麹菌に關する研究は多いが, 或る種の麹菌が或る種の釀造に適するかどうかについては, 實際釀造試驗の結果によらなければ分明しない事が多い。よつて我々は任意に分離した60種の麹菌を用いて實際の釀造試驗を行つて, 麹菌の釀造に對する利用性即ち或る種の麹菌はどんな種類の釀造に適するかを定め, 倚近時麹菌の液内培養が漸く實用化されるに至つたので液内培養に適する麹菌の選擇を行い, その結果, 醤油釀造14種, 味噌釀造14種, 甘酒製造9種, 清酒釀造6種, 澱粉糖化を主とする液内培養5種, 蛋白分解を主とする液内培養5種の麹菌を選出し, その他その利用性に應じて各種の群に類別した。
本報告では醤油釀造に對する適用性に就て試驗し, 結局供試麹菌60種をその利用性によつて4群に類別した。
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