前報では触媒高重合反応を構成する代表的な素反応の組合せに基いて単量体消費反応速度式と重合反応の進行に伴う重合度の変化式を一般的に誘導した。また, これらの式を基にして, 逐次重合反応と連鎖重合反応とを区別し, 両者の定義を行なった。すなわち, 逐次重合反応とは, 活性点生成反応速度が他の素反応速度に比べて十分大きい場合をいい, 一方連鎖重合反応とは活性点生成反応速度が他の素反応速度に比べて十分小さい場合をいう。本報は, 第1報で述べた理論的根拠に基いて, 実験結果を整理して考察を行なった結果について述べる。すなわち, 一般にイオン重合反応では逐次重合反応の概念があてはまる場合があり, 少なくとも重合反応の初期において重合体の分子量とその生成量との間には原点を通る直線関係が観測でき, 活性点数が求まる。このようにして求めた活性点数と触媒量との間の関係から, 興味ある知見が得られる。また, 同一の重合反応系においても反応条件の相違によって逐次的に反応が進む場合, あるいは連鎖的に反応が進む場合がある。一方, 重合反応の進行に伴う分子量の増減は反応系内に2次的変化が全くないと仮定すると, 活性点移動反応などによって十分説明できる。以上のように, 第1報で述べた理論式は実験事実を満足に説明しうることが認められた。
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