前報において単用で味噌醸造に供し得ると判断された2種のAspergillus oryzae系酵素剤 (A
1, A
2と仮称) を用いて, さらに詳細な試醸を行ない, 酵素剤の必要量, 味噌の品質を比較検討した。
1) 酵素剤によった味噌は, 味がスッキリしており, 粘りも少ないが, 米麹に由来するある種の香気 (麹特有の甘い豊潤な香り) に欠け, やや着色が著しかった。
2) 両酵素剤を比較すると, A
1はプロテアーゼ活性が高く, A
2はアミラーゼ活性が高かった。このような酵素組成の差違のためか, A
1を用いた味噌は原料臭がより少なくなるが, 使用量が少ないと甘味に乏しい傾向があり, A
2を用いた味噌は単糖類を多く生成し, 乳酸菌添加で酸味が強まり, 味の調和がよくなかった。
3) 両酵素剤とも使用量を多くすると醸造香が強まり, 調和のとれた香りの味噌となった。しかし前報同様米麹によった味噌より蛋白分解率が低く, ことにA2剤使用のものは低かった。これらの点からA1剤を0.25%以上 (対原料乾物) 用い, 30℃ で30日間熟成させるのが最も有効と認めた。
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