1.旧式焼酎の末垂溜液は再溜後適切なる吸着試剤, 例えば活性炭素活性炭素・シリカアルミニウムゲル混用, イオン交換樹脂等で処理すれば, 製品焼酎の増量用として十分活用することができ, かつこれら吸着試剤で処理した再溜焼酎相互間には有意差は認められない。
2.旧式焼酎工場において, 焼酎もろみ一釜分を蒸溜するに必要な燃料消費量を経時的に調査した。
3.燃料消費量は初溜区が最も多く, 全燃料消費量の約2/5~1/2に相当する。また, 製品焼酎採取の蒸溜終末点以下の末垂溜液を採るに必要な燃料は, わずか10%程度増加するに過ぎない。
4.末垂溜液の製品化に要する製造原価は, 焼酎もろみから直接製品焼酎をとる場合の製造原価の約2~4倍のコスト高になるので, 企業的には全く採算がとれない。しかし, 再溜焼酎の製造原価は適切なる処置, 例えば蒸溜機のもろみ桶に余裕があるとか, または末垂溜液採取の蒸溜終末点をアルコール3%程度にするとか, あるいは労務費・工場直接経費等を節減すれば, cost downでき, 十分採算が合うことができる。
5.従って以上の知見から, 旧式焼酎における末垂溜液の製品化は, 技術的にも企業的にも可能であることが実証された。
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