高分子化學
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25 巻, 282 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 第7報ポリカーボネートとその誘導体の動的粘弾性
    冨川 昌美, 藤本 徳樹
    1968 年 25 巻 282 号 p. 625-633
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    4, 4'-ジオキシジフェニルー2, 2-プロパン (ビスフェノールA), 4, 4'-ジオキシジフェニルー1, 1-エタン, 4, 4'-シオキシジフェニルー2, 2-ブタン, 3, 3', 5, 5'-テトラクロルー, テトラブロムービスフェノールAからホスゲン法により合成したポリカーボネート, ビスフェノールA・ポリカーボネートを塩素化した試料およびエステル交換法により得たビスフェノールA・ポリカーボネトの各試料の動的粘弾性を-130℃からそれぞれのガラス転移温度付近までの温度範囲で測定し, 一次の結果を得た。α分散は主鎖セグメントの大きなミクロブラウン運動に, γ分散は主鎖中に存在するカルボニル基の運動に基因する。β分散は試料中の分子間結合力の弱い部分での分子鎖の運動により生じるものと推定される。ハロゲン原子の導入されたポリカーボネートには, ビスフェノールA・ポリカーボネートのβ分散とは異なった非常に幅広い新しい分散が存在し, これは置換されたハロゲン原子間の極性会合により生じ, ビスフェノールA・ポリカーボネートのβ分散を無視できるほどの大きな挙動である。またベンゼン核にハロゲン原子が導入されることにより, γ分散が消失する。4, 4'-ジオキシジフェニルー2, 2-ブタン・ポリカーボネートのγ分散がbulkyな側鎖基により低温に移行していることなどが認められた。
  • 第12報トリメチルシリルエーテルのカチオン重合物および酢酸ビニルの光増感重合物より誘導されたポリビニルアルコール
    中村 和男, 松沢 秀二, 呉 祐吉
    1968 年 25 巻 282 号 p. 634-638
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    トリメチルシリルエーテルのAlEtCl2-CH2Cl2による低温でのカチオン重合物および酢酸ビニルの約30℃ 以下での光増感重合物から誘導されたポリビニルアルコール (TMS-PVAおよびVAc-PVA) の水溶液ゲルの融解熱ΔH, 溶液のヨウ素呈色 (D584) および機械的変性能を調べた。ゲルの網目の融解熱ΔHは, TMS-PVAで8-10kcal/mol, VAc-PVAでは約10kcal/molで市販PVAよりわずかに高かった。シンジオタクチック (diad)%(S-(diad)%) は市販PVAとほとんど大差はなかったが, D584は明らかに市販PVAより高く, 溶液の振とうによるPVAの析出状況も良かった。しかし, 三フッ化酢酸ビニルから誘導されたPVAに比べ, ΔH, s-(diad)%, D584および析出量は低かった。ここで用いたTMS-PVAおよびVAc-PVAのシンジオタクチック部分のsequencelengthが。酢酸ビニルの60℃ での接触塊状重合物より誘導されたPVAのそれより大であり, それが機械的変性に影響を与えていると考えた。
  • 第2報光散乱法によるポリエチレン球晶の寸法変化の観察
    小田 隆, 茂木 正彦, 森谷 雅彦, 河合 弘迪
    1968 年 25 巻 282 号 p. 639-647
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    直径数μの球晶を含む3種のポリエチレン皮膜を試料として, 高分子塊状試料の一軸伸張およびそれからの緊張弛緩に伴う高分子球晶の寸法変化を光散乱法により検討した。SamuelsおよびMooreの式による計算に従って, 試料内の球晶は50%までの一軸伸張および各伸張率からの緊張弛緩において体積一定でアフィン変形に従うことが明らかとなった。3種の試料の未伸張および伸張状態における光散乱像は, 試料の密度および結晶化度がほとんど同じであるにもかかわらず, 互いにかなり相違する。これは各試料に含まれる球晶の微細構造の相違を反映しているものと考えられ
  • Kenji Kamide
    1968 年 25 巻 282 号 p. 648-656
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    Summary The possibility of evaluating the second virial coefficient for dilute solution by use of vapor pressure osmometry was studied on the basis of the steady state theory established in the previous paper (K. Kamide et al.: The Chemistry of High Polymers, Japan 24, 751 (1967)). Except for the case where heat transfer other than condensation could be completely ignored, the apparent second virial coefficint A “2, vobtained from concentration dependency of steady state values of temperature difference does not generally agree with the second virial coefficient A2, o derived from the osmometry, but there holds a relation between A” 2, vand A2, o, as shown below:
    _??_
    where
    _??_
    V0: molar volume of solvent, M1: molecular weight of solute, ΔH: heat of condensation of solvent vapor, R: gas constant, T0: temperature of solvent drop, k1and k2: coefficients of heat transfer at the interfaces between vapor-solution and between solution-ther-mistor, respectively, k3: coefficient of material transfer between vapor-solution, A1: surface area of solution drop, A2: surface area of thermistor in contact with solution. When the molecular weight of solute is up to 104, the third term on the right-hand-side of the above formula is larger than or equal to A2, o. If the apparent second virial coefficient A “2, v is evaluated by ignoring concentration changes caused by condensation of solvent and by approximating steady state concentration with initial one, the result does not agree with true A” 2, v so far as the molecular weight of solute is smaller than 104. In practice, heat transfer other than condensation is by no means ignorable, and the maximal measurable molecular weight through the vapor pressure osmometry is about 104. Accordingly, it is actually impossible to appreciate A2, o exactly by use of the latter method. On the other hand, solvent activity in solution can be determined exactly through the vapor pressure osmometry.
    The theoretical prediction given in the above was ascertained by the experimental results for benzene solution of m-terphenyl and by the values for other solutions of low molecular weight compounds found in the literature.
  • 第3報アセトグアナミン樹脂とフェノールの共縮合反応
    浦上 忠, 松本 興二, 大岩 正芳
    1968 年 25 巻 282 号 p. 657-665
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    アセトグアナミン樹脂とフェノールの共縮合反応を次の二つの場合, すなわちi) 無触媒熱硬化反応およびii) 塩酸を触媒としたジオキサン-水系混合溶媒中での反応について研究した。これらi), ii) の反応の挙動をフェノールの官能性を考慮して動力学的に検討した結果, i) の場合はアセトグアナミン樹脂中のメチロール基のほとんど大部分はフェノールと反応し, アミノ基はほとんど反応しておらず, 競争反応が無視できることを知った。一方, ii) の場合にはアセトグアナミン樹脂中のメチロール基 (-CH2OH) とアミノ基 (-NH2) との自己縮合およびメチロール基とフェノールとの縮合の二つの縮合反応が同時に起こっていることを認めた。またi), ii) のそれぞれの場合ともにフェノールの官能性は3官能性であるよりもむしろ2官能性に近いと考えた方がより適当のように推測され, フェノール濃度の減少は2次式にかなり一致することを知った。
  • 新川 泰利, 森川 洸
    1968 年 25 巻 282 号 p. 666-672
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ジ-n-ブチルスズ (DBT), 二水素化ジ-n-ブチルスズ (DBTH) を加えて熱分解したポリ塩化ビニル (PVC) の構造を主として検討した。溶液反応でのPVC分解体中の最大結合スズ量は, DBTHによっては140℃ で0.87%, DBTによっては160℃ で1.42%となり, トリエチルアミン触媒を用いるとそれぞれ165℃ で3.92%, 160℃ で3.30%となった。ジ-n-ブチルスズ基のPVCとの安定な結合型として, 塩化トリアルキルスズ (RBu2SnCl, RはPVC残基) 型およびテトラアルキルスズ (R2Bu2Sn) 型が推定された。またDBTHを用いる無溶媒反応系では, 塩化水素の脱離とともに水素による還元と解重合が起こり, 共役ジエン, トリエンを含む, ベンゼン, トルエンにも易溶性の低分子量 (たとえば960) の炭化水素の生成することが認められた。
  • 若槻 康雄, 野桜 俊一, 村橋 俊介
    1968 年 25 巻 282 号 p. 673-681
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ビニルトリメチルシリルエーテルを用いる立体規則性ポリビニルアルコールの合成については以前報告した。本報はこれと類似の方法がポリイソプロペニルおよびポリプロペニルアルコールの合成に応用できることを述べたものである。

    モノマーは, イソプロペニルトリメチルシリルエーテル (ITE) とプロペニルトリメチルシリルエーテル (PTE) で, それぞれNesmeyanovおよびPetrovの方法に従って合成した。重合は-78℃でFrjedel-Crafts触媒を用いて行なった。ポリイソプロペニルアルコールは酸性溶液中では不安定なので, ポリ (ITE) の加溶媒分解は塩基性で行なうことが必要であった。一方ポリプロペニルアルコールは酸性でも安定であるので, ポリ (PTE) の加溶媒分解は酸性メタノールで行なった。O-Si結合の完全な開裂は元素分析およびIRスペクトルにより確認した。生成したポリアルコールの分子量はいずれもかなり低かった (ηsp/C=0.04-0.06dl/g, 30℃, 1%メタノール溶液)。
  • 坂口 康義, 玉置 克之, 野村 彰一, 濃添 成美, 西野 潤
    1968 年 25 巻 282 号 p. 682-688
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    マレイン酸 (MaA) の数種の共重合物を, 無水マレイン酸の交互共重合物の加水分解により製造した。これらの共重合物はMaA単位と酢酸ビニル (A), ビニルアルコール (B), 酢酸イソプロベニル (C), イソプロペニルアルコール (D), 酢酸アリル (E), アリルアルコール (F) およびビニルコハク酸イミド単位 (G) との共重合物である。さらに, フマル酸ジエチルと酢酸ビニルの共重合物から, MaA-酢酸ビニル (A') およびMaA-ビニルアルコール (B') 共重合物を誘導した。B・B'・DとFのラクトン化, A・A'・C・E・Gの酸無水物形成, A'・B'・C・EおよびFの電圧滴定について検討した。これらの共重合物のこのような挙動は互いに著しく異なり, この結果は主としてポリマー分子中の隣接側鎖基間の空間距離の差異により理解できた。
  • 坂口 康義, 玉置 克之, 野村 彰一, 西野 潤
    1968 年 25 巻 282 号 p. 689-693
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    名種の高分子カルボン酸の酸無水物形成を検討した。ポリマーとしては無水マレイン酸と酢酸ビニル・安息香酸ビニル・ビニルピコリドン・アクリル酸メチル・メタクリル酸メチル・スチレンのような非電離性コモノマーとの交互共重合物, フマル酸ジエチルとスチレンの交互共重合物の加水分解物, アクリル酸・メタクリル酸・クロトン酸・ビニル酢酸・p-ビニル安息香酸・アトロバ酸のようなモノカルボン酸のアタクチックポリマー, 無水マレイン酸・シトラコン酸・イタコン酸のようなジカルボン酸のアタクチックポリマーを用いた。一般に, 5員無水物環は6員無水物環より容易に形成された。若干のポリマーを除いて, 隣接カルボキシル基間の空間距離がより短いと推定されるポリマーは, より大きい酸無水物形成性を示した。これらの結果について少し議論した。
  • 東村 敏延, 楠堂 三郎, 岡村 誠三
    1968 年 25 巻 282 号 p. 694-701
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    BF3・O (C2H5)2を触媒としてトルエン溶媒中-78℃ においてブテニルエーテル (BE) 類の重合が行なわれた。BEはβ 位にかさ高いエチル基が存在するが, 容易に低分子量のポリマーを生成した。またエチルおよびイソプロピルBEでは, トランス異性体から結晶性ポリマーが得られた。エチル, n-ブチルおよびイソブチルBEがそれぞれ同じアルコキシル基を持つビニルエーテルと共重合された。シス異性体は対応するビニルエーテルより反応性は大きいが, トランス異性体は逆に小であった。トランス異性体の小さい反応性は, β-エチル基の立体障害によるものと推定された。BEのシスおよびトランス異性体間の共重合でも, シス異性体の方の反応性が大であることが確かめられた。これらの共重合における各モノマー消費の1次プロットの直線性からのずれに基いて, 生長イオンの反応性が議論された。
  • 東村 敏延, 正本 順三, 岡村 誠三
    1968 年 25 巻 282 号 p. 702-707
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ビニルェーテルのカチオン重合性に及ぼすアルコキシル基の影響を検討するために, BF3・O (C2H5) 2を触媒として, トルエンおよび塩化メチレン中で-78℃ で各種ビニルェーテルの共重合を行なった。モノマーの相対反応性はガスクロマト法で測定した共重合におけるモノマーの消費速度から求めた。このようにして得られたビニルェーテル (CH2=CHOR) の相対反応性は, 溶媒の種類によらず次の順序に減少することが明らかとなった。
    R: t-ブチル>-プロピル>エチル>-ブチル≧i-ブチル>メチル
    この順序はモノマーの酸加水分解のしやすさと一致する。しかしエチル, n-ブチルおよびi-ブチルビニルエーテルでは, アルコキシル基の極性効果の順序とは一致していない。この結果よりBF3・O (C2H5) 2による重合では, アルコキシル基の極性効果以外に立体的な因子も反応性に影響していることが推定された。
  • 今西 幸男, 安藤 忠勝, 岡村 誠三
    1968 年 25 巻 282 号 p. 708-716
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    β-炭素に電子吸引性の置換基を持ったアクリルアミド誘導体の水素移動重合により, α-ポリペプチドを合成することを試み, トランス-p-ニトロ桂皮酸アミドとトランス-β-クロルアクリルアミドを合成し, 塩基性触媒による重合を行なった。トランス-p-ニトロ桂皮酸アミドはηsp/C≒0.09のポリマーを与え, ポリマー構成単位の約1/3はペプチド結合を有し, その中にはα-ペプチド結合が存在することが確かめられた。一方, トランス-桂皮酸アミドはポリペプチドは与えるが, α-ペプチド結合を生じない。α-ペプチド結合を生じるためには電子吸引性の強いニトロ基が必要であるとわかった。トランス-β-クロルアクリルアミドはηsp/C≒0.1のポリマーを与えた。ポリマー構成単位の約1/4はペプチド結合を有するが, α-ペプチド結合が存在するかどうかは現在のところ不明である。
  • 触媒種の二面性について
    土屋 昇三, 鶴田 禎二
    1968 年 25 巻 282 号 p. 717-720
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ZnEt2-H2O系によるプロビレンオキシドの重合機構を検討する目的でD (+) プロピレンナキシドをH2O/ZnEt2モル比を変化させて重合させ, 0℃ アセトンで分別し, それぞれの旋光度を測定した。その結果, ポリマーの結晶部の旋光度はH2O/ZnEt2モル比によらずほぼ一定であり, 非晶部はモル比が小さくなるとともにその旋光度が小さくなることが認められた。また, エピクロルヒドリンとテトラヒドロフランの共重合を行ない, 反応の進行とともに生成ポリマー中に異常にエピクロルヒドリンが多くとり込まれることを見出した。これらの事実からZnEt2-H2O系触媒はエポキシドの重合においてカチオン的な活性種とアニオン的な活性種が共存し, 反応の進行とともに後者に移行するのであろうという結論に達した。
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