日本臨床免疫学会会誌
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15 巻, 5 号
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  • 笠倉 新平
    1992 年 15 巻 5 号 p. 421-430
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 湯原 孝典, 夏田 洋幹, 竹村 博之, 赤間 孝雄, 鈴木 博史, 山根 一秀, 柏木 平八郎
    1992 年 15 巻 5 号 p. 431-439
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    活動期SLE患者における感染症の危険因子について検討した.まず,入院時にSLEが活動期にあり,治療開始後1年以内に感染症を合併した群(n=19)と合併しなかった群(n=71)に分け,両群を比較した.その結果,血清アルブミン,尿蛋白,血清クレアチニン,血中尿素窒素,血清IgA, IgG,治療開始時プレドニゾロン投与量に有意差を認めた.次に,これらの検査項目とSLE Disease Activity Index, SLE重症度(厚生省病型分類による)を独立変数とし,多重ロジスティックモデルを用いて感染症の危険因子を分析した.血清アルブミン低下,次いでSLE重症度の上昇,プレドニゾロン投与量増加が感染症の合併に寄与していた.さらに血清アルブミン値に寄与する要因を重回帰分析により求めたところ,寄与する順にSLE重症度,尿蛋白,胸水または心膜液,年齢, CH 50であった.以上の結果より,蛋白尿のみでなくSLE重症度など様々な原因による血清アルブミン低下は,感染症の危険因子であると推測した.
  • 山本 初実, 杉山 謙二, 野村 豊樹, 多喜 紀雄, 岡崎 通
    1992 年 15 巻 5 号 p. 440-450
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    未熟児リンパ球サブセットの加齢による分化成熟を検討した. CD 3抗原の発現は,在胎週数が若いほど低かったが,超未熟児では生後2ヵ月,極小未熟児では生後より成人と有意差がなく,成熟児ではむしろ高かった. CD 4サブセットは出生時成人より有意に高く, CD 8サブセットは低かったが,両者とも在胎週数に関係なく加齢とともに減増し生後6ヵ月頃には成人値に近づいた.成熟T細胞のCD 4・CD 8抗原の発現分化は在胎25週前後,また, CD 3+ T細胞の量的成熟は在胎40週には完了しているものと思われた. Leu 8+ CD 4+ T細胞は出生時非常に高値であるが,加齢により低下し成人値に近づいた. Leu 8- CD 4+ T細胞は抗原刺激を受ける機会の多かった超未熟児に多く,極小未熟児でも生後早期に急激な増加を認めるため,この時期既に分化が可能で,未熟児・新生児のT細胞サブセットの細胞表面抗原形質の分化は,比較的早期に成人域に完成しうることが示唆された.
  • 中崎 晴弘, 岡田 弥生, 鈴木 康司, 渡辺 正志, 前田 利道, 花輪 茂樹, 長谷部 行健, 蔵本 新太郎, 石川 文雄, 木村 一郎 ...
    1992 年 15 巻 5 号 p. 451-458
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    10人の胆石症患者において術前術後,経時的に末梢血中のTNF-α, IL-1α, IL-1β, IL-6およびGM-CSF値を測定し,その変化から手術侵襲による各種サイトカインの変動,およびサイトカイン間の相互作用を検討した.
    まず,患者群と健常人群を比較した結果,胆石症患者では健常人に比較して経過中これらのサイトカインが全例高値を示した.また,術後経時的に各サイトカイン値を測定すると, TNF-αは術後15時間目と2日目, IL-1αは18時間目と3日目, IL-1βは21時間目と5日目, IL-6は術後24時間目と7日目に2相性のピークを認めた.一方, GM-CSFは術後3日目にピークが認められただけであった.
    以上より,胆石症患者では手術侵襲によりまずTNF-αが,そしてIL-1α, IL-1β, IL-6と順次誘導されること,およびこれらサイトカインは術後24時間以内およびそれ以降で2相性に誘導されることが判明した.
    一方, CRPおよび白血球数(WBC)の変化を測定したところ, CRPは術後2日目に, WBCは術後1日目に有意な上昇が認められた.また,これらの変化とサイトカインとの関係を検討したところ, CRPおよびWBCは1相目のサイトカイン変化の後に上昇し,これらのピーク後さらに2相目のサイトカインが誘導されることが証明された.
    以上の結果から,手術による生体の障害,およびそれからの回復と各種サイトカインは密接に関係していることが示唆された.
  • 谷崎 勝朗, 貴谷 光, 岡崎 守宏, 御船 尚志, 光延 文裕, 木村 郁郎
    1992 年 15 巻 5 号 p. 459-466
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    血清IgEおよびIgG4は,気管支喘息における主要な反応系である即時型アレルギー反応に関与する免疫グロブリンと考えられている.このうち, IgEは即時型アレルギー反応をひき起こす抗体として知られているが, IgG4については,即時型アレルギー反応に対して遮断抗体として作用するのか,反応の増強因子として作用するのか,なお議論が多い.一方, in vitroの系では,両者ともIL-4刺激によりB細胞での産生充進が見られる.
    本論文では,気管支喘息における血清中IgEおよびIgG4値の関連について検討を加えた.
  • 山本 樹生, 吉村 幸子, 下司 有美, 坂本 隆子, 荻野 雅弘, 小林 拓郎, 荒井 清
    1992 年 15 巻 5 号 p. 467-474
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    妊娠中毒症における抗カルジオリピン抗体(ACA)の存在とその意義につき検討した.妊娠中毒症57例(重症型29例,軽症型28例)と28週から40週までの正常妊娠37例を対象とし, ACAの測定はELISA法を用いた.標準血清は, Harrisらの標準品の稀釈試験データより設定された血清を使用した.正常妊娠の平均+3x標準偏差以上を陽性とした.正常妊婦の平均値は4.3U/ml,標準偏差は3.2U/mlであった.妊娠中毒症57例中7例(12.3%).軽症型では28例中3例(10.7%),重症型29例では4例(13.8%)が陽性であった. ACAの高値を示し分娩に至った7胎児のうち3例が低出生体重児であった.activated partial thromboplastin time (APTT)を測定し得た5例中2例に延長を認めた.血小板減少は7例中3例に認められた.子宮内胎児発育遅延はACA陰性群の18.0%に比し, ACA陽性群では42.9%とACA陽性群で高率であった.妊娠中毒症においても抗カルジオリピン抗体が出現することがあり,陽性例では子宮内胎児発育遅延や凝固異常を伴うため,妊娠中毒症においても抗カルジオリピン抗体の検討をする必要があると思われた.
  • 徳田 道昭, 倉田 典之, 溝口 晶仁, 猪尾 昌之, 高原 二郎
    1992 年 15 巻 5 号 p. 475-482
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    サイクロスポリンA (CsA)は,自己免疫疾患分野では,ベーチェット病におけるブドウ膜炎,乾癬やI型糖尿病で良好な成績が報告されているが,全身性エリテマトーデス(SLE)の治療薬としては知見が乏しい.今回報告した症例は,両側大腿骨骨頭壊死を合併し,かつ原疾患の再燃をきたしたSLE症例であり,維持量のステロイド剤(以下ス剤)を併用しながら, CsAを3mg/kgから投与した.第40日に6mg/kgに増量し,ほぼ同時に補体価の正常化傾向がみられた.血中BMGの上昇が出現したため4mg/kgに減量した後も,補体価の正常化傾向が持続,かつ皮疹,関節痛も消褪した.さらに,リンパ球数の増加,抗Sm抗体,抗RNP抗体力価の減少を認めたが, suppressor inducer細胞比率,血清免疫グロブリン値は不変であった. CsAは,その副作用の発現のため,ス剤大量投与が困難なSLE症例においては,寛解導入効果を期待できる薬剤である.
  • 松尾 宗明, 原 寿郎, 毛利 嘉元, 古賀 広幸, 宮崎 澄雄
    1992 年 15 巻 5 号 p. 483-486
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は血友病BでHIV陽性の17歳男性.臨床症状と胸部X線所見(空洞とcoin lesion)より肺結核を疑われたが,ツベルクリン反応と喀痰の抗酸菌培養はともに陰性であった.患者喀痰中よりDNAを抽出し,結核菌の19KDa遺伝子領域をpolymerase chain reaction法を用いて増幅,電気泳動したところ,標準結核菌株のDNAと同じ311 base pairsの位置に陽性バンドを認めた.患者の症状, X線所見は,抗結核剤による治療により改善した.本法は,結核の早期診断,とりわけ免疫不全に随伴する場合の診断に有用と思われる.
  • 戸村 好太郎, 八田 善弘, 早川 佳夫, 竹内 東太郎, 松崎 正一, 澤田 滋正, 冨永 幹洋
    1992 年 15 巻 5 号 p. 487-491
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    高血圧,視神経萎縮にて外来加療中の75歳男性が,発熱,頭痛を主訴に来院.血沈, CRP強陽性,白血球増多を呈し,感染症を疑い,抗生物質投与が開始されたが,症状,検査所見ともに改善しなかった.頭部エックス線単純CT上軽度の慢性硬膜下血腫を認めたが,明らかな感染巣は見い出せなかった.髄液所見は正常だが軽度髄液圧上昇を認めた為ウイルス性髄膜炎を疑い,ステロイドを投与した.この結果症状検査所見ともに改善したためステロイドを減量しながら中止した.その後再度同様の症状の他,四肢のしびれ感,浮腫が出現した.白血球増多,血沈亢進, CRP強陽性, RAHA陽性などの所見も再出現した.ステロイド再投与で再度改善がみられた.精査上,全身性エリテマトーデスや慢性関節リウマチなどの膠原病は否定的で,四肢および上腸間動脈腎動脈造影検査も正常だったが浅側頭動脈生検で側頭動脈炎(Temporal Arteritis;以下TA)に一致する所見を認め, TAに慢性硬膜下血腫を合併したものと診断した. TAでも急性の失明や脳梗塞などの報告はあるが,慢性硬膜下血腫の合併は文献的にもみあたらない.この慢性硬膜下血腫合併側頭動脈炎の1例について報告した.
  • 久田 剛志, 黒沢 元博
    1992 年 15 巻 5 号 p. 492-496
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肺癌患者切除肺の正常肺組織をPLP固定液およびカルノア固定液により固定した後,市販のトリプターゼ測定用RIAキットの抗ヒト肥満細胞トリプターゼ抗体と25°Cで4時間インキュベーションした.その後, SAB法による免疫組織化学染色を行うと,ヒト肺組織に肥満細胞が茶褐色に染色された.また,肺胞壁に多数の肥満細胞を認めた.対照として正常家兎血清を用いた際には明らかな染色は認められなかった.以上より,本方法によりアレルギー性肺疾患における肥満細胞の動態に関し,組織学的検討を行うことが可能と思われた.
  • 伊東 俊夫, 東條 正英, 矢野 隆, 北嶋 直人, 木下 芳一, 稲留 哲也, 福崎 恒
    1992 年 15 巻 5 号 p. 497-500
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膠原病患者と健康人に対してアセトアミノフェン法による胃排泄能を検討した.朝,試験食とアセトアミノフェン1.5gを服用させ, 45分後に採血し,血中アセトアミノフェン濃度を蛍光偏光免疫測定法にて測定した.健康人8人の胃排泄能の結果は9.2±0.5μg/ml (Mean±SE)で, 15人のSLE患者, 9人のPSS患者, 4人のMCTD患者の結果は各々10.6±1.2μg/ml, 6.6±1.1μg/ml, 6.6±1.6μg/mlであった.各膠原病患者と健康人との間には有意な差を認めなかったが, SLE患者4例, PSS患者5例, MCTD患者2例に胃排泄能の遅延がみられた.アセトアミノフェン法による胃排泄能検査はアセトアミノフェンが胃では吸収されず,胃から十二指腸へ排泄されてはじめて吸収され,血中に移行することを利用したもので,一定時間後における血中アセトアミノフェン濃度をもって胃排泄能とするもので,患者への苦痛が少なく,多くの症例を同時に測定でき,安全性,再現性に優れ, radioisotope法と高い相関を認める優れた方法と考えられる.今後膠原病の胃の病変の有無を検索する上で,このアセトアミノフェン法による胃排泄能検査は重要な手段になりえると考えられ,今後の普及が望まれる.
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