以上六節を要約すれば次の如くなる。
一、 汲水歩合と清酒歩合の關係は直線的關係にあるとしてよい。
二、 汲水歩合と原エキスとの關係も同様であるが、此の場合には反比例を以て變化する。
三、 汲水歩合と石當原エキスとの間係は、拗物線の關係を示すものと考へられる。
四、 右は大正一〇酒造年度以降現在まで約二〇年間一三、〇〇〇例以上に就て觀察したものである。
五、 汲水歩合自體の既に含む誤差に就て檢討してみた。
此等の結巣より、清酒の石當原エキス (清酒歩合、原エキスの相乗積) を最も多量に生産すべ港汲水量は一・一〇〇一・二〇〇の間に在ると考へられる、故に若し酒造管理に於て、他の色々の條件に考慮を拂はず、原料米の利用價値を十二分に發揮せしめ最大の溝酒歩合、最大の原エキス、即ち最大の石當原エキスを得ん爲には、その汲水量は一・一〇〇一・二〇〇に置くのがよいといふ統計的結論になるのである。
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