沖縄県泡盛製造場の泡盛麹などから黒麹菌を分離し, 形態的ならびに生理的性質を検討し, 黒麹菌の分布を調査した。また, 採取した麹の細菌酸度, 汚染微生物の種類, 分離した黒麹菌の生酸性, 黄麹菌のアフラトキシン生産性の有無を調べた。
1) 試料より分離された黒麹菌432株のうち,
Asp.saitoi typeが58%,
Asp.awamori typeが40%,
Asp.nahazamiその他2%であった。
2) 麹の細菌酸度は2ml以下で生酸菌による汚染は認められなかった。
3) 麹の汚染微生物として黄魍菌が全体の試料の60%から,
Penicilliumが51.1%,
Rhizopus・
Mucorが15.6%, 細菌が44.4%, 酵母が13.3%から検出された。
4) 泡盛麹からアフラトキシン生産性のカビは検出されなかった。
5) 高温製麹においても生酸量の多い黒麹菌を分離した。
6)
Asp.saitoi typeと
Asp.awamori typeとの菌種間における麹の生酸量を比較した結果, Asp.saitoi typeの生酸力が大であることを認めた。
抄録全体を表示