現在旧式焼酎工場において使用されている単式蒸溜機内部, 例えば冷却塔の頂点及びチューブ, 蛇管下部の新ガス抜き管, 既設ガス抜き管各所における温度を, 蒸溜中熱電気温度計で測定した。その結果,
1. 蒸溜機内部の特定個所における温度は, 必ずしも常に一定ではない。
2. 蒸溜機内部の温度は, 蒸溜方式の相異によつて多少のフレはあつても大きな変動はない。
3. 蒸溜にさいしては, もろみ桶への蒸気吹込量を加減して, 既設ガス抜き管の個所の温度を予定通り調節しつつ操作するのが容易であるし, かつ望ましいことを確認した。
現在使用されている単式蒸溜機の構造や性能をほとんど変えることなく, ただ既設ガス抜き管取付個所の温度を変えて, 低沸点物質除去の蒸溜方式を検討した。
1. ガス抜き管は低沸点物質除去には確かに効果的であるが, その設置個所は十分考慮しなければならない。
2. 分溜液のアセトアルデヒド逓減曲線は, 蒸溜方式によつて多少相異するが, 製品焼酎へ移行するアセトアルデヒド量に有意差があるかどうかは不明である。
3. 蒸溜方式が相異する製品焼醗相互間の品質については, 5%水準で有意差は認められなかつた。
4. ガス抜き管取付個所における温度が, 従前からいわれていた如く27~28°以上の高温でなければ低沸点物質が抜けないということはない。24~25°の低温経過でも, 低沸点物質除去には十分効果があることが判明した。しかし, 比較的高目の温度に終始する蒸溜方式は, 幾分低目の温度に経過する蒸溜方式より時間的経費面的な節約が出来る点有利である。
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