ワキシースターチを清酒もろみ四段剤として使用するため, ワキシースターチに酵素剤を添加し, 80℃, 30分の加熱処理により流動化した液化物, 予めα化処理を施したα-化物等を用いて四段仕込みを行ない, もち米によるそれと比較検討を行なった。
1) 日本酒度のもどりはもち米よりもワキシースターチ類の方が良く, 原料利用率ももち米の34%に対し, 70~80%とワキシースターチ類の方が良好であった。
2) 四段後の糖組成変化は, 原もろみの性質, 四段の時期などによって左右されると考えられるが, 一般にワキシー類を用いた場合はグルコース, イソマルトースが多くなる傾向を示し, もち米を用いた場合は3糖類が多くなる傾向を示した。
3) 生成酒の品質はワキシースターチ液化物を用いた方がむしろもち米より良いという結果を得た。
4) α-化物を用いた場合, 混入する鉄などの影響で生成酒の着色がはげしくなる傾向にあるので, α化製品を用いるよりは, 精製生澱粉を用い本法のように液化という簡単な操作だけで四段を行なう方が良いと考えた。
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