1, 3-シクロヘキサジエン (1, 3-CHD) と液体亜硫酸 (SO
2) との共重合について検討した。1, 3-CHDはSO
2と-78℃でも無触媒で共重合する。生成コポリマーは重合系が不均一の場合には白色粉末で, フェノール類および-35℃付近以下のSO
2に可溶であるが, 均一系の場合には角質状で上記の溶媒には膨潤する程度であった。コポリマーの組成は, ともに1: 1であった。コポリマーの構造は3, 6-ジ置換シクロヘキセン環とSO
2から成る構造単位を有すると推定された。重合速度は-35℃付近で極大値を示し, これ以上の温度では減少する傾向を示した。コポリマーのSO
2に対する溶解性および重合系において-35℃付近で特異な変化が起こることを観測した。すなわち, コポリマーは-35℃付近以下でのみSO
2に溶解し, 希釈剤を使用しない場合にはこの温度以下で1, 3-CHDに対し, SO
2大過剰の状態では重合系は均一であるが, -35℃以上では不均一である。-40℃以下における重合の見かけの全活性化エネルギーは約4.7kca1/mo1で, 重合初速度は一40℃では1, 3-CHDおよびSO2初濃度のそれぞれ2次および3次に, 0℃ではともに2次に依存するという結果を得た (希釈剤: トルエン; 1, 3-CHD初濃度: 0.5-1.5mol/1; SO
2初濃度: 5-11mol/l)。コポリマーの熱分解は180℃付近から始まった。またアルカリ水溶液および液体アンモニアにも急激に分解した。X線回折図では17.4゜に鋭いピークを示した。フェノール可溶および不溶ポリマーの性質にはほとんど差異はみられなかった。
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