パームチット (合成アルミノケイ酸塩, Na
2O, Al
2O
3, 2SiO
2, 6H
2O) に, メタクリル酸メチルなどのビニルモノマーが, 室温下のγ線照射によリグラフト重合することが認められた。グラフト率は, 20~30%を示し, メタクリル酸メチルを用いた例では, 濃アルカリでパームチットを分解除去後, 単離されたポリマーの粘度平均分子量は2×10
5であった。また, 反応機構を知る手がかりを得るために, グラフト重合を前照射法で行ない, 反応の過程をESRで追跡した結果, 照射パームチットには, 6本線シグナル (
g値, 1.998, 超微細分離定数, 21.6G) を示す常磁性種が存在し, これにメタクリル酸メチルモノマーを導入すると, 新たに, ポリマーラジカル (
g値, 2.004, 超微細分離定数, 11.5Gの9本線シグナル) が検出された。このシグナルは, 時間の経過とともにシグナル強度が増し, ほぼ50時間後ぐらいから, 一定強度に達して, そのまま残存している。アクリル酸の場合も, 同様のESRスペクトルの挙動を観察した。これらの常磁性種の変化から, 照射無機基質中の活性点, およびグラフト重合の反応機構について考察した。
パームチットを, 硫酸あるいは重クロム酸混液で処理し, それらの表面の物理化学的諸性質とグラフト重合反応との関連を, 表面積, 吸着水分量, 表面酸特性の点から検討し, 前報で用いたフレーク状アルミノケイ酸塩ガラスと比較した。
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