高分子化學
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21 巻, 227 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 第2報三次元化機構に対する組成の影響
    田中 久雄
    1964 年21 巻227 号 p. 145-151
    発行日: 1964/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    トリメチロールプロパンと3, 6エンドメチレン-1, 2, 3, 6テトラヒドロ-シス-無水フタル酸とから成る当量, カルボキシル基過剰, ヒドロキシル基過剰の3種の組成の三次元ポリエステル樹脂の熱硬化反応を, 種々の温度において行なった。アセトン, クロロホルム, n-ブタノール, エタノールおよびベンゼンに対する溶解度の変化を動力学的に検討し, 不溶化速度定数ならびに活性化エネルギーを求めるとともに, 可溶部分の性質を解明し, これらの樹脂の三次元化機構をあきらかにした。また, ゲル化点の反応率は理論値よりかなり大きい値となり, ゲル化点では副反応が起こることを指摘した。ヒドロキシル基過剰組成の樹脂の性格は, 当量およびカルボキシル基過剰組成のものと著しく異なっていた。この可溶部分は反応出発分子とその環状化分子とから成り, これらは互いに平衡関係にあると推論した。
  • 第2報ポリプロピレンの溶液粘度
    上出 健二
    1964 年21 巻227 号 p. 152-160
    発行日: 1964/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    数種類の市販ポリプロピレンおよびそれらのエーテル抽出物の分別区分の溶液粘度を測定した。種々の溶媒に対してHugginsの式ηsp/c= [η] +k'[η] 2cが成立した。k'はある分子量で極小を示した。デカリン溶液 (135℃) におけるChiangの粘度式 [η] =1.10×10-4Mw0.80を基準にして種々の溶媒における粘度式を決定した。イソタクチックポリプロピレン (IPP)-デカリン溶液ではd [η]/dT>0であるに反して, アタクチックポリプロピレン (APP)-デカリン系ではd [η]/dT<0を示した。これは熱力学的性質が立体規則性によって大きく変化することを意味している。APPに対してFlory定数K=1.66×10-3 (34℃), 1.29×10-3 (153.3℃) を得た。-logKm+ (3/2) log [1+ (4/3){(a-0.5) -1-2} -1] 対a-0.5 (ここで, Km, aは粘度式 [η] =KmMaの係数) のプロットから, IPPに対してK=1.39×10-3 (120~140℃) を得た。これから鎖の可とう性は立体規則性度の影響をあまり受けにくいこと, Kuata-Stockmayer-Roig理論を用いるならばポリプロピレンに対してはすぬけ効果は無視できることを結論した。
  • 第1報X線回折による天然ゴムの結晶性について
    祖父江 寛, 右田 哲彦, 村上 謙吉
    1964 年21 巻227 号 p. 161-165
    発行日: 1964/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    可塑化に伴うゴムの分子構造変化が結晶性に及ぼす影響を調べるために, 低温で凍結結晶化したゴムサンプルの結晶化度をX線回折法を用いて求めた。その結果, 素練りの進行に伴ってゴムの結晶性が悪くなることが見出され, 結晶化を妨害する分子効果として, 分子末端の増加と含酸素不規則性基の効果を予想した。
  • 第1報乾熱および湿熱処理による結晶性の相違
    上田 伸夫, 西海 四郎
    1964 年21 巻227 号 p. 166-172
    発行日: 1964/03/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    未延伸・一軸延伸ポリエチレンテレフタレート (PET) フィルムを試料とし, 845, 972cm-1の赤外吸光度, 比重d425を結晶性の尺度として乾熱および湿熱処理の結晶化に及ぼす影響を調べ, 次の知見を得た。1) 794cm-1を内部標準とするとき, 上記の結晶性バンドを利用しての結晶化度の算出式は次式で与えられる。
    〓または〓
    2) いずれの場合にも処理温度120~200℃の範囲で到達結晶化度は温度とともに単調増加する。3) 湿熱処理は未延伸試料では結晶化温度を約20℃低下させる。同一温度での乾熱および湿熱処理による結晶化度の差は融点に近づくにつれ増大する。4) 延伸試料の場合, 同一結晶化度を与える条件で比較すると処理温度に関して次の関係式が成立する。
    Td=1.16Tw-6.8 (ただし80℃≦Tw≦180℃)
    ここでTwは湿熱処理温度 (℃), Tdは乾熱処理温度 (℃) を示す。5) 以上の差異を生じる原因として水分子の浸透によるPETに対する膨潤または溶媒作用とそれによる熱結晶化の進行が考えられる。
  • 平井 西夫, 山下 祐彦
    1964 年21 巻227 号 p. 173-178
    発行日: 1964/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高分子単結晶の厚さが熱処理中に増加する現象に対する前報の著者らの理論を高分子の部分融解現象を考慮することによって再検討した。融解現象の素過程が各折りたたみ鎖のほどけ過程であるとすると, 融点近傍の結晶化度はα (T)=(△h0s0L/kTm0T) △Tで与えられ, 厚化速度は厚化核の数と融解状態の鎖の密度に比例するとして, dL/dt=Ae-BL, B=(1/kT)(△h0s0△T/Tm0+d0σs2/2σe) で与えられる。ここでLは単結晶の厚さ, △h0は単位体積あたりの融解熱, d0およびs0は分子鎖の太さおよび断面積, σeおよびσsは単結晶層板の上面および側面の単位表面エネルギーである。
  • 物延 一男, 藤原 裕男
    1964 年21 巻227 号 p. 179-185
    発行日: 1964/03/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    ポリピニルアルコール (PVA) はすぐれた結晶性を有するにもかかわらず, これまで単結晶として得られていない。われわれはトリエチレングリコール, 1, 3-ブタンジオールおよび1, 2-プロパンジオール溶液から単結晶を得た。トリエチレングリコール溶液よりの単結晶は細長い平行四辺形の薄板で, 長さは数μ, 長短両辺の比は大体一定で6に近い値である。他の2溶液よりの単結晶はそれと似た形態をもつが長さが約1μで小さい。これらの板状単結晶の厚さはいずれも120Å程度であった。電子線回折結果はPVA分子がその分子鎖を板面に垂直に向けて折りたたまれていることを示している。結晶形態と電子線回折像との対応から平行四辺形の長辺が (101) 面, 短辺が (100) 面であることがわかった。一方, 1, 3-ブタンジオール, 1, 2-プロパンジオール溶液から薄いはく離性の単結晶集合膜をつくり, その小角および広角X線回折を行なった。その結果, 膜面に平行に単結晶板面が重なった単結晶配向の膜であることがわかった。また, その膜を溶媒中で熱処理して, 熱処理温度と単結晶の厚みに相当する長周期との関係を求めた。
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