日本釀造協會雜誌
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62 巻, 3 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 海老根 英雄
    1967 年 62 巻 3 号 p. 212-219
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    大豆は重要な食品加工原料の一つであるが,その大部分は米国からの輸入に頼っていることから,米国農務省の招きで米国大豆について視察してきた筆者に,特に味噌の原料としての米国大豆の問題点について解説していただいた。
    本稿によれば従来米国産大豆は味噌の原料としての適性を具えていないとされていたが,米国における大豆の品種改良に対する努力の果,噌の原料としての適性を有する品種が,いくつか見出された。将来,米国産大豆は,量的にも,質的にも醸造用大豆原料として有望である。
  • (その1) 学会見聞記ならびに大豆肉について
    福島 男児
    1967 年 62 巻 3 号 p. 220-223
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    味噌, 醤油業者からなじみの深い大豆蛋白はもはや我々だけのものではなくなった。アメリカという広大な耕地と合理的栽培法によリ大量生産される大豆は今や大豆肉, 大豆ミルク等の革命的蛋白食品を生みだしている。物資の潤沢なアメリカが考えていることは何か。彼等特有の長期計画推進の精神には学ぶべきところがあろう。わが伝統食品の優秀性, 先人の知恵に敬意を払いつつ, 大豆蛋白研究のより高い発展への糧としたい。
  • 原料配合と品質について
    松下 善一
    1967 年 62 巻 3 号 p. 224-232
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    多くの食品工業の分野で近代化が促進され, 品質の標準化がすすめられている今日, このことが逆に品質の良い意味でのバラエテーを失なわせているという不満を述べる人も多い。こうした情勢の中で, 味噌だけは依然としてその原料や製造法の差から生れる地方色を豊かに残している。しかしながら, その豊かな種類といっても, それが種々雑多なままで存在することは味噌業界の進歩の点から好ましくない。そこで筆者は, 全国味噌品評会の資料をもとに, 味噌の型の合理的な分類を試み, その特性について考察した。大いに参考になることと思う。
  • 梅田 勇雄
    1967 年 62 巻 3 号 p. 233-236
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    しょう油のコスト引き下げのためには, 原料利用率の向上が第一である。本稿では, まずNK方式の応用が取り上げられた。さらに処理時の撒水量について触れ, 過剰の撒水は好ましくないこと, また新しい研究を基礎にして撒水量よりも大豆蒸し上がり時の水分を重視すべきであることなどを説く。これらの考え方は, 学術研究と現場をつなぐ意味からも, 実際面で益するところが大であろう。
  • 宮内 徹二
    1967 年 62 巻 3 号 p. 237-241
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    清酒, 合成清酒業界においては, 市場における販売競争が激化している現状から, 自己製品の酒質に多くのウエイトを持っている糖質原料の品質, 特長に多大の関心を寄せているところである。本稿は糖質原料メーカーの立場から戦後における糖質原料工業技術の開発進歩の過程と, これに伴う現在における各種糖質原料の品質および糖組成等の成分的な特長と, 酒類業の近代化に沿いうる糖質原料の方向について記述されている。使用者である酒類製造業者として参考となることが多いと思われる。
  • 増田 義実, 佐々木 定
    1967 年 62 巻 3 号 p. 242-245
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    各酒類には糖質原料が使用されており, これが酒質におよぼす影響はかなり大きいものがある。現在糖質原料として各種のものが市販されているが, 筆者はDE値と日本酒度との関係についてこれを理論的に説明し, 糖質原料の糖組成と清酒の糖組成の関連性, 各種糖質原料と酒類の呈味等について自己の研究等に基づいて記述し, 糖質原料使用に当っての指針を与えてくれている。
  • 広島国税局鑑定官室
    1967 年 62 巻 3 号 p. 246-251
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    四段仕込みの清酒には四段臭があるとしてきらわれた時代もあったが, 今日のように甘口酒が強く要求されるようになると, 再び四段仕込みの利点が見なおされつつある。
    しかし, 四段仕込みの方法には, うるち, もち, 甘酒, 酒母四段など多種あるにもかかわらず, その実際のデータを探してみると以外に少ない。
    このような観点から, 広島局の鑑定官室が調査した中国地方での四段仕込みの実状をお送りする。
  • 西野 正二
    1967 年 62 巻 3 号 p. 272
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
  • 編集部
    1967 年 62 巻 3 号 p. 273-290
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    昭和41年に発表された国内の酒類に関係ある研究論文をまとめてみた。
    編集方針は, 研究論文のみとし, 特許, 学会口演, シンポジウム関係を除いた。1つの報文が他の項目にわたるものがあり, (たとえば麹と発酵との関係, 発酵と成分の関係など), 出来る限り1つの項目に入れたが, 2, 3の報文は, 重復している。文献番号は, 昨年の如く各項目ごとに細分した。昨年の研究方向と大きな変化はないが, 本年は,
    1) 米の成分分析, 特に臭と関連して
    2) 酵素の構造解明のための基礎研究
    3) 麹の保存法
    4) 酵母の生態学的研究
    5) 香気成分や色に関係ある物質の分析
    などに特色がある。醤油, 味噌の研究業績と伴読していただきたい。
  • グルタミン酸および核酸関連物質の発酵生産の研究を含む
    大西 博
    1967 年 62 巻 3 号 p. 291-307
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    昭和41年に発表された醤油, 味噌, アミノ酸及び核酸関連物質に関係ある報文, 特許学会口演などの数は, 40年度に比べるとやや減少しており, 研究方向も昨年と同じであるが,
    1) 原料蛋白質や糖の組成に関するもの
    2) 製麹機械と製麹中のプロテアーゼ生成に関するもの
    3) 微生物の環境とフローラの変動
    4) 味, 香気成分の分析
    5) 味噌の包装材料
    6) アミノ酸醗酵における炭化水素の利用などが, 本年の特色である。2) の項は既に清酒醸造で解明されたものが多い。清酒の研究業績と併読して頂きたい。
  • 加藤 百一, 河地 元彦, 玉木 康文, 境 秀登, 田中 康
    1967 年 62 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    生産清酒の大部分を占める二級酒造りの製造データを体系化し, 安定した製造管理のための標準データを設定する目的から, この調査を行なった。37, 38, 39BY福岡国税局管内の清酒製造場で造られた二級予定の普通アル添酒から抽出した標本1652点について, まず基礎的数値を確認し, 次にこれらのデータをBYグループ別に層別し統計的処理をしたところ, BYによって変動しない要因は, わずか速醸もと水こうじ温度, 留までのこうじ歩合にすぎず, 大部分が変動要因であることを確かめ, その理由が, 例えば気候, 米質, 行政措置, その他機械化簡易化などによることを推定した。
  • ブドウ酒中の鉄含量および銅含量について
    岩野 貞雄
    1967 年 62 巻 3 号 p. 316-318
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/29
    ジャーナル フリー
    ブドウ酒中の鉄含量についてオルソ・フェナンスロリン法によって定量を行なったところ, 34種類の試料中最高28.10mg/l, 最低3.00mg/lであった。野生ブドウについて鉄含量を測定し, アムレンシス種, コアニテー種, ツンベルギー種で3.00mg/lから7.50mg/lであった。甲州種ブドウについて汁液仕込と果皮仕込を行なったものでは8.25mg/l, 28.10mg/lであり, 果皮に鉄分が多く含まれているものと考えられる。ナイロン66を用いてブドウ酒を処理したところ含まれている鉄分の半量以上を除去しうることを認めた。
    銅含量についてジエチル・ジチオカルバミン酸ソーダによる比色定量を行ない, 27種のブドウ酒について最高3.88mg/l, 最低0.38mg/lの値を得た。なお野生ブドウ3種の定量値は0.66mg/l-0.38mg/lであった。
    甲州種および甲州× アフス・アーリーの交配種について汁液と果皮仕込を行ない, 汁液で1.25, 1.00mg/l, 果皮で1.97, 1.50mg/lであり, 鉄分と同様に果皮に多く含まれていることがわかった。ナイロン66処理にて銅含量についても鉄と同様な結果を得た。肥料試験栽培によるブドウ酒中の鉄および銅含量について基礎的数値を得ることができた。
  • (第1報) 液体培地における繁殖並びに阻害剤試験
    大塚 謙一
    1967 年 62 巻 3 号 p. 319-321
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    晩腐病菌の液体培養試験を行ない, 有機酸を資化できること, 培地のpHは麹汁の場合は2, 5以下では繁殖せず, 果汁の場合はより低いpHでも繁殖することを知った。
    阻害試験の結果, 該菌はアルコール6%, フェノール0.1%, サリチル酸0.4%, p-ニトロフェノール0.001%, 砒酸ソーダ0.002%, 弗化ソーダ0.0008%, 昇汞0.0005%, メタカリ0.005%, 磯酸0.1%以上では繁殖しないことがわかった。
  • (第2報) 硫酸銅と塩化亜鉛の相乗的防黴効果
    大塚 謙一
    1967 年 62 巻 3 号 p. 321-323
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    晩腐病菌の液体培養で硫酸銅は0.1%, 塩化亜鉛は0.2%で阻害するが, 繁殖できる硫酸銅濃度0.01%でも塩化亜鉛0.05%が共存すると阻害が認められた。塩化亜鉛の効果は亜鉛イオンによるもので, 他のカビにも同様の相乗効果があった。晩腐病菌の自己呼吸阻害にもこの相乗効果がある。
    ブドウ果粒に晩腐病菌を接種した場合, 硫酸銅の効果は明らかでないが, 塩化亜鉛の共存により阻害効果が認められた。
  • (第3報) ブドウ果皮上の蝋物質 (オレアノール酸) とその晩腐病菌による分解
    大塚 謙一
    1967 年 62 巻 3 号 p. 323-325
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    各種のブドウ果皮よりオレアノール酸を分離し, 醗酵前後の果皮間には差がなく, ブドウの品種間では乾燥果皮に対して2.5-8.6%の収率であることを知った。
    バニリンー硫酸反応によりオレアノール酸の比色定量法を設定した。晩腐病菌をオレアノール酸を炭素源とする培地に培養し, オレアノール酸が分解され水溶性となることをあきらかにした。
  • 菌蓋の形成について
    中野 政弘, 太田 輝夫
    1967 年 62 巻 3 号 p. 326-329
    発行日: 1967/03/15
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    薄層にした液体培地の表面に糸状菌の芽胞子を接種し, 培地の表面にのみ菌蓋を生育させて研究や生産に利用することは, 糸状菌の培養型式の一つである。著者は麹菌の生理学的分類, 黒麹菌によるクエン酸の製造, ペニシリウムによるペニシリンの生産, また麹菌における培地組成と酵素生産能などの研究や実用化について表面培養法を採用してきたが, 以下麹菌の酵素, 主としてアミラーゼおよびプロテイナーゼの生産に関する研究を, この表面培養法で行なった結果について報告する。本報においては, 麹菌の菌蓋を形成させる培養の方法と条件を研究した結果について報告する。
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