市販の醸造酢35点の化学特性18項目, 官能特性10項目, 計28項目の分析値および官能評価の結果より得られた単相関行列を用い, 総合評価および各官能特性を目的変数として重回帰分析を行なった。
1) 総合評価を目的変数, 化学特性を説明変数とした場合, 全食酢では説明困難であったが, 品種別では米酢, ブドウ酢が比較的高い説明変動率を与えたので, 適切な化学特性を選べば十分に説明することは不可能でないと思われる。
2) 総合評価を目的変数, 他の官能特性を説明変数とした場合, 全食酢では72.6%, 品種別ではいずれも95%以上の説明変動率を与えた。
3) 各官能特性を目的変数とし, 化学特性を説明変数とした場合, 全食酢では甘味のみが, 品種別 (米酢, リンゴ酢) では多くの官能特性が80%以上の説明変動率を与えた。
4) 酸味, 甘味, 塩味, 旨味の評価を総酸, 糖分, 食塩, 全窒素の値で説明しようと試みたが, 必ずしも十分に説明することができなかった。
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