高分子化學
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20 巻, 224 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 第1報
    福富 兀, 加倉井 敏夫, 野口 達弥
    1963 年 20 巻 224 号 p. 721-725
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高周波電極間に置かれたイオンの振動運動によって, 溶液状態の高分子を解重合させうるかどうかをポリエチレンのモノクロルベンゼン溶液で調べた。印加電圧は200-800V, 周波数は8.5-12.8Mcの範囲で変動させた。振動子としては, モノクロル酢酸のアニリン塩を使った。その結果, 次の事実が明らかになった。1) イオンの高周波振動により, ポリエチレンは溶液状態にて解重合する。2) 電圧の上昇, イオン濃度の増加は解重合を促進する。3) 電圧を一定にした場合に, 解重合の最適な周波数が存在するらしい。4) ポリエチレン濃度が増加すると, ある点で解重合が遅くなり始める点がある。
  • 青木 修三
    1963 年 20 巻 224 号 p. 726-729
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    スチレンの三フッ化ホウ素-ジエチルエーテルによるカチオン重合をいろいろな溶媒中で行ない, 重合機構に及ぼす溶媒の影響について調べた。溶媒としてベンゼン, 四塩化炭素, ニトロベンゼン, ニトロエタンを用いた。これらの溶媒中ではモノマーに関する反応次数はいずれも2次であり, 溶媒が変化しても同一の機構で重合が進行することが明らかになった。
  • 第1報
    鍵谷 勤, 八田 正和, 福井 謙一
    1963 年 20 巻 224 号 p. 730-737
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    従来, イオンおよびラジカル触媒による高重合反応の速度論的研究は, 連鎖反応の解析と同じく定常状態の仮定をもとにして解析している場合が多い。しかし, 最近, 重合体の重合度が重合反応の進行とともに増大するような特異な触媒高重合反応が発見されている。この場合には定常状態の仮定が成立しないことは明らかである。著者らは触媒高重合反応の速度論的解析法を確立する目的で, 重合反応を構成する代表的な素反応を組み合わせ, その機構に対応する反応速度式, および重合体の重合度を表わす式を一般的に誘導した。また, 誘導した式をもとにして, 活性点生成反応速度が他の素反応速度に比べて大きいかあるいは小さいかによって触媒高重合反応を逐次重合反応と連鎖重合反応とに区別した。すなわち, 逐次重合反応とは活性点生成反応速度が他の素反応速度に比べて十分大きい場合であり, 連鎖重合反応とは活性点生成反応速度が他の素反応速度に比べて比較的小さい場合, あるいは活性点移動反応のような重合鎖の増加する反応速度が他の素反応速度に比べて比較的大きい場合をいう。したがって逐次重合反応では, 少なくとも重合反応の初期において重合体の重合度とその生成量との間に原点を通る直線関係が観測される。これらの結果から活性点の数が求められ, 触媒の作用に関して重要な知見が得られる。
  • 第2報
    鍵谷 勤, 八田 正和, 福井 謙一
    1963 年 20 巻 224 号 p. 737-746
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    前報では触媒高重合反応を構成する代表的な素反応の組合せに基いて単量体消費反応速度式と重合反応の進行に伴う重合度の変化式を一般的に誘導した。また, これらの式を基にして, 逐次重合反応と連鎖重合反応とを区別し, 両者の定義を行なった。すなわち, 逐次重合反応とは, 活性点生成反応速度が他の素反応速度に比べて十分大きい場合をいい, 一方連鎖重合反応とは活性点生成反応速度が他の素反応速度に比べて十分小さい場合をいう。本報は, 第1報で述べた理論的根拠に基いて, 実験結果を整理して考察を行なった結果について述べる。すなわち, 一般にイオン重合反応では逐次重合反応の概念があてはまる場合があり, 少なくとも重合反応の初期において重合体の分子量とその生成量との間には原点を通る直線関係が観測でき, 活性点数が求まる。このようにして求めた活性点数と触媒量との間の関係から, 興味ある知見が得られる。また, 同一の重合反応系においても反応条件の相違によって逐次的に反応が進む場合, あるいは連鎖的に反応が進む場合がある。一方, 重合反応の進行に伴う分子量の増減は反応系内に2次的変化が全くないと仮定すると, 活性点移動反応などによって十分説明できる。以上のように, 第1報で述べた理論式は実験事実を満足に説明しうることが認められた。
  • 松本 恒隆, 徳原 慎二
    1963 年 20 巻 224 号 p. 747-752
    発行日: 1963/12/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    非イオン界面活性剤であるTween 80 (ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート) あるいはオレイン酸ソーダを乳化剤として重合したポリスチレンエマルジョンの電気泳動実験を15℃ で行ない, 緩衝液として用いた各種脂肪酸イオンのエマルジョン粒子表面への吸着について検討し, 次の結果を得た。(i) Tween 80の場合: 緩衝液として用いた脂肪酸イオンは, その疎水部分の炭素数に比例して粒子表面に吸着されやすくなる。特に, 酢酸イオンは, Tween80の濃度が減少するにつれて粒子表面に少しずつ吸着されやすくなるが, さらに濃度が減少すると, 急激に多量吸着される。(ii) オレイン酸ソーダの場合: オレイン酸イオンは粒子表面によく吸着される。緩衝液として用いられた酢酸イオンは, オレイン酸ソーダの濃度が減少するにつれて吸着されやすくなる。以上の結果から, 前報のアクリル酸とスチレンとの共重合体エマルジョンの, 主としてアクリル酸のCOOH基による表面荷電を求める場合には, 適当な濃度 (0.5g/100cc) 以上のTween80量を用いれば, その電気泳動実験において, 緩衝液として酢酸ソーダを用いてさしつかえないことを明らかにした。
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