチオン重合が支配的であることが推定された。
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