高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
ISSN-L : 0023-2556
18 巻, 189 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 第8報ポリエチレンの気体, 蒸気の透過の温度依存性
    伊藤 行雄
    1961 年 18 巻 189 号 p. 1-6
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    数種のポリエチレンおよびポリエチレン混和物の気体, 蒸気の透過係数, 拡散係数の温度依存性について測定を行なった。その結果, 透過係数, 拡散係数の温度依存度は, 低密度ポリエチレンの方が大きい。これは結晶度の温度による変化が, 低密度ポリエチレンの方が, 高密度ポリエチレンに比して大きいために, 見かけ上大きくなったものと結論した。また気体分子の大きさの2乗と拡散の活性化エネルギーの間には, おおむね比例関係がなりたち, 拡散のエントロピー, およびD0などの値から, ポリエチレンの非晶領域における透過, 拡散は天然ゴム, ブタジエンのそれに近いことを推論した。
  • 第9報延伸配向皮膜の透過性
    伊藤 行雄
    1961 年 18 巻 189 号 p. 6-12
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高分子の延伸, 配向皮膜の気体, 水蒸気の透過性を調べた結果, 配向の仕方によって, その影響の異なることを見出した。(1) 一般的には配向度の増加に従って, 透過係数Pは減少する。(2) ポリエチレンのa軸配向皮膜のように配向度が増大してもPには大きな影響を及ぼさない場合がある。(3) 延伸時に凝結晶の発生などが起る場合には, 反対にPは増加することがある
  • 第10報結晶度と透過性の関係
    伊藤 行雄
    1961 年 18 巻 189 号 p. 13-18
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    著者は, 先にポリエチレンの非結晶化度α と気体, 蒸気の透過係数Pの間に次の関係がなりたつことを報じた。本報において, ポリプロピレン, 6ナイロンについても, ほぼこの関係がなりたつことを報告し, さらに塩化ビニリデンー塩化ビニル共重合体のように, 共重合比によって結晶度の異なるものと, 塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体のように共重合比の違いによっても, 結晶度の大きく違わないものとを対比して, 結晶度の気体, 蒸気の透過性に及ぼす影響を確かめた。
  • 第2報ε-カプロラクタムの蒸気圧を考慮に入れた縮合平衡の関係式の導入
    福本 修
    1961 年 18 巻 189 号 p. 19-21
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ε-カブロラクタムのポリカプラミドに対する溶解度とその蒸気圧との関係を測定した.重合平衡においては次式が成立する。ただしPLはε-カプロラクタムの蒸気圧mmHg。したがって340℃ 以上では, ポリカプラミドは常圧で発泡を伴って分解する。この式を用いて前報で導入した縮合の平衡定数, 平衡における重合度, 粘度などの関係を補正してより厳密な関係式を導いた。
  • 第3報多官能基を末端にもつポリカプラミドの重合度, 粘度などの理論的取扱について
    福本 修
    1961 年 18 巻 189 号 p. 22-25
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    粘度安定剤として多塩基酸または多酸塩基を用いる場合, 重合温度および水蒸気圧と得られたポリマーの数平均重合度, 重量平均重合度, 溶融粘度などの関係について理論的に考察した。粘度安定剤の官能度が2以上のときポリマーの分布は鋭くなり, 既報のPnと [η] の関係式は用いえないので補正式を誘導し実験結果と比較し, 良い一致が得られた。重合温度, 水蒸気圧および添加する安定剤のモル数を一定とすると数平均重合度は粘度安定剤の官能度が大きいほど大きく, 量平均重合度, 溶融粘度, 溶液粘度などは水の蒸気圧の低いうちは官能度が大きいほど小さく, ある一定の蒸気圧以上になると関係は逆になる。これらのうち数平均重合度や溶液粘度について官能度2の粘度安定剤を用いた場合理論と実験とがある程度の一致をした。
  • 第4報ナイロン6, ナイロン610, ナイロン11の比較
    福本 修
    1961 年 18 巻 189 号 p. 25-28
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    溶融したナイロン6, 610, 11などの水蒸気圧と水の平衡溶解工量の関係を測定した。これらの測定値から比較的低温度ではアミド間の水素結合がかなり残存しているが, 高温度 (256℃) になるとアミド間の水素結合が相当少なくなっているように思われる。ナイロン610に関し末端基を測定し縮合の平衡定数を求めた。平衡定数は温度が高いとき小さくなり, 低温度では大きい。この結果はポリカプラミドに関して求めた傾向と同様であり, また平衡定数も大体類似した数値となった。
  • 第7報力学的挙動に関する延伸効果
    中村 孝一
    1961 年 18 巻 189 号 p. 29-32
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    等方性三酢酸セルース皮膜を溶媒中で延伸した試料を数種作製し, その各々についてX線散乱強度, 比重, 複屈折度, 粘弾性および破断挙動を実測した。延伸による結晶化度, 力学的tanδおよび降伏点の変化は少ないが, 複屈折度の絶対値, ヤング率, 引張強度, 衝撃破断エネルギーなどは, 延伸率が高くなるに従って値が高くなる。しかしながら, 破断伸度および静的破断エネルギーなどは逆に値が低くなる。
  • 平井 西夫, 光畑 照久, 山下 祐彦
    1961 年 18 巻 189 号 p. 33-38
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンの単結晶は普通100Å程度の一様の厚さをもっているが, 熱処理によって厚化が起る。たとえばMarlex50では空気中で120℃, 2時間の加熱で110Åから200Å近くまで厚化する。厚化過程の詳細を小角X線および電子顕微鏡で観測し, 次のような結論を得た。(1) 厚化は不可逆的に進み, 融点に近いほどすみやかに起る。(2) 厚化が進行するにつれて, 厚さの分布は均一性を増す。(3) 厚化が進むにつれて, 厚化速度は低下してくる。(4) キシレン中では空気中より低温で容易に厚化が進む。(5) 厚化は厚化核を媒介にして進む。厚化核の厚さは30-50Å程度である。このような実験結果を説明するために, 結晶中でポリエチレンの分子は“すべり”拡散を行ない, これによって融点以下の温度で単結晶はアメーバーのように形を変えたり, 厚化を起したりすると考える。このような仮定に立って, 電子顕微鏡で見出された厚化核の生成と成長を理論的に考察し, これによって上述の諸結果を説明する。
  • 藤本 勝也
    1961 年 18 巻 189 号 p. 39-44
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    無定形高分子物質の粘弾性を調べる目的で, ダンロップ・トリプソメーターにより17種の典型的高分子のレジリエンスを温度を変えて測定した。無定形高分子はガラス転移域において大きなα-分散の谷を生じる。さらに高温領域におけるレジリエンス・スペクトルは, 線状高分子ではくさび型によって, 橋かけ高分子では箱型によって表わされる。線状高分子の軟化温度はガラス化温度より約50°高い。またガラス化温度は高分子の分子凝集エネルギーに比例することがわかった。
  • 第6報可塑化押出機の所要動力の解析
    林田 建世
    1961 年 18 巻 189 号 p. 45-52
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    押出機の所要動力の解析に関しては, 従来ニュートン材料を対象とする場合およびビンガム材料を対象とする場合が報告されている。本報では可塑化押出機の正味所要動力を, 溶融材料の流動特性を擬塑性として, 溶融区間のスクリュー溝部分に対する所要動力, 溶融区間のスクリュー山部分における所要動力, さらに従来まだ報告されていない固体輸送区間の所要動力, 中間帯 (可塑化区間) の所要動力に分けて理論解析した。またポリスチロールの押出工程の実例について数値計算を行ない, これらスクリュー各部の所要動力分布を計算し, これらの総和とスクリュー入力の実測値と比較してみたが, 両者がかなり近くなることが認められた。なお本報告は可塑化押出機の固体区間から, 可塑化区間, 溶融区間までの一貫した所要動力の解析を取り扱った試みとして最初のものである。
  • 荒井 定吉, 青山 宏
    1961 年 18 巻 189 号 p. 53-63
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    スリット押出法による非ニュートン流体の微分法による一般的な粘度曲線の解析法を新たに提案し, 3種の長さの異なるスリットを用いその適用性を低圧法ポリエチレンMarlex50について190℃で検討した。その結果, スリットの間隙をH, 長さをL, 押出圧力をPとすれば, 壁面の粘性に関するずり応力τηH/2は次式で与えられる。はスリット長の補正係数とよび, ニュートン流を仮定した壁面の見かけのずり速度γ'H/2のみの関数として変化する。正しいずり速度γ'H/2は
    γH/2=γH/2/3 (2+dlogγH/2/dlogτηH/2)
    さらに定常流におけるずり応力は粘性のずり応力と弾性のずり応力の和であると仮定すると, エネルギー収支の立場から, 試料の示す弾性的応答に用いられる圧力PGは次式で与えられる。
    ここでnsはニュートン流体についてのスリット長の補正係数で, 0.5前後の値と認められる。またBarus効果に基く流出物の断面積の増加率は次式で示す壁面における弾性のずり応力τGH/2のみの関数として変化する。
  • 河合 和三郎, 堤 繁
    1961 年 18 巻 189 号 p. 64-68
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報においてポリプロピレンの化学反応について報告したが, 本報では, ポリプロピレンへのグラフト新重合法として, ナフテン酸コバルトの存在下第3級ブチルヒドロペルオキシドを反応せしめ, 第3級ブチルヒドロペルオキシ基の導入により, これより他のビニルモノマーのグラフト重合を行ない, その重合体の検索を行なった。
  • 第14報ポリビニルブチラールのオキシエチル化合物
    池村 糺
    1961 年 18 巻 189 号 p. 69-71
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ブチラール化度の異なる試料を諸種の反応条件下にオキシエチル化して, その結合量をMorgan法で測定した.カセイカリの粉末を触媒とした場合, その結合量は, 反応時間, 触媒量に比例して上昇し, ブチラール化度の低い試料ほど残存OH基が多いため, 結合量は大きい値を示した。Hydroxyethyl Polyvinylbutyralは氷酢酸溶媒中の関係がある。軟化点とオキシエチル化度の関係および有機溶剤, 無機溶液に対する溶解性を調べた。
  • 第15報6-ナイロンのオキシエチル化合物
    池村 糺
    1961 年 18 巻 189 号 p. 71-74
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ナイロンを諸種の反応条件下にオキシエチル化して, その結合量をMorgan法で測定した。カセイアルカリの粉末を触媒とした場合, その結合量は反応時間・触媒量に比例して上昇するが, 試料3gに対して0.7molにピークがあって, 結合量の増加とともにN量は減少している。90%ギ酸溶媒中でヒドロオキシエチル-6-ナイロンの極限粘度と分子量は の関係がある。X線回折の結果, 原料の6-ナイロンに比べ, 永素結合の方向が多少ひずんでいると考えられるような結果が得られた。溶融点はオキシエチル化のすすむとともに低下するが, 55%結合量の場合, 約33℃の降下を示した。含水量は6-ナイロンに比し0.6-0.8%高い結果を得た。
  • 松田 義郎, 丸沢 広, 中条 澄, 榊原 幸三
    1961 年 18 巻 189 号 p. 75-80
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ACC法により得られたポリメチルスチレン中の残留モノマーの定量を紫外部吸収スペクトルの測定により行なった。すなわち波長293.5mμにおける吸収を利用して検量線を作製し, これを用いて少量の残留モノマーを迅速かつ精度よく定量できることを明らかにした。さらに少量の残留モノマーがポリマーの軟化温度に及ぼす影響を測定したが, 本研究の紫外線吸収スペクトルから求めたモノマー量と軟化温度との間には一義的な関係が成立することが明らかとなった。これに対し再沈殿法により求めたモノマー量と軟化温度の問にはかかる関係は認められず, 本方法によるモノマー定量法がすぐれていることを示している。
  • 主鎖中にピリジン環を有するポリアミドの合成
    丸岡 昌路, 去来川 覚三, 谷口 政信, 伏崎 弥三郎
    1961 年 18 巻 189 号 p. 81-84
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アルデヒドコリジンから合成したイソシンコメ・ン酸ジニトリルをラネーニッケル触媒で還元し, 2, 5-ジアミノメチルピリジンを合成した。このジアミンとアジピン酸ならびにアジピン酸ジメチルエステルとの重縮合反応を行なって主鎖中にピリジン環を含み, ピリジン環とアミド結合との間にメチレン基を有するポリアミドを得た。
  • 由田 正盛, 高瀬 巌
    1961 年 18 巻 189 号 p. 85-89
    発行日: 1961/01/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニル (M1以下酢ビと略記) とモノメチルマレエートM2との共重合反応における単量体の反応性比 (以下r1, r2と略記) の値を温度60℃ および75℃で測定し, それぞれ, およびr1=0.13±0.03, r2=0.015±0.01 (75℃) を得, 同じモノマーの組合せで, さきにUshakov氏などの発表した値を批判した。また酢ビとジメチルマレエートとの共重合反応において, を得た。これはジエチルエステルの相当する値に近く, わずかに小さかった。これらのr1, r2の値およびこれから計算されるQ, eの値を無水マレイン酸の相当する値も含めて比較考察した。
feedback
Top