日本臨床外科学会雑誌
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59 巻, 1 号
選択された号の論文の53件中51~53を表示しています
  • 小室 龍太郎, 池田 栄人, 徳川 奉樹, 大内 孝雄
    1998 年 59 巻 1 号 p. 253-258
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    従来から無毒蛇と分類されているヤマカガシによる咬傷でDICをきたしたが,幸いにも対症療法のみで救命しえた1例を経験したので報告する.
    症例は41歳女性で,ヤマカガシに両手背をかまれ, 2時間後に出血傾向が出現,数カ所の医療機関を経由して受傷34時間後に当院受診した.患者本人に蛇についての知識があり,抗血清の投与を拒否したため抗血清療法は施行せず, DICに対してヘパリン投与などの対症療法施行し幸いにも救命した.
    ヤマカガシ咬傷では上顎後部のDuvernoy腺から分泌される毒が注入されることにより出血傾向が引き起こされる.本邦では北村の症例以来自験例を含めて26例の報告があり,全例に出血傾向が認められる.治療においては出血傾向のある蛇咬傷では本症を疑い抗血清投与が必要である.
  • 十亀 徳, 梅本 淳, 梶川 愛一郎, 門田 康正
    1998 年 59 巻 1 号 p. 259-262
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃全摘術後の食道空腸胸腔内吻合の広範囲縫合不全に対して再吻合および有茎肋間筋被覆を行い,良好な経過をたどった1例を経験した.胸腔内圧は陰圧であるためそこでの広範囲縫合不全の治療の焦点は,腸管内容の漏出を確実に防止することである.そのためには同時に,縫合不全部の閉鎖と,同部の腸管内の内容物の排除と,胸腔内圧を陽圧にすることが必要である.今回われわれは,食道損傷に対して行われていた有茎肋間筋による被覆を応用して縫合不全部の再吻合と補強を行った.胸腔内腸管の内容物排除のために,口腔内吸引を頻回を行い胸腔内再吻合部の唾液通過量を減じると共に,十二指腸断端から外瘻チューブを挿入して消化液の胸腔内再吻合部への逆流を防止した.持続陽圧呼吸管理により胸腔内再吻合部は,適度に圧迫されて周囲の死腔もなくなり治癒した.遠隔期にも狭窄も認めず良好な経過をたどった.本法は縫合不全の治療法としても有用である.
  • 小林 裕幸, 山内 晶司, 熊沢 平次, 浅野 浩史, 庄野 聡, 石榑 清
    1998 年 59 巻 1 号 p. 263-267
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は67歳の男性で,嚥下時に違和感を認め内科受診,内視鏡検査および上部消化管造影により, Im, O-IIc食道癌と診断された.術前の腹部超音波検査にて右腎上極より突出する低エコーの腫瘤を認め,腹部CT検査を施行し腎細胞癌と診断された.腎機能の軽度低下を認めたため,二期的手術を予定した.右開胸開腹による胸部食道全摘,リンパ節郭清,後縦隔経路胃管による食道再建術を施行した. 2カ月後に胸腹部斜切開胸膜外到達法にて右腎摘出,傍大動脈リンパ節郭清術を施行した.組織学的に食道癌は扁平上皮癌で,腎癌はgranular cell typeの腎細胞癌であった.
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