日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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73 巻, 9 号
選択された号の論文の57件中51~57を表示しています
症例
  • 黄 哲守, 高山 亘, 西森 孝典, 角田 慎輔, 柳橋 浩男, 菅谷 睦
    2012 年 73 巻 9 号 p. 2431-2438
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.2012年2月下旬,突然発症した右下腹部痛,右鼠径部腫脹を主訴に当院来院.精査の結果,右鼠径ヘルニアの診断で2012年3月上旬手術を行った.鼠径管を開放するとヘルニア嚢内に虫垂が嵌頓しておりAmyand's herniaと診断.ヘルニアタイプは日本ヘルニア分類I-1型と診断したため虫垂切除とULTRAPRO HERNIA SYSTEM法によるヘルニア修復術を行った.術後は第2病日に軽快退院し,その後も創感染を併発しなかった.鼠径ヘルニア内容が虫垂であるAmyand's herniaはまれであり本邦での報告は少ない.本邦36例の報告を検討したので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 小川 稔, 渡瀬 誠, 山口 拓也, 南原 幹男, 田中 亮, 丹羽 英記
    2012 年 73 巻 9 号 p. 2439-2443
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.両側鼠径ヘルニア(両側ともII-3型)に対してKugel法によるヘルニア根治術を施行した約1カ月後にイレウスの診断で緊急入院となった.保存的治療で症状の改善が無く,開腹手術を施行したところ回腸が骨盤腔に形成されたスペースに嵌入し内ヘルニアによるイレウスを呈していた.癒着を剥離し整復しえたが嵌入腸管は漿膜面の損傷が強く切除した.当院ではKugel法によるヘルニア修復の際には,再発予防の観点から恥骨・腹直筋の背側と腹膜の間を十分に剥離した上で内側鼠径窩を十分に覆うようにKugelパッチを挿入する必要があると考えており,両側鼠径ヘルニアを一期的に手術した場合パッチの一部が正中で重なることがある.今回,骨盤腔に形成された空隙は,両側鼠径ヘルニア手術時に左右から挿入したKugelパッチが正中で重なり,左右のパッチに挟まれるように腹膜が嵌入して形成されたと考えられる.
  • 坂下 克也, 寺岡 均, 豊川 貴弘, 金原 功
    2012 年 73 巻 9 号 p. 2444-2447
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
    大網に生じた異常裂孔に腸管が嵌入する大網裂孔ヘルニアは比較的まれな疾患であり,迅速な診断と手術加療を要する.本疾患は大網の背側に小腸が存在するため,通常腸管は背側から腹側へ嵌入する.今回われわれは非典型的に腹側から背側へ嵌入した症例を経験したので報告する.症例は66歳,男性.30年以上前に急性虫垂炎の手術既往あり.嘔気,嘔吐を主訴に前医を受診し,イレウスの診断で当科紹介となった.入院の上,イレウス管を留置するも症状の改善なく,手術加療を行った.大網右側に裂孔を認め,Treitz靱帯より約140cmの小腸が腹側から背側へ20cmに渡って嵌入していた.嵌入壊死した小腸を切除するとともに,異常裂孔部の大網を切除した.術後合併症なく,軽快退院した.われわれの検索しえた範囲では,腹側から背側へ腸管が嵌入した大網裂孔ヘルニアは本邦でこれまで1例しか報告されておらず,自験例が2例目であった.
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編集後記
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