本研究は,大都市圏周辺部の中から事例地域として三浦半島を取り上げ,中心地システムの変容について分析を行なった.中心地機能の階次を明らかにし,それに対応するように中心地の分類を行なうと,1972年の中心地からは5つの階層的類型が,1985年の中心地からは4つの階層的類型が得られた.各類型の中心地は,1972年には鉄道の主要な駅を核として塊状に分布したが,1985年には主要道路に沿う配置へと変化した.1972年から1985年にかけての中心地階層の再編成と,機能の分布パターンの変化との対応について考察を行なった結果,両者には密接な関係があることが明らかになった.階次の高い中心地機能は,主要な駅から他の駅へ,階次の低い中心地機能は,鉄道の駅を核として外方へ集積域が拡大しており,中心地階層の再編成は,このような中心地機能の集積域の拡大過程の中でなされたものと考えられる.
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