1. 初発糖濃度, 発酵温度, 酵母の種類の影響
(1) 初発糖濃度が高い場合, 酸度, フォルモール窒素, グリセロール含量, コハク酸クエン酸, リンゴ酸, 酢酸, 乳酸含量, マルトース, マルトトリオース含量, 酢酸イソアミル含量が高くなった。しかしアルコール濃度を基準とした場合でも多いものは, 酸度, クエン酸リンゴ酸マルトース, マルトトリオースに限られた。
(2) 発酵温度が高い場合, 酵母増殖量が多くなり, 酸度, コバク酸, ピルビン酸, 乳酸含量が高くなり, 酢酸含量は低くなった。
(3) 酵母の種類では, 酢酸アセトアルデヒドは協会6号, ピルビン酸, イソアミルアルコールは協会7号リンゴ酸は協会9号酵母がそれぞれ生成量が多かった。
(2) 初発酵母数の影響
初発酵母数を多くすると発酵日数は短縮できたが, 品質上好ましくない酢酸, ダイアセチル量が多くなり本発酵法には適さなかった。
(3) 酵母によるアミノ酸の取り込み傾向清酒酵母, ワイン酵母, ビール酵母, ウィスキー酵母など
Saccharomyces cerevisiaeでの酵母の違い, また米, 米麹糖化液と麦汁の違いに関わりなくアミノ酸の酵母による取込みの傾向は類似していた。
なお, 本報文の内容の一部については昭和59年度日本醗酵工学会大会において発表した。
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