日本臨床免疫学会会誌
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38 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総説
  • 内田 一茂, 岡崎 和一
    2015 年 38 巻 3 号 p. 127-134
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
      自己免疫性膵炎(AIP)という疾患概念は,1995年に吉田らによって日本から提唱された疾患概念であるが現在まで様々な診断基準が作成されてきた.本稿では自己免疫性膵炎の現状について診断を中心に概説する.
  • 杉山 昌史, 木下 浩二, 船内 正憲
    2015 年 38 巻 3 号 p. 135-141
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
      ループス腎炎は全身性エリテマトーデスの重要な臓器合併症の一つである.ネフローゼ症候群や慢性腎臓病などその臨床像は多彩で,時に末期腎不全に進展することもある.病理学的には免疫複合体沈着型糸球体腎炎のことが多いが,病因の一つとしてマクロファージの機能異常,活性化が指摘されており,特に間質に浸潤するマクロファージは組織の線維化をきたし,腎予後について重要な役割を果たすと考えられている.種々のマクロファージ関連蛋白の発現とループス腎炎についての相関が報告されており,それらの遺伝子発現の抑制やシグナル伝達に対する阻害薬は腎炎の進展を抑制するが,必ずしも抗DNA抗体の低下や蛋白尿の減少を伴わないことも明らかにされている.ループス腎炎におけるマクロファージの役割についてこれまでの知見とマクロファージに関連する最近のLN治療戦略について述べる.
  • 千田 奈津子, 小林 一郎
    2015 年 38 巻 3 号 p. 142-149
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
      中枢性免疫寛容の異常によって生じるAutoimmune polyendocrinopathy, candidiasis, ectodermal dystrophy(APECED)と末梢性免疫寛容の異常によって生じるImmunedysregulation, polyendocrinopathy, enteropathy, X-linked syndrome(IPEX症候群)は共に多彩な自己免疫疾患を合併する.いずれもT細胞免疫寛容不全であるが,B細胞レベルの免疫寛容にも大きな影響をもたらすことから,自己抗体の標的抗原特異性はT細胞レベルでの自己反応性を反映すると考えられる.興味深いことに,APECEDとIPEX症候群では好発罹患臓器に違いが見られる.また,同じ小腸であってもAPECEDではトリプトファン水酸化酵素,IPEX症候群では自己免疫性腸症関連75 kDa抗原(AIE-75)に対する自己抗体が疾患特異的である.こうした事実は,抗原により中枢性ないし末梢性免疫寛容への依存度が異なり,またTregの分化に対するAireの役割は,もしあっても限局したものである事を示唆する.
  • Rie KARASAWA, James N. JARVIS
    2015 年 38 巻 3 号 p. 150-156
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
      Juvenile dermatomyositis is a complex illness characterized by vascular/perivascular inflammation, primarily in the skin and muscles. In this review, we discuss how proteomic and genomic technologies have expanded our understanding of the immune pathogenesis of this disease. We will also discuss further directions that the field may take to use existing and developing technologies to further our understanding of this often-perplexing disease.
原著
  • 奥 健志, アメングアル オルガ, 久田 諒, 大村 一将, 中川 育麿, 渡邊 俊之, 坊垣 暁之, 堀田 哲也, 保田 晋助, 渥美 達 ...
    2015 年 38 巻 3 号 p. 157-163
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
      抗リン脂質抗体症候群(APS)に出現する病原性自己抗体である抗リン脂質抗体(aPL)は免疫学的にも機能的にも多様な自己抗体群で,それらをどのように効率的・正確に同定するかはいまだに重大な問題である.更に,aPLの測定には多数の免疫学的・機能的検査が必要であり,検査部門の負担が大きく必要十分な検査が行われない事が多い.そこで,北海道大学病院内科IIおよび消化器内科,北海道医療大学内科に通院するAPS患者を含む膠原病及び非膠原病患者・健常人合計212例の保存検体を用い後方視的に完全自動化化学発光免疫測定器にてaPL(抗カルジオリピン抗体IgG/IgM,抗β2グリコプロテインI抗体IgG/IgM)を計測し,従来のELISA検査法と比較した.その結果,両者は同等の診断確度を有していた.また,APS患者では2種以上のaPL陽性となる症例が,41/61(67%)と全身性エリテマトーデス(SLE)(3/37, 9%),非SLE膠原病(1/53, 2%)等他患者群・健常人に比べ高率であった.これらの点から複数のaPLを同時に測定できる完全自動化化学発光免疫測定器はAPSの診断に有用であることが判明した.
症例報告
  • Shin-ya KAWASHIRI, Hideki NAKAMURA, Tomoki ORIGUCHI, Kiyoshi AOYAGI, A ...
    2015 年 38 巻 3 号 p. 164-168
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
      A 60-year-old Japanese man developed a fever and dry cough. Although chest CT showed interstitial pneumonia, the primary disease was not revealed. The interstitial pneumonia was improved by treatment with oral prednisolone following methylprednisolone pulse therapy. After the discontinuation of prednisolone he developed swelling of the eyelids and polyarthralgia. Orbital magnetic resonance imaging showed enlargement of the bilateral lacrimal glands. 67Gallium scintigraphy showed abnormal uptake of the bilateral lacrimal glands and pulmonary hilum. A lacrimal gland biopsy showed noncaseating granulomatous infiltration with occasional multinucleated giant cells consistent with sarcoidosis. His symptoms improved by treatment with oral prednisolone and triamcinolone injection into the lacrimal glands.
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