各種酒類の日光および単色光照射時の着色度の変化をしらべて次の結果を得た。
1. 日光照射において, 清酒, ミリン, 赤ブドウ酒は着色を増し, ビール, 白ブドウ酒, ベルモヅト, リキュール, ウィスキー, ブランデーでは退色した。ただし, ビールでは長時間の日光照射で着色を増し, 白ブドウ酒の新酒でも着色を増した。
2. ミリン, 白ブドウ酒 (原料: セミヨン) の新酒およびビールの日光着色は照射フラスコの上部空間を窒素ガス置換することによって完全におさえられた。
3. 日光照射による可視部吸収スペクトルの変化の特長は次のとおりであった。
清酒: 370mμにおける増大と350mμ以下での減少
ミリン: 清酒に類似
ビール: 500-550mμに僅かな増大と400mμ以下での減少
自ブドウ酒古酒 (原料: セミヨン): 380mμ以下での減少
赤ブドウ酒 (原料: マスカット・ベリーA): 530mμ における増大
4. 210mμから686mμまでの単色光照射において着色度の変化に関与する波長は次のとおりであった。
ミリン: 320mμによる着色
赤ブドウ酒: 283-357mμ による着色と613-650mμによる退色
ベルモット (ガンチア): 320-430mμ による退色
クレムドバイオレヅト: 283mnμによる退色
ウィスキー: 430mμおよび283mμ による退色
ブランデー: ウィスキーに類似
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