醋酸ビニルの塊状並びに溶液重合を種々の條件下に行い次のような結果を得た。1. 無觸媒塊状重合に於ては重合反應の巡行に伴いポリ醋酸ビニルの重合度は急激に上昇する。しかしこれ等のポリ醋酸ビニルを鹸化して得られたポリビニルアルコールの重合度は, 重合反應の全過程を通じて殆ど一定である。2. 溶液重合に於ても高濃度の反應で, 特に高重合物を與えるような場合には塊状量合に於けると同様の事實が認められるが, 其他の場合には, 重合が蓮行しても平均重合度は殆ど變化しない。3. 溶劑としては次の順位にしたがい重合度を低下させる効果が大きい。ベンゾール, 醋酸エチル, 醋酸メチル, メタノール, アセトン, トルエン, エタノール。4. 上にのべた事實より醋酸ビニルの重合に於ては一次重合とこれにつづく二次重合が起り, 一次重合による重合度はポリビニルアルコールの重合度から, 二次重合も併せた重合度はポリ醋酸ビニルの重合度から知り得るものと考え, 二次重合に對する一反應機構を提出した。
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