高分子化學
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28 巻, 314 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 八若 洋平, 土原 豊治, 田中 信義, 小坂 研一, 開田 泰憲, 小川 正夫
    1971 年 28 巻 314 号 p. 459-464,545
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    組成の異なる酢酸ビニル (VA)-エチレン (E) 共重合体 (PEVA) を溶液重合により合成し, その組成を精度よく分析する目的で高分解能NMRによる方法を試み, アルカリ加水分解法による結果と比較検討した。NMRの測定は100MHz, 54℃ において, 数種の溶媒についてスペクトルの溶媒効果を調べ, スペクトルの分離がよいcis-1, 2-ジクロルエチレンを溶媒に選んだ。この溶媒を用いるとメチレンプロトンの吸収が三つのピークによく分離し, そのうちの一つが共重合体にだけ認められるピークであることを見出した。これらの三つのピークをVAとEのdiadに帰属することにより組成分析を行なった。その結果はアルカリ加水分解法による分析結果とよい一致を示した。さらにNMRによる方法ではPEVAの連鎖分布を知ることもできるので, メチレンプロトンの3種類のdiadの面積強度を利用してPEVAのrun number (Robs), diad分布, 連鎖長を求めた。一方統計的にランダムな場合のrun number (Rrand) をPEVAの組成から計算により求めた。得られたRobsとRrandの値がよく一致することから, 用いたPEVAの組成分布はランダムに近いと推定した。
  • 第1報グラフト共重合に及ぼす反応液組成の影響
    半田 隆, 大塚 信好, 鮎川 弥一
    1971 年 28 巻 314 号 p. 464-470,545
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    電子線前照射スターチとメタクリル酸メチルを用いて, グラフト共重合を行なう場合, その反応液組成がグラフト率, グラフト枝の平均分子量などに, どのような影響を与えるかについて, メタクリル酸メチル, メタノール, 水の3成分系で検討し次の点がわかった。1) 反応液中のメタクリル酸メチル濃度はグラフト率に対して一次の関係である。2) 反応液中の水分は, スターチ粒子内部までグラフト共重合を促進させて, グラフト率, グラフト枝の分子量を増加させている。3) 同一照射線量において, グラフト率の上昇は, グラフト枝の分子量増加に基づく。4) グラフト生成物の粒径分布の移動およびグラフト率と粒子の平均体積との関係より, グラフト率の増加は1個のスターチ粒子内でのグラフト共重合に還元できる。
  • 第2報スターチラジカルとグラフト活性点
    半田 隆, 大塚 信好, 鮎川 弥一
    1971 年 28 巻 314 号 p. 471-476,546
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    電子線前照射スターチに対するグラフト共重合をメタクリル酸メチル, メタノール, 水の系で行ない, 前照射によってスターチ粒子に生じるラジカルを電子スピン共鳴 (ESR) 測定から, また反応後, グラフト生成物の酸加水分解より得られたグラフト枝の分子量分布からグラフト活性点について検討し, 次の2点がわかった。1) スターチラジカルからメタクリル酸メチルの成長ラジカルへの転移が認められ, 成長ラジカルの減少はグラフト率の上昇に対応する。2) グラフト枝の数は, スターチラジカル濃度とほぼ一致し, グラフト活性点は, 照射によって誘起されたスターチラジカルである。
  • 第3報グラフト共重合に及ぼす粘性物質の効果
    半田 隆, 大塚 信好, 宮田 克也, 鮎川 弥一
    1971 年 28 巻 314 号 p. 476-482,547
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前照射スターチに対するグラフト共重合において, 反応溶液中に粘性物質を加えた場合, グラフト共重合にどのような効果を示すか, メタクリル酸メチル, メタノール, 水の系にグリコール類を用いて検討した。研究結果より, 反応溶液粘性の上昇に伴ってグリセリン, エチレングリコール, シクロヘキサノールはグラフト共重合を促進させた。また貧溶媒中でのグラフト共重合に認められ至重合体自身によるゲル効果以前に, これらの粘性物質がメタクリル酸メチルの成長ラジカルの減衰を抑制する初期のゲル効果を起こしていることがわかった。
  • 第1報金型内の樹脂圧力挙動に及ぼす成形条件の影響
    天野 修
    1971 年 28 巻 314 号 p. 482-492,547
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高密度PEの射出成形において樹脂圧力を成形機ノズルおよび金型内6箇所で測定し, 樹脂圧力挙動に及ぼす加熱筒温度, 金型温度, 射出圧九型締力, 射出速度および保持圧時間などの成形条件の影響を調べた。樹脂圧力の時間的変化, すなわち圧力プロフィルは2領域に分かれ, 一つは初期充てん過程の流動圧であり他はその後の静圧変化である。流動圧はキャビテイー寸法, 樹脂の流速および粘度から導かれる計算値と比較した。最大静圧は型締力とキャビティー投影面積の比および樹脂供給量に基づく成形品重量により制約される。最大静圧のキャビティー内での分布は成形条件に依存する樹脂温度と充てん速度によって変化する。ゲイトシール時間はゲイトに最も近い位置での圧力プロフィルの終端部分での圧力変化から推定される。成形品重量はすべての成形条件下において樹脂圧力挙動を強く支配することから重要な成形条件の一つと考えねばならない。
  • 第2報成形収縮率
    天野 修
    1971 年 28 巻 314 号 p. 493-500,548
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高密度PEの射出成形板の成形収縮率 (キャビティー寸法240l×80w×2tmm) を樹脂の流れ方向 (MD) およびそれと直角方向 (TD) に測定し, 成形条件が収縮率, 厚みおよび密度に及ぼす影響を検討した。収縮率は成形板内の位置および成形品重量により異なり, 最小収縮率は成形機の型締力とキャビティーの投影面積により決まる最大樹脂圧力となる成形品重量で現われる。最小収縮率に及ぼす成形条件の影響はMDでは小さいが, TDでは非常に大きく, 加熱筒温度, 金型温度, 射出圧力および射出速度の上昇と型締力および保持圧時間の減少がTDの最小収縮率を増大させる。上記の成形条件の変化は収縮率の異方性を低下させる。加熱筒温度および金型温度が等しい成形条件下ではTDの収縮率はキャビティー内のそれぞれの位置における樹脂圧力の残存時間と関係づけられ, 固化時間で交叉する2本の直線で示される。収縮率がキャビティー内の樹脂圧力挙動と深い関係があることは上述の結果からも明らかで, 収縮率を論ずるにあたっては樹脂圧力挙動を無視することはできない。
  • 第17報ポリ塩化ビニル誘導体のイオン橋かけ
    森 邦夫, 中村 儀郎
    1971 年 28 巻 314 号 p. 500-506,549
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    エチレンジアミン中でポリ塩化ビニル (PVC) とチオグリコール酸またはo-アミノチオフェノールとの反応によって, 側鎖にカルボキシル基またはアミノむPVC誘導体を合成し, この誘導体に対するアミンまたは有機酸によるイオン橋かけ反応とその生成物の性質を検討した。橋かけ反応は有機溶媒中で行なわれるためおそく, 橋かけ温度, 橋かけ剤の量および橋かけ剤の種類の影響を受ける。また橋かけ剤は一官能性でも十分橋かけし, 塩形成やすいものほど効果的である。橋かけの結合力は塩形成によって生じるイオン対相互のクーロン引力によるものであり, 数個のイオン対が集合して発揮されるものと推定される.イオノマーの性質は熱ゆがみ温度, 引張強度および伸度に関して, 他の橋かけ高分子のそれと挙動が異なった。
  • 第22報ポリ-L-グルタミン酸のずり応力による凝結とコンポメーションの変化
    近藤 慶之, 清水 和明, 早川 忠男, 呉 祐吉
    1971 年 28 巻 314 号 p. 507-510,549
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリ-L-グルタミン酸水溶液に, かきまぜによるずり応力を加えて, 機械的変性に伴う構造変化を観察した。pHと温度変化によりヘリックス含量を異にする各種のポリ-L-グルタミン酸水溶液に, ずり応力を加えて凝固析出させ, ポリマーの析出量を求めた。析出量はずり応力を加える前の溶液中のヘリックス含量と側鎖カルボキシル基の解離の度合が, ずり応力下の結晶化に影響することがわかった。ずり応力下に得られた析出物の赤外吸収スペクトルとX線写真の測定から, それらの構造を推定すると, 側鎖基がほぼ非解離の場合, 100%ヘリックスの状態からは, ほぼα-ヘリックス, 80%ヘリックスからは, α-ヘリックスにβ, 60%ヘリックスからは, ほぼβ構造に析出してくることを認めた。これらの事実は, 側鎖カルボキシル基が影響し, 非解離の場合は-COOHのためコイル部分同士がお互いに分子間に水素結合をもつβ構造に転移すると考えられ, 解離が大きくなると, -COO-同士の反発のためα→β転移を困難にしているものと考えられる。析出物を除いた溶液中のポリマーもずり応力によりヘリックス含量は減少していることが旋光分散の測定より認められた。
  • 第3報圧縮モジュラスと引張りヤング率係数との関係
    大沢 直志, 三平 和雄
    1971 年 28 巻 314 号 p. 510-515,550
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    独立気泡をもつフォームの圧縮モジュラスと引張りヤング係数との関係を見出し, さらにこの関係が曲げ剛性に及ぼす影響を明らかにするために, フォームの曲げ挙動を断して次の結果を得た。
    (1) 圧縮モヅユラスEeと引張りヤング係数Etの比は, フオームを曲げかときに最内層および最外層で生ずるひずみ (εe) max,(εt) maxをそれぞれ測定すればEe/Et=(εt)2max/(εe)2maxなる関係を用いて直ちに求められる。
    (2) フォームのEe/Etとそのフォームを構成する高分子材料の体積分率pとの関係はEe/Et=1-e-μpなる実験式で示された。ここにμはフォームの材質およびセルの大きさに依存しない定数である。
    (3) フォームの曲げ剛性に関する見かけのヤング係数Ebは, 圧縮モジュラスおよび引張リヤング係数を用いて次式で与えられる。
  • 清造 剛, 下村 泰志
    1971 年 28 巻 314 号 p. 516-522,551
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PETのオリゴマー (モノマー, ダイマー, およびトリマー) の両端にセバシン酸クロリドを反応させてオリゴマーの酸クロリドを合成し, これとアミド成分のための過剰のセバシン酸クロリドとをヘキサメチレンジアミンと界面重縮合させて, 一連のブロック共重合エステルーアミドを合成した。共重合組成曲線から, アミド成分とエステル成分は, かなリランダムに共重合していると推定された, 示差熱分析およびX線分析の結果, エステル成分にPETのモノマーおよびダイマーを用いた共重合体では, アミド成分のみが結晶化しており, その結晶化度はPET含量の増加とともに低下することが認められた。しかしPET鎖がトリマー程度に長くなると, PET含量が大なる場合にはPET成分も結晶化しうることが判明した。
  • 赤金 華津男, アレン グラハム
    1971 年 28 巻 314 号 p. 522-524,551
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Adsorption phenomena of polyethylenimine into cellulose in water-organic solvent system was investigated. As a result, minimum adsorption was observed in case of 1: 1 volume ratio of binary system, while maximum adsorption was in water or organic solvent alone. The measurement of viscosity showed the strong correlation to the retention. Therefore, from these results, it was pointed out that the adsorption phenomena of polyelectrolyte to porous material like cellulosic fiber in water-organic solvent system also could be well interpreted by so called “Jack in the box effect”.(1, 2)
  • 金沢 淑子, 東出 福司
    1971 年 28 巻 314 号 p. 524-530,552
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    パームチット (合成アルミノケイ酸塩, Na2O, Al2O3, 2SiO2, 6H2O) に, メタクリル酸メチルなどのビニルモノマーが, 室温下のγ線照射によリグラフト重合することが認められた。グラフト率は, 20~30%を示し, メタクリル酸メチルを用いた例では, 濃アルカリでパームチットを分解除去後, 単離されたポリマーの粘度平均分子量は2×105であった。また, 反応機構を知る手がかりを得るために, グラフト重合を前照射法で行ない, 反応の過程をESRで追跡した結果, 照射パームチットには, 6本線シグナル (g値, 1.998, 超微細分離定数, 21.6G) を示す常磁性種が存在し, これにメタクリル酸メチルモノマーを導入すると, 新たに, ポリマーラジカル (g値, 2.004, 超微細分離定数, 11.5Gの9本線シグナル) が検出された。このシグナルは, 時間の経過とともにシグナル強度が増し, ほぼ50時間後ぐらいから, 一定強度に達して, そのまま残存している。アクリル酸の場合も, 同様のESRスペクトルの挙動を観察した。これらの常磁性種の変化から, 照射無機基質中の活性点, およびグラフト重合の反応機構について考察した。
    パームチットを, 硫酸あるいは重クロム酸混液で処理し, それらの表面の物理化学的諸性質とグラフト重合反応との関連を, 表面積, 吸着水分量, 表面酸特性の点から検討し, 前報で用いたフレーク状アルミノケイ酸塩ガラスと比較した。
  • 木下 茂武, 松本 文夫, 山本 雄三, 斎藤 安史
    1971 年 28 巻 314 号 p. 531-536,552
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    球晶性アイソタクチックポリプロピレンフィルムを高温延伸すると, 球晶はネッキングなしに均一変形する。この時球晶のどの部分がどのようなメカニズムによって変形するかを, 比較的大きな球晶 (約150μ) を含むフィルムを作製し, 主としてX線回折の結果と電子顕微鏡写真との対応から検討した。その結果, 次の5段階を経て球晶が変形することが推定された。1) 未延伸状態。2) 3倍未満の低延伸領域で, 延伸方向に対し45°方向のラメラが延伸方向にわずかに回転する。3) 4.5倍延伸までの延伸で, 球晶の中心がひきのばされるため, 延伸方向に対し45°方向のラメラが延伸方向と垂直に向いていく。4) 4.5-6倍延伸で延伸方向に対し45°以内の領域のラメラが2) の段階より強くa軸配向する。5) 6倍以上になるとa軸配向結晶の分子鎖のときほぐしが起こっている。
  • 畠山 立子, 金綱 久明
    1971 年 28 巻 314 号 p. 537-540,553
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    単分散ポリスチレンMn=1.0×104および1.0×105とそれらの1: 1混合物の熱的性質をDSCによって測定した。ブレンド構成成分のガラス転移の中間で熱処理した時は, ブレンド試料は両者の中間的な性質を示し, 時間依存性は認められない。低分子成分のガラス転移温度より低い温度で熱処理した場合には, DSC曲線にはガラス転移の分離が観察され, 時間とともに, 分子量分割が主体的に進行することが見出された。
  • 第59報ポリ-N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリドン存在下での重合
    遠藤 剛, 沼沢 亮三, 大河原 信
    1971 年 28 巻 314 号 p. 541-544,553
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸 (MAA), p-ヒドロキシスチレン (PHS) をN-ブチル-2-オキサゾリドン (NBOx) あるいはポリ-N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリドン (PNVOx) の存在下でラジカル重合した。比較的高濃度 (2, 33mol/l) の重合ではNBOx, PNVOxの存在量が増加するにつれて重合速度は減少した。またMAAの重合でNBOx, PNVOxの存在量が増加するにつれて得られたポリマーの立体規則性は増加した。一方, 希薄水溶液 (4.95×10-4mol/l) 中でのMAAの重合ではPNVOxの添加によって重合速度は増加し, MAAとPNVOxのモル比が1: 1付近で最大速度を示した。しかし水-ジメチルホルムアミドの混合溶媒中での速度は水系に比較して減少した。
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